2026年7月20日月曜日

🎹C.P.E.バッハ④:52曲のピアノ協奏曲からお気に入り(代表曲?)を探す…

カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ (Carl Philipp Emanuel Bach、1714-1788)は、鍵盤楽器(主にチェンバロ)のソロ曲として 630曲以上を残しているが、協奏曲も 52曲ある。ほとんどがチェンバロ用、一部に「オルガンまたはチェンバロ」「チェンバロとフォルテピアノのための二重協奏曲」などがある。

YouTube に音源のあった現代ピアノによる演奏を 20数曲聴いてみたが、全体的に溌剌として魅力的なものが多く、もっと演奏機会に恵まれてもいいのでは…と思った。

追記@2026/07/23
C.P.E.バッハには「鍵盤楽器とオーケストラのためのソナチネ」という小規模の協奏曲のような作品が 12曲あることを発見したので、文末に追記した。




C.P.E.バッハのピアノ(鍵盤楽器)協奏曲に関する解説記事などのネット情報はほとんどない。…ので、様々な検索や AI の知恵?を借りて探索してみた。聴いた音源はほとんどが YouTube で、基本的には現代ピアノによる演奏。

弾いているピアニストが限られている(ほぼ、ミヒャエル・リシェ…)ので、もっと色んな演奏家の解釈・演奏を聴きたかったなぁ…というのがやや残念な点。

好みの曲を選んでみたが、他のピアニストの演奏があれば結果が少し違っていたかも知れない。


協奏曲の全曲録音は、古楽器によるものとしてはミクローシュ・シュパーニ(Miklós Spányi、ハンガリー、1962 - )とコンチェルト・アルモニコ等による「C.P.E.バッハ鍵盤楽器協奏曲全集」(全20巻、BIS Records、1995〜2014)が完結している。



シュパーニは C.P.E.バッハの鍵盤音楽に関する世界的権威で、ソロ作品についても全曲録音を進めており、現在 41巻まで(ほぼ完結?)が BIS Records からリリースされている。




現代ピアノによる協奏曲全集については、ミヒャエル・リシェ(Michael Rische、ドイツ、1962 - )とベルリン・バロック・ゾリステンによるシリーズが、hänssler Classic レーベルから順次リリースされているようだ。第8集が今年の 4月にリリースされている。



リシェ教授は古今のピアノ協奏曲の研究家としても知られ2010年ごろからC.P.E.バッハに取りつかれ52曲のピアノ協奏曲全曲録音をめざしております

ただ、「8枚目のアルバムをもって、利用可能なチェンバロ協奏曲の約半数を網羅する筆者のシリーズはついに完結する」と書いてある記事もある(↓)…?

✏️C.P.E. バッハの「ピアノ協奏曲集 Wq. 7, 42, 37」(クラシック音楽の小窓-その後)


全集以外の録音は多くないが、ドミトリー・バシキーロフが Wq. 43-4、アナスタシア・インジュシナが Wq. 43-2、オラーツィオ・ショルティーノが Wq. 43-2 と Wq.14 を録音している。バシキーロフ以外は初めて聞く名前のピアニスト。


ドミトリー・バシキーロフ(Dmitri Bashkirov、露、1931 - 2021)



アナスタシア・インジュシナ(Anastasia Injushina、露)


✏️バッハ親子の「ピアノ協奏曲集」(クラシック音楽の小窓-その後)


オラーツィオ・ショルティーノ(Orazio Sciortino、伊)

パドヴァ・ヴェネト管弦楽団(Orchestra di Padova e del Veneto)

収録曲
  1. ピアノ協奏曲 ニ長調 Wq.43/2 H.472
  2. ソナチネ ニ長調 Wq.96 H.449
  3. ピアノ協奏曲 ホ長調 Wq.14 H.417(1楽章、第2楽章のカデンツァ(即興):オラツィオ・ショルティーノ)
  4. ファンタジア第2番 ハ長調 Wq.61/6
  5. ラ・グライム、ロンドー Wq.117/19




今回主に聴いたのは、ミヒャエル・リシェのアルバムに収録されたピアノ協奏曲 21曲(↓)。これに含まれないが複数の録音がある Wq.43-2 ニ長調については聴き比べてみた。

C.P.E. Bach: Piano Concertos ①(アルバム)12曲
Wq. 1, 45, 15, 11, 43-4, 24, 5, 8, 30, 7, 37, 42

♪ C.P.E. Bach: Piano Concertos ②(アルバム)9曲(+ソロ曲 3)
Wq. 23, (112-1), 31, 17, (43-4), 14, 22, (43-5), 46(2pf), 26, 44, 20

※ Wq.112-1 は 3楽章からなるソロ曲「協奏曲 ハ長調 Wq.112-1 (H.190)」Concerto per il Cembalo Solo。Wq.43-4 と Wq.43-5 はソロ編曲版。

あと、珍しいチェンバロとフォルテピアノのための二重協奏曲 Wq.47 も聴いてみたが、あまり面白いとは思わなかった…。



ざっと聴いた感想としては、溌剌とした楽想のものが多く楽しく聴けた ♪

J.S.バッハのたった一世代あとの音楽とは思えないほど、時代を先取りしている印象を受けた。バロックから古典派への橋渡し…みたいな位置付けをされることが多い C.P.E.バッハだが、古典派の開祖と言ってもいいのでは?…と思った。

この印象は、「多感様式」や「Sturm und Drang(疾風怒涛)」の影響、突然の曲想の変化や「メロディ+和声」の多用、「急 - 緩 - 急」の様式、…などから来るものだろう。


とくに気に入った作品を順不同(作品番号順)に挙げてみた(↓)。AI の回答に複数回(2〜3回)登場した曲が 1曲もなく、1回だけ挙げられた曲が 6曲中 5曲も入っているのは面白い…(^^;)?

  1. Concerto in A minor, H.403 (W.1)🎹①🌸溌剌とした魅力
  2. Concerto in A major, H.410 (W.7)🎹①🌸mv1 独特なメロディー
  3. Concerto in A major, H.411 (W.8)🎹①🌸
  4. Concerto in D minor, H.425 (W.22)🎹①🌸
  5. Concerto in A minor, H.430 (W.26)🎹①🌸mv1 疾風と怒涛
  6. Concerto in B minor, H.440 (W.30)🎹🌸


以下、ピアノ協奏曲全 52曲の一覧(Wq.番号順)に、聴いた曲(🎹マーク)と私の感想「🌸:気に入った 🌼:やや気に入った」を付けてみた。丸付き数字は AI の回答に含まれた回数(後述の【参考:AI に聞いてみた】参照)。

ちなみに、ついでに聴いたソロ曲「協奏曲 ハ長調 Wq.112-1 (H.190)」と Wq.43-5 のソロ編曲も私の感想は「🌸」だった。

  1. Concerto in A minor, H.403 (W.1)🎹①🌸溌剌とした魅力
  2. Concerto in E flat major, H.404 (W.2)
  3. Concerto in G major, H.405 (W.3)
  4. Concerto in G major, H.406 (W.4)
  5. Concerto in C minor, H.407 (W.5)🎹🌼
  6. Concerto in G minor, H.409 (W.6)
  7. Concerto in A major, H.410 (W.7)🎹①🌸mv1 独特なメロディー
  8. Concerto in A major, H.411 (W.8)🎹①🌸
  9. Concerto in G major, H.412 (W.9)
  10. Concerto in B flat major, H.413 (W.10)
  11. Concerto in D major, H.414 (W.11)🎹🌼
  12. Concerto in F major, H.415 (W.12)
  13. Concerto in D major, H.416 (W.13)
  14. Concerto in E major, H.417 (W.14)🎹②
  15. Concerto in E minor, H.418 (W.15)🎹
  16. Concerto in G major, H.419 (W.16)
  17. Concerto in D minor, H.420 (W.17)🎹
  18. Concerto in D major, H.421 (W.18)
  19. Concerto in A major, H.422 (W.19)
  20. Concerto in C major, H.423 (W.20)🎹🌼
  21. Concerto in A minor, Wq21 (H424)
  22. Concerto in D minor, H.425 (W.22)🎹①🌸
  23. Concerto in D minor, Wq 23 (H 427)🎹③🌼
  24. Concerto in E minor, H.428 (W.24)🎹
  25. Concerto in B flat major, H.429 (W.25)
  26. Concerto in A minor, H.430 (W.26)🎹①🌸mv1 疾風と怒涛
  27. Concerto in D major, Wq27 (H433)
  28. Concerto in B flat major, H.434 (W.28)
  29. Concerto in A major, H.437 (W.29)
  30. Concerto in B minor, H.440 (W.30)🎹🌸
  31. Concerto in C minor, Wq31 (H441)🎹🌼
  32. Concerto in G minor, H.442 (W.32)
  33. Concerto in F major, H.443 (W.33)
  34. Concerto in G major, H.444 (W.34) *1
  35. Concerto in E flat major, H.446 (W.35) *1
  36. Concerto in B flat major, H.447 (W.36)
  37. Concerto in C minor, H.448 (W.37)🎹③
  38. Concerto in F major, H.454 (W.38)
  39. Concerto in B flat major, Wq 39 (H 465)
  40. Concerto in E flat major, H.467 (W.40)
  41. Concerto in E flat major, Wq41 (H469)
  42. Concerto in F major, Wq42 (H471)🎹
  43. Concerto in F major, Wq43/1 (H 471)
  44. Concerto in D major, Wq43/2 (H 472)🎹🌼mv2 のソロ ♪
  45. Concerto in E flat major, Wq43/3 (H 473)
  46. Concerto in C minor, Wq43/4 (H 474)🎹③
  47. Concerto in G major, Wq 43/5 (H 475)②
  48. Concerto in C major, Wq 43/6 (H 476)
  49. Concerto in G major, Wq 44 (H 477)🎹🌼
  50. Concerto in D major, Wq 45 (H 478)🎹
  51. Concerto in F major, Wq46 (H 408)🎹 *2
  52. Concerto in E flat major, Wq47 (H 479) ①*3

*1:オルガンまたはチェンバロのための協奏曲
*2:2つのチェンバロのための二重協奏曲
*3:チェンバロとフォルテピアノのための二重協奏曲


【参考:AI に聞いてみた】

Google 検索の「AI による概要」を使ってみたが、同じ検索語でも違う回答が出てくることがあるし、「演奏機会の多い」「有名な」「代表的な」と変えても異なる回答になる。ちなみに「調」が間違っていたりして、あまり信用できない。

…が、とりあえず、AI の回答 5回分を多数決的にまとめてみた…(^^;)。丸付き数字は得票数?そのあとに AI の代表的なコメント。

  • ニ短調 Wq.23 (H.427)③最も人気が高く、劇的な「疾風怒涛」のスタイルが色濃く表れた傑作
  • ハ短調 Wq.37 (H.441)③重厚な響きと内省的な美しさが同居しており、彼の鍵盤音楽の深遠さを味わえます
  • ハ短調 Wq.43/4③親しみやすく、愛好家にも人気
  • ト長調 Wq.43/5②技巧的でありながら親しみやすいメロディ
  • ホ長調 Wq.14 (H.417)②19歳という若さで書かれた初期の代表作
  • イ長調 Wq.29②ベルリン宮廷時代後半の円熟期に書かれた作品

その他(得票数?= 1)、Wq. 1、Wq.7、Wq. 8、Wq.22、Wq.26、Wq.47 が挙げられた。


追記@2026/07/23

C.P.E.バッハは「鍵盤楽器とオーケストラのためのソナチネ」を 12曲(↓)残している。これらは、室内楽と協奏曲の中間的な様式を持っており、他の作曲家にはあまり見られない作品である。小規模協奏曲あるいは室内楽的協奏曲といったところだろうか?

  1. ソナチネ ニ長調 Wq.96,H.449 (1762)🌸
  2. ソナチネ ト長調 Wq.97,H.450 (1762)
  3. ソナチネ ト長調 Wq.98,H.451 (1762)
  4. ソナチネ ヘ長調 Wq.99,H.452 (1762)
  5. ソナチネ ホ長調 Wq.100,H.455 (1763)
  6. ソナチネ ハ長調 Wq.101,H.460 (1763)
  7. ソナチネ ニ長調 Wq.102,H.456 (1763)
  8. ソナチネ ハ長調 Wq.103.H.457 (1763)
  9. ソナチネ ニ短調 Wq.104,H.463 (1764)
  10. ソナチネ 変ホ長調 Wq.105,H.464 (1764)
  11. 2台のチェンバロと管弦楽のためのソナチネ ニ長調 Wq.109,H.453 (1762)
  12. 2台のチェンバロと管弦楽のためのソナチネ 変ロ長調 Wq.110,H.459 (1763)

以下の 3作品は当初アマチュア向けに出版されたと思われるが、のちに楽器編成の規模なども拡大して改版されている(上の 12曲に含まれる)。

  1. ソナチネ ハ長調 Wq.106,H.458 (1763) → Wq.101,H.460
  2. ソナチネ ニ短調 Wq.107,H.461 (1764~65) → Wq.104,H.463
  3. ソナチネ 変ホ長調 Wq.108,H.462 (1764~65) → Wq.105,H.464

参考✏️PREFACE: SONATINAS(cpebach.org)


ピアノによる演奏は、上で紹介したオラーツィオ・ショルティーノ(Orazio Sciortino、伊)の CD に収録されている「ソナチネ ニ長調 Wq.96 H.449」しか見つからなかった。これは素晴らしい演奏なので、他の「ソナチネ」ももっと現代ピアノで演奏されてほしいと思う。


古楽器では、全曲集を出しているミクローシュ・シュパーニがタンジェントピアノによる演奏を録音をしている。



0 件のコメント: