よく聴くと楽譜とバレンボイムの演奏とが違っている。確認のためシフの演奏を聴いてみるとやっぱり違う。こちらは楽譜が表示されるので、それでも違いが確認できた。
いろいろ調べてみると、少なくとも上の図に示した 3種類あることが分かった。
私が使っている楽譜は家にあった春秋社の『バッハ集 2 平均律ピアノ曲集』(井口 基成 編集)というものだが、かなり古く 1980年出版のものだ。
IMSLP で調べてみると、"Wien: Universal Edition, 1912" と書いてあるものがあり、上の図の右下のようになっている。春秋社のものとは 2つ目の八分音符の音が違うだけ。
シフの YouTube動画に表示される楽譜の元を確認するために、シフが指使いを担当しているヘンレ社の楽譜を見てみた。それがコレ(↓)、上の図の最初にあげたもの。
ヘンレ社の楽譜(↓)は "Urtext Edition"(原典版)となっており、バッハの大家であるシフが採用しているので、練習ではこれを使うことにした ♪
バッハ, J. S.: 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV 870-893/ヘンレ社/原典版(2007年改訂版/A. シフによる運指付き)
バッハの場合、原典版とか色々あって、楽譜によって異なるという話は聞いたことがあるのだが、自分がそれに遭遇するとは思ってなかったのでちょっとびっくりした。
ちなみに、バッハの平均律の楽譜は PTNA のサイトに一覧表(↓)があるが、多すぎてこれでは選べない…(^^;)。
✏️バッハ/平均律クラヴィーア曲集の楽譜情報
日本の楽譜出版の大手、春秋社、全音、音楽之友社あたりを選んでおけばいいのかも知れない。春秋社の最新のものは園田高弘さんに変わっている…。
全音は「原典版」、音楽之友社は「ウィーン原典版」と書いてある。
園田高弘 校訂版 J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集第2巻 (2)(CD付) (園田高弘校訂版 J.S.バッハ)
バッハ 平均律クラヴィーア曲集(2) 原典版
ウィーン原典版(51) バッハ 平均律クラヴィーア曲集2
おまけ。私が使っている春秋社の楽譜には、5〜6小節目に "ossia."(または)という表記がある。アルトパートをこう弾いてもいいよ、ということだと思うのだが、どうも、シフはこの "ossia." の方で弾いているようなのだ。
で、ヘンレ社の楽譜を確認すると、この "ossia." の方が採用されている。
でも、バレンボイムの演奏は春秋社の元の楽譜どおりに弾いているので、私も "ossia." じゃない方を使うことにした。ちょっとだけ簡単なので…(^^;)。
【関連記事】
《▼バッハ平均律2巻21番のフーガ:暗譜できない…》
《J.S.バッハ:平均律曲集の難易度(ヘンレ社など)》
3 件のコメント:
はじめまして。
19小節目に関してですが、春秋社版はヘンレの古いバージョンを参考にしたと思われます。
私はヘンレの古いヴァージョンを使用していますが、今回のシフ版では今まで手が加えられなかったようなところまで改訂されている印象です。(でもシフも自分自身が演奏する時には、旧版のまま弾いているところが多い)
練習、頑張ってください!
貴重な情報と励ましのお言葉、ありがとうございます。
そうなんですね、シフのようなバッハの巨匠でもわりと気まぐれ?だったりするんですね。少し気が楽になりました…(^^;)。
私の場合、結局のところ弾きやすさ(簡単さ?)と好みで選ぶことになりそうです ♪
いえいえ。
気まぐれというか、若い頃に練習したヴァージョンで指が覚えてしまっているのでしょう。
似たように、ベートーヴェンのソナタでも、以前の版ではフォルテだったところが、今はピアノになっている箇所もあり、先生によっては今さら解釈を変えられない!と、生徒に旧版のまま要求することもあるようですよ。
難しい問題ですね!
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