1人1時間 × 6人なので全部は聴けないが、「ざっと」よりは少し丁寧に聴いてみた。例によって?面白くないと思ったら途中で次の曲にとぶ…といった感じで…。
ファイナルに残ったピアニスト達なので、もちろん上手なのだが、一般聴衆の一人としての期待感からするとそれほど突出したピアニストがいるようには感じなかった。
ただし、「突出した」の意味は「私の好みに合っていて、ワクワク感を感じさせてくれる」…という感じのものであって、決して審査員視点の「素晴らしいピアニスト」とか「将来の大物」などというものではない…(^^;)。
一人一人講評するだけの力は私にはないので、ちょっと面白いと思ったことをいくつか書いてみたいと思う。
一通り聴いた中で印象に残ったのは 2人ほど。
一人はアルメニアの Zhora Sargsyan。ちょっと荒削りなところはあるが、音楽の流れという意味では一番活き活きした演奏を聴かせてくれたと思う。音も伸びがあって瑞々しい印象。
フレーズの作り方やつなぎ方がうまく、曲のうねりやふくらみ(柔らかなデュナーミク)のようなものを感じさせてくれる。それは、現代曲(委嘱曲)でも発揮されていて、彼の演奏だけが、少し抑えめの音量で入ってから少しずつ盛り上げるという「こなれた解釈」を感じさせた。
一方で、音色や表現の幅がややせまいのか、長く聴いているとちょっと飽きてくる感じもある。ラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」は、もう少しラヴェルらしい硬質なところも欲しかったし、全体の構成も説得力が薄い気がした。
でも、(賛否両論ありそうな…?)シューマンの「クライスレリアーナ」は私の好みだった…(^^)♪
もう一人は、ファイナリスト紅一点、最年少(15歳)の Alexandra Stychkina。
最初の委嘱曲 "Étude n° 2 (Réminiscences)" を聴いたときは、やはり 15歳ではちょっと弾きこなせないのかな?というぎこちなさみたいなものを感じたのだが…。
次のドビュッシー「映像 第1集」が素晴らしかった。何よりも音色の美しさ、きらびやかだけれどキンキンしない、私がドビュッシーのピアノ曲に期待する音の響き…(^^)♪
で、バッハの「インヴェンション」。えっ!?コンクールでこの曲?…と思って、1回目に聴いたときは「上質なお手本」くらいに思って 3曲目くらいで聴くのをやめてしまった。
…のだが、なんだか気になってもう一度、今度は最後まで聴いた。…というか最後まで聴かせてくれた。美しいバッハが躍動している。ちょっとお行儀が良すぎて?…私の好みからするともっと弾(はじ)けてほしい気もするが、なかなかの演奏だと思う ♪
将来が期待できそうな 15歳だ…(^^)。
あと、気になる務川慧悟くん。バッハのパルティータ第2番もラヴェルの「鏡」もよかった。両方とも音が美しくて、きちんとしていて、ある意味お手本のような演奏…。
…なのだが、「ワクワク感」が好きな私としては、やはり少し物足りなさが残る。「期待通り」というよりは「想定内」という印象が拭えない。
日本人の中から世界に通用するピアニストが出てほしいものだ…と常日頃思っている私としては、その可能性のあるピアニストの一人である務川くんに、ぜひ頑張ってほしいと願っている。今回のロンティボーがそのための一ステップになると嬉しいのだが…(^^) ♪
他のピアニストも、じっくり聴けばまた違った感想や新しい発見もあるかも知れないが、すぐに Concerto Finale(16日・17日早朝)である。
コンチェルトの出来も結果に大きく影響するだろうから、とりあえずは次のコンチェルトを楽しむことにしよう ♪ ちなみに、6人が弾く曲は下記の通り。
Clément LEFEBVRE(仏、30歳)
L. Beethoven: Concerto pour piano et orchestre n° 1 en ut majeur opus 15
Kenji MIURA(日、26歳)
F. Chopin: Concerto pour piano et orchestre n° 2 en fa mineur opus 21
Keigo MUKAWA(日、26歳)
C. Saint-Saëns: Concerto pour piano et orchestre n° 5 en fa majeur opus 103 « L’Egyptien »
Zhora SARGSYAN(アルメニア、25歳)
S. Rachmaninov: Concerto pour piano et orchestre n° 1 en fa dièse mineur opus 1
Alexandra STYCHKINA(露、15歳)
L. Beethoven: Concerto pour piano et orchestre n° 1 en ut majeur opus 15
Jean-Baptiste DOULCET(仏、26歳)
B. Bartok: Concerto pour piano et orchestre n° 3 Sz 119
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