✏️Pianist Is Rewarded For Slowing Down
記事を見ると、イタリアのピアニスト Filippo Gorini が "Sonata for 7 Cities" プロジェクトで、Franco Buitoni 賞というのを受賞した…らしいのだが…。
Filippo Gorini の公式サイトの記事や "Sonata for 7 Cities" プロジェクトの説明を読んでみた。
それによると…
世界ツアーのように各地のホールを忙しく渡り歩くのではなく、7つの都市にそれぞれ 1ヶ月間腰を据えて、コンサートやレクチャなど様々な地元密着型の音楽活動をする…という計画のようだ。
2025-26年シーズンにスタートして、その後も可能であれば続けたい…とのこと。活動内容は "performances, teaching, education, outreach and philanthropy" という 5つの組合せ。
"performances" はリサイタルと地元オーケストラと共演するコンサートなど。"teaching" には、地元の若手ピアニスト 5人に対する mentoring が含まれる。"education" は学校や大学でコンサートやセミナー、音楽活動などを行うこと。
"outreach" というのは、日頃コンサートに触れる機会のないような地域に出かけて演奏すること。"philanthropy" は、病院や刑務所に出向いてのリサイタルなど…。
リサイタルは、古典派・ロマン派のソナタを中心に組み立てられるようだ。さらに、7つのピアノソナタが新しく委嘱されて、それぞれの都市で?初演されることになっている。
既に決まっている作曲家は、Stefano Gervasoni、Michelle Agnes Magalhaes、Oscar Jockel、Federico Gardella、Yukiko Watanabe(渡辺 裕紀子)の 5人。知らない名前ばかり…(^^;)。
7つの都市は、ウィーン、ヴァンクーヴァー、ミラノと、あと 4カ所はアフリカ、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、南北アメリカなどから選ばれるようだ。
なかなか面白いことを考えるピアニストがいるものだ…というのが私の最初の感想。
冒頭で紹介した記事では、各地のホールを飛び回ることに対して、一つの都市に 1ヶ月間滞在して色んな音楽活動をやることを "Slowing down" と表現していた…訳だ。
国際ピアノコンクールの中には、コンクール期間中に学校訪問などの活動を行っているものもあったと思うが、地元密着のような考え方は音楽ファンとしては嬉しい ♪
ところで、Filippo Gorini(フィリッポ・ゴリーニ、1995- )という名前と顔に見覚えがあったので、自分のブログを検索したらこの記事(↓)が出てきた。
2020年にやった「ベートーヴェンの全作品を聴く」プロジェクト《All BTHVN 🎧》で、それまで聴いたことのないディアベリ変奏曲の演奏を探しているときに遭遇している。
そのとき聴いた CD がこれ(↓)。きれいでよく響く音色は好みだったのだが、やや軽過ぎるかな?…ということでお気に入りにはあと一歩だったピアニストだ。
♪ Beethoven: Diabelli Variations(YouTubeプレイリスト)
最新アルバムは、パンデミック中の研究成果ということで録音したバッハの『フーガの技法』(2021年8月リリース)。
♪ Filippo Gorini - Johann Sebastian Bach, L'Arte della Fuga (Die Kunst der Fuge), BWV 1080(YouTube演奏動画)
そしてもう一つ、"Franco Buitoni" という賞の名前もどこかで聞いたような気がしたのだが、これも以前に記事を書いていた…(^^;)。
この「BBT賞」というのは、若いクラシック音楽家を支援することを目的として 2002年に Buitoni 夫妻によって設立された慈善信託 "Borletti-Buitoni Trust" が、毎年数名/組の若手音楽家に授与しているもの。
一方、今回の "Franco Buitoni Award" は、2016年に亡くなった Franco Buitoni 氏を偲んで 2017年に設けられた賞のようだ。イタリアの室内楽に関わる音楽家を支援するために、隔年で £25,000 が授与されている。
第一回目の受賞者がクルターグ夫妻ということになっているので、2017年の「特別賞」を継続することにしたものかも知れない。
✏️Franco Buitoni Award(公式サイト)
"Sonata for 7 Cities" プロジェクトが始まるのは 2025-26年シーズンなのでまだ少し時間があるが、Filippo Gorini にとっても音楽界にとっても、いい成果が出ることを期待したいと思う。
個人的には、委嘱作品の 7つのピアノソナタを早く聴いてみたいと思っている…(^^)♪
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