2022年2月15日火曜日

🎹J.J.フローベルガー 1616-1667 ドイツ・バロック初期鍵盤音楽の重鎮

《鍵盤音楽史:バッハ以前》の作曲家 10人目は、ヨハン・ヤーコプ・フローベルガー(Johann Jakob Froberger, 1616-1667)

。

ドイツ初期バロック音楽の作曲家。フレスコバルディ門下の鍵盤楽器演奏の達人。J.S.バッハに先行する重要な鍵盤曲作曲家の一人とされる。




フローベルガーは、シュトゥットガルトの宮廷楽長の息子として 1616年に生まれ、1637年にウィーンの宮廷オルガニストに任じられた後、皇帝フェルディナント3世の後ろ盾を得てローマに留学し、晩年のフレスコバルディに師事した。

1641年にウィーンに戻ったあと、フェルディナント3世の外交官として各地を旅行し、ブリュッセル、ドレスデン、アントウェルペン、ロンドン、パリなどを訪れている。

ドイツの鍵盤組曲の発展に大きく貢献し、とりわけフランスの様式をドイツへ伝えた作曲家と見なされている。彼の影響を受けた作曲家としてはルイ・クープラン、ゲオルク・ベーム、ブクステフーデやパッヘルベルを挙げることができる。


フローベルガーの作品はほとんどが鍵盤楽器(オルガン、チェンバロ、クラヴィコード)のための作品である。いくつかのトッカータやモテットを除き、多くは世俗曲である。

現存作品は主に次のような形で伝わっている。

  • 「ウィーン写本」第2巻(Libro Secundo, 1649年)
    6つのトッカータ、6つのファンタジア、6つのカンツォーナ、6つの組曲
  • 「ウィーン写本」第4巻(Libro Quarto, 1656年)
    6つのトッカータ、6つのリチェルカーレ、6つのカプリッチョ、6つの組曲
  • 「カプリッチョとリチェルカーレ集」(Libro di capricci e ricercate, 1658年頃)
    6つのカプリッチョと6つのリチェルカーレ
  • その他の写本:「ボーアン写本」、「ストラスブルグ写本」、2006年発見の自筆譜など


フローベルガーの作品の番号整理には、2つの方法が取られている。

DTÖ (Adler) 番号。20世紀初頭の『オーストリアの音楽芸術の記念碑』(Denkmäler der Tonkunst in Österreich)シリーズと、グイード・アードラー編作品集で用いられたもの。ジャンルごとに別の番号を振り、トッカータ4番、リチェルカーレ2番などと呼ばれる。

FbWV番号。1990年代に編纂されたジークベルト・ランペ編のカタログで用いられている。最近発見された作品や、真作か疑われているものも含まれている。

英語の Wikipedia(↓)に一覧表がある。FbWV番号が分かりやすいと思う。



フローベルガーは、30曲ほど残されているフランス様式の組曲において、「アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ」という舞曲の古典的配列を確立したと言われている。

…のだが、のちに出版されたときの編集者による曲の配列の入れ替えが影響しているらしく、フローベルガー自身は必ずしもそのように並べていたということではないようだ。

現在でも、演奏者の解釈による入れ替えも行われているようだ。後で紹介するジャン・ロンドーの演奏でも一部入れ替えを行なっている。

ちなみに、フローベルガーの演奏でよく行われているのは、前奏曲の役割を果たすトッカータと組曲を交互に配列し、最後に「哀歌」を置くという構成である。



✏️フローベルガーと私(桒形亜樹子)


いつものように YouTube を検索して代表作品らしきものを探すのだが、多くの作品があり、音源もかなり豊富なので絞りきれない…(^^;)。

参考記事の中の、渡邊順生さんの「チェンバロの歴史と名器[第2集]」には、組曲の第12番と第30番が収められている。

第12番は、皇帝フェルディナント3世の息子で父に先立ったフェルディナント4世の死を悼む「哀歌」Lamento で始まる。この曲は天に昇る魂を表す上昇音階で終わっている。美しい曲だと思う。Lamento - Gigue - Courant - Sarabande という構成。


演奏は桒形(くわがた)亜樹子さんというチェンバリスト。


第30番も聴いてみた。Glen Wilson という人の演奏。なお、「組曲」は "Suite" または "Partita" と呼ばれているようだ。


あと、Bob van Asperen という人が弾いている第2番も気に入った。



それから、ソコロフがピアノで弾いているのだが、この音源には曲名の説明がなく分からない。最初の曲(組曲?)は割と気に入ったのだけれど…。


私の好きなジャン・ロンドー(チェンバロ奏者)も、ルイ・クープランの曲とほぼ交互に弾いている。トッカータや組曲を弾いているが、"Suite I en mi mineur" となっているのが謎だ。組曲第1番は Am で Em じゃないのだが…?



あとは、組曲を中心とした曲集のような CD から取った音源がいくつもあって、わりと演奏が気に入ったものを挙げておく。

先程の第12番は桒形(くわがた)亜樹子さんの Meditation: Froberger's Vision というCD(↓)のもの。YouTube にプレイリストもある。

♪ Meditation: Froberger's Vision(プレイリスト)



この CD(↓)のチェンバロの音はやや深みがあっていい感じだ ♪ Sergio Vartolo という人の演奏。415Hz や 390Hz に調律されたピリオド楽器が使われているようだ。



YouTube の音源(↓)。



そして、これ(↓)は組曲全 30曲のうち 23曲が収録された "Johann Jacob Froberger: 23 Suites for Harpsichord" という CD を元にした音源。残念ながら楽曲ごとの区切り(タイムスタンプ)がないので、この曲を聴きたい…と思っても探せない…(^^;)。



元の CD はこれ(↓)で、収録曲は下記の通り。



収録曲
  • Libro Primo
    • Suite in Bm, "Kloeckhoff"
    • Suite in G, "Ihre/Bauyn"
    • Partita No.25 in Dm, FbWV 625
    • Partita No.23 in Em, FbWV 623
    • Partita No.24 in D, FbWV 624
    • Partita No.28 in Am, FbWV 628
  • Libro Secondo (1649)
    • Partita No.3 in G, FbWV 603
    • Partita No.4 in F, FbWV604
    • Partita No.5 in C, FbWV 605
    • Partita No.1 in Am, FbWV 601
    • Partita No.2 in Dm, FbWV 602
  • Libro Terzo
    • Partita No.16 in G, FbWV 616
    • Partita No.30 in Am, FbWV 630
  • Tombeau fait a Paris sur la mort de Monsieur Blancrocher in Cm, FbWV 632
  • Partita No.28 in Am, FbWV 628

  • Libro Terzo (continued)
    • Partita No.17 in F, FbWV 617
    • Partita No.13 in Dm, FbWV 613
    • Partita No.14 in Gm, FbWV 614
    • Partita No.27 in Em, FbWV 627
  • Libro Quarto (1656)
    • Partita No.11 in D, FbWV 611
    • Partita No.12 "Lamento sopra la dolorosa" in C, FbWV 612
    • Partita No.8 in A, FbWV 608
    • Partita No.9 in Gm, FbWV 609
    • Partita No.7 in Em, FbWV 607
    • Toccata No.10 in F, FbWV 110
  • Lamentation-faite sur la mort tres douloureuse de sa Majeste Imperiale, Ferdinand III


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