2018年12月9日日曜日

アレンスキー Arensky 編曲の『くるみ割り人形』ピアノ連弾 ♪

《ピアノカレンダー》を見ていて、児玉麻里&桃のピアノデュオが12月13日に浜離宮朝日ホールで「チャイコフスキー=アレンスキー」の『くるみ割り人形』を演奏することになっている(→浜離宮ランチタイムコンサート)のに気がついた。

アレンスキー編曲? ちょっと前に『くるみ割り人形』のピアノ編曲を色々探していたときには見つけることが出来なかったが、アレンスキーという人も編曲しているんだ…。

《『くるみ割り人形』のピアノ編曲いろいろ ♪》


『くるみ割り人形』ピアノ連弾楽譜と編曲者アレンスキー

実は 2年ほど前に、児玉姉妹『児玉麻里&桃姉妹~ピアノ連弾版“チャイコフスキー三大バレエ組曲”』というCD(↓)が出ていて、そう言えばちょっと話題になっていたことを思い出した。そのときはバレエ音楽には殆ど興味がなくてスルーしてしまったが…(^^;)。

Tchaikovsky: Ballet Suites Tra



そのとき読んだ記事がたぶんこれ(↓)。

✏️ピアニストの児玉麻里&児玉桃、チャイコフスキーの3大バレエ音楽取り上げた初の姉妹共演盤におけるこだわりを語る

で、CDの紹介がこれ(↓)。

✏️児玉麻里&桃姉妹~ピアノ連弾版“チャイコフスキー三大バレエ組曲”


改めてこのCDに収録されている曲目を見てみるとなかなか面白い。

編曲者がすごいのだ。「眠りの森の美女」はラフマニノフ、「白鳥の湖」はドビュッシーの編曲だそうだ。「白鳥の湖」の一部はランゲリという人の編曲。

で、「くるみ割り人形」の編曲者がアントン・アレンスキー(Anton Stepanovich Arensky、1861-1906)というロシアの作曲家。

アレンスキーについて、詳しくは Wikipedia などを見ていただくとして、作曲はリムスキー=コルサコフに師事しており、モスクワ音楽院の教授時代の弟子にはラフマニノフ、グレチャニノフ、スクリャービンなど「多くの逸材を輩出している」という人のようだ。

師匠のリムスキー=コルサコフの評価(↓)は辛辣だ。

青年時代のアレンスキーは私の影響から逃れようとはしなかった。その後チャイコフスキーに影響されるようになった。あいつは早晩忘れられるだろう


CDの解説記事には「アレンスキーは近年日本でも熱心なファンを増やしている作曲家ですが、この編曲は楽譜が極めて入手困難なため伝説となっていました」と書いてある。

半分は宣伝文句だと思うが、たまたま「アレンスキーの名曲“ピアノ三重奏曲第1番、第2番”」と紹介されたCDの発売記事があったので、少しは知られている人なのかも…。

✏️ブリリアント・クラシックス~2019年1月発売予定新譜情報(10タイトル)

✏️【CD】アレンスキー: ピアノ三重奏曲集


「楽譜が極めて入手困難」というのは本当のようで、あのノーマン・レブレヒトさんでさえ、ブログに "Does anyone have a 4 hand nutcracker?"(誰か4手「くるみ割り人形」の楽譜持ってない?)という記事(2017年6月)を出していたりする。

チャイコフスキーの "Nutcracker, arranged for piano 4 hands by Arensky in 1892 and published by Jurgenson" というのがあるんだけど、とてつもなくレア物らしい。ロシアにスキャンしたコピーを提供しているところがあるそうだが、£1,641(24万円弱)もする!誰か持ってない?


ちなみに、アレンスキーは『くるみ割り人形』全曲(Op.71)を4手連弾用に編曲しているらしいのだが、児玉姉妹のCDに入っているのは組曲ナンバー(Op.71a)とパ・ド・ドゥ(グラン・アダージョ)の9曲だけ。

で、アレンスキー版は「連弾」なのだが、児玉姉妹は「2台ピアノ」で演奏している。理由は(上のインタビュー記事によると)…。

…この作品を1台でやるのは、たとえば下がピッツィカートで、上がレガートといった場合、ペダルの問題で無理なんです。どれだけやっても、どこか妥協せざるを得ません

 「実は、相手にペダルを任せて自分は手だけ弾くというのもものすごく難しいことなんですよ


おまけ。上でご紹介したCD「アレンスキー: ピアノ三重奏曲集」であるが、来年1月31日発売予定にも関わらず、Spotify で聴くことができた…(^^)!? まぁ、宣伝にもなるので先出ししている? ピアノ三重奏曲第1番と第2番。曲としては…まぁまぁ…かな…(^^;)?



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