この数年間で挫折を繰り返してきたフーガであるが、もう少しで何とか苦手意識を払拭できそうだ。「払拭」は言い過ぎかな?「緩和」くらい?
あと10日ほどで、バッハのフーガ(平均律第2巻第7番 BWV876)も2カ月練習したことになる。ここまで飽きずに続いたのは、バッハの曲がいいのか、なかなか弾けないので次々に課題が出てきたせいか…?
少し、進み具合の確認をしてみたいと思う。
「まる」(よくできました)な部分としては、
①自分で「進歩した」と感じられている
②複雑な指使いの箇所でも力まずに弾けている
③弾きながらタッチなど意識できている
…といったところ。
①は、途中で挫折せずに何とかなりそうだ、ということもあるが、それよりも、弾いている「感覚」としても進歩を感じられていることが大きい。自分にとっては難易度の高いフーガを、これまでに「自分のレベルにあった曲」を1カ月近く練習したときの感覚で弾けている。
といっても「ミスしながらも通して何とか弾ける」レベルでしかない。止まる回数もまだまだ多いので、自己満足できるレベルに達するにはもう少し練習が必要だ…。
②は、十分な脱力とまではいかないが、少なくとも力まずに弾けていると思う。指が痛くなることはほとんどなくなった。
練習の前半で、時間をかけてラクな指使いや手首の角度や手の形を探したことが、少しは役に立っているのかもしれない。もちろん、弾いている途中でも、ところどころで脱力を意識している。
③は、その脱力の意識もそうなのだが、いくつかのポイントとなりそうな箇所で、タッチやアクセントを意識したり、少し間合いをとることを意識できるようになってきた。
部分練習では、当然できることなのだが、曲を通して弾きながら意識できるということが、私にとっては一つの進歩である。ほんの少しだが「余裕」のようなものを持てるようになってきたかも…。
さて「ばつ」(がんばりましょう)な部分。あげるとキリがないが、いま思っている主なことを並べてみると。
①主題が意識できてない(フーガらしくない?)
②「メカニカル」(機械的)な弾き方になっている
③テンポ感がイマイチ
①は、前回少し書いたことだが、フーガらしく弾くことは、今の私の実力を考えると相当にハードルが高い。
なので、せめて「主題の出だしだけ意識して少し強めに弾く」とか、「弾きながら各声部のヨコの流れを耳で追う」とかをやりたいのだが…。
このテーマが、やや曲者?で(ちょっと言い訳すると…)、曲の冒頭(↓)の1小節目 E♭の音が「出だし」なのだ(当然…)が、耳に聞こえやすいのは4小節目の音型なのだ…。なので、7小節目の B♭の出だしはまだいいが、14小節目の E♭になると下の声部に埋もれて聞こえない…。
②も前回書いたことだが、これまでは音を追うことで精一杯だったのが、ある程度弾けてくると、自分なりに表情をつけたくなるのだ。「表情」と言っても、バッハなので、ロマン派的な、情緒的なことではないと思うのだが…。より「音楽」らしく弾きたい。
③のテンポ感も、「表情」「音楽」に関連しているかもしれない。
"Allegro maestoso." とあるので、そんなに遅くはないと思うのだが、プロの演奏は比較的ゆったり、たぶん "maestoso" 的なものが多いように思う。
ところが、下手に(下手が…?)ゆっくり目に弾くと、間が持たないというかリズムが単調になりやすい。でも、早めに弾くと4声部分がしんどいし、それよりも、やや軽薄な?リズム感になってしまう。4小節目の音型が「チャンチャカチャンチャン」みたいに…(^^;)。
②③あたりはけっこう大事な部分で、要は「こう弾きたい」という音楽のイメージが十分に持てていないのだと思う。たしかに、これまでは「フーガ」をやっつけることが当面の課題だったので…。
…ということで、あと10日間の練習方法・作戦を考えてみた。
①いろんな弾き方を試してみる
②ラクに弾ける「しなやかなフォルテ」を目指す
③他の楽器の音をイメージする
①は、全体をやや硬めのフォルテで弾く、ラクに柔らかく弾くことだけを考える、弾ける範囲で速く弾いてみる、…などいろいろ試すということ。そうする中で、一番しっくりくる弾き方やテンポ感もが見つかるかもしれない。
フレーズを意識して、強弱(山谷)を少し極端につけてみる、などもやってみようと思っている。
②は、今年のテーマの一つでもある「ラクに弾く」ことを目指したいということ。全体的にフォルテの曲ではあるが、あくまでも音楽的な「しなやかで伸びやかなフォルテ」を目指したい。
技術的には、「脱力+重さ+指のバネ」ということだろうか(たぶん)。
③はカミさんのアドバイス。音楽をイメージする一つの方法。
この曲の場合、今のところ管楽器が一番しっくりくるような気がしている。トランペットとかホルンのような。荘厳だが少し華やかな "maestoso" 。
イメージを豊かにするために、《近況:バッハのフーガ(BWV876)、お手本の演奏を探す》を書いたときに見つけた、チェンバロや弦楽四重奏などももう一度聴いてみようと思う。
さて、あと10日間(しかない? or もある?)。2カ月間も練習したのだから、「自己満足レベル」より少しは上を目指したいと思うのだが…。
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