アンドラーシュ・シフの名前は以前から知っていた。が、とくにこれといった印象も持っていなかった。少し前に、YouTubeでバッハのフランス組曲を探していたら、たまたま見つけたのがこのシフの演奏であった、というだけのことである。
しかし、演奏が始まってまもなく、これはすごい!と感じた。本当にやわらかいタッチで淡々と楽々と弾いているように見えるのに、そこから立ち現れる音楽が実に豊かでつややかなのである。
これまでのバッハのイメージとはかなり違うものであった。といって、感情的とかロマン派のような感じとはかけ離れている。とてもきちんとした端正な音なのに、なぜか聞き入ってしまうのである。
※「元の動画が削除されたため新しいものに入れ替え@2015.2.6」と追記しているが、再度入れ替えた@2021/08/15
フランス組曲は第1番から第6番まである。シフは、それを全部通して、暗譜で弾いている。それもすごいのだが、1時間22分の間ずっと引き込む音楽の力も驚嘆すべきものがある。終わったあとも、もっと聴きたいと思った。
バッハはもともと好きな作曲家であったが、フランス組曲をきちんと、それも全曲聴いたのはこれが初めてである。これを機に、イギリス組曲なども全部聴いてみようと思っている。
それにしても、何度も聴きたくなるような名演に出会えたのは、本当に幸運なことであった。宝物が一つ増えたような幸福を感じる。
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