2019年6月28日金曜日

チャイコン(ピアノ)文化的成熟度の差が出た最終結果?

第16回チャイコフスキーコンクール(ピアノ部門)ファイナルの最終日、藤田真央くんだけはライヴで聴いた。残念ながら、期待したような演奏は聴けなかった…。

これでは上位入賞も無理だろうな…と思いながら眠りについて…。今朝起きてすぐに結果を確認。優勝はやはりカントロフ、真央くんはシシキンとともに 2位…。う〜ん…?




皆さんすでにご存知だろうが、一応結果をコピペしておく。

1位: Alexandre Kantorow (France)
2位: Dmitriy Shishkin (Russia)
  Mao Fujita (Japan)
3位: Alexey Melnikov (Russia)
  Kenneth Broberg (USA)
  Konstantin Yemelyanov (Russia)
4位: Tianxu An (China)

Special Prize  for courage and restraint – Tianxu An (China)


ファイナルを聴く限りカントロフの 1位は間違いないと思っていた。シシキンもある意味納得(私の中での納得…)の 2位。でも、真央くんの 2位は複雑な心境…。

それにしても、中国のアンくんを除くあとの 3人が同率 3位って…、審査員団が仕事をしてないようにしか見えない…。確かに優劣つけがたい感じではあったのだが…(^^;)。

アンくんの特別賞は審査員団を含む運営側からの「謝罪」の意味だろう。


一応、藤田真央くんの演奏を聴いた感想を書いておく。

真央くんが登場した時点の血の気の引いた表情を見て、これはヤバイかも…と直感的に思った。スマイルもぎこちない…。

で、演奏が始まった途端、セミファイナルのスクリャービンが蘇った。音が出ていない、体全体が固くて、表情も冴えなくて、音楽に推進力がない…。

どこかで切り替えてくれるだろうと期待&心配しながら聴いていたが、結局そのままでチャイコフスキーは終わってしまった。

ラフマニノフは少し盛り返した感じだったが、セミファイナルまでと比べると精彩を欠いた演奏で終わってしまった…という印象。

この時点で、優勝はカントロフ、真央くんは良くて 3位くらい…と思った。


終わってみて、カントロフと藤田真央くんを比べてみると、色んなことを感じる。

カントロフは 22歳にして大人の雰囲気を持つ。一方で真央くんはピアノ学科の学生さん、というか無邪気なお子様のような印象。図太さみたいなものを感じない。

カントロフは単なるピアニストではなく、意思をもった音楽家の風貌。ピアノの演奏の完成度としては少し物足りないところはあるが、音楽を表現する意志の強さは感じる。父親ジャン=ジャック・カントロフの影響もあるのだろうか…。

真央くんはとても良い素質をもったピアノ弾き。ピアノがとても好きで一生懸命練習していたらとても上手になってしまった…という感じ。

その素直さ・まっすぐさが真央くんの魅力でもあるのだが、国際的な舞台でトップに立つにはまだ必要なものがたくさんあるのだろう。このコンクールが次の飛躍へのターニングポイントになるといいのだが…。


でも、その背景にあるのが、実は日本の文化的成熟度の問題なのでは?ということもふと考えてしまう。歳をとるとつい余計な詮索をしがちなようだ…(^^;)。

よく言われるように、日本の文化は若者、というより最近はお子様中心になっている。というより、業界やメディアが儲け中心に走った結果そういう状況に陥っているのではないかと思う。大人として成熟することがあまり評価されない社会…。

藤田真央くんの育った環境、ピアニストとして活躍している場が、もっと成熟したものになることも必要なのでは…? 聴き手の一人である私自身の反省でもあるが…。


もう一つ思ったのは、去年の浜松国際でも感じた《ピアノ曲の器、ピアニストの器…?》ということ。

音楽で表現されることは、必ずしも美しいものだけではない。

ドロドロした人間の感情や人生の中での喜怒哀楽とか生老病死とか…。大自然や社会といった大きなスケールの物語もあるだろう。そういったものを、説得力のある音楽としてピアノで表現するには、演奏者にもそれなりの成熟度が求められると思う。

真央くんが実力を発揮しきれなかったのはメンタル面が大きいとは思うのだが、私の心のどこかでは、そういった「成熟度」の課題もあるように感じている。

ただ、最終的に出てくる音(音響)は音楽的に美しいものであってほしいと、個人的には思っている。なので、「ガンガン弾き」よりは真央くんの美しい音の方が好きだ。でも、美しさに加えて力強さとか意思を込めた音質とかも欲しい。聴き手は欲張り…(^^;)?


とはいえ、世界に Mao Fujita の名前を知ってもらうこともできたし、会場の様子を見ているとかなりの数のファンもできたのではないかと思うので、それは良かった ♪

何だかんだ言いながら今回も十分に楽しませてもらった ♪ ピアニストの皆さん、お疲れ様でした。本当に感謝です…(^^)♪ ガラコンサートは楽しんでほしいと思います。

運営問題とかサイトの情報が遅いとか政治?とか色んな問題も見え隠れしてはいるが、やはりピアノコンクールでは、チャイコフスキーコンクールが一番面白いと思う…(^^)。



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