J.S.バッハの平均律曲集第2巻から第16番ト短調 BWV885 のフーガ、練習開始から 3週間。
練習の方は、部分練習の繰り返しで毎日四苦八苦している状況。なかなか弾けるようにならない…というか、弾けそうな兆しさえ見えない…(^^;)。
少しでもこの曲に対する理解を深めようと思って、楽曲分析の資料をいくつか読んだ。全体の構成と、主題やエピソードなどの様子が分かってきたので、練習するときの手がかりにはなりそうだ。
いくつか読んだ資料で、一番分かりやすかったのはこれ(↓)。
大きくは Enunciation(提示部)、Modulatory(展開部)、Recapitulatory(再現部+コーダ)の 3つの部分で構成されている。
提示部には、主唱・答唱を合わせて 5つの主題と 4つの対旋律、そして 1つのエピソード(移行部、嬉遊部…)が含まれている。
展開部には、6回主題(主唱・答唱)が登場するが、うち 2回は二重フーガとなっている。そして、5つのエピソードが変化に富んだ様相を見せている。
再現部には、主題は 2回登場し(1回は二重フーガ)、コーダ(Codetta + Coda)のあと、少し変形された主題と二重の対旋律が曲を締めくくる。
ストレッタは登場しない。
上記資料から "ANALYSIS" 部分を引用させて戴く(↓)。
ENUNCIATION SECTION:
- Bars 1-5: Subject in Tenor [G minor].
- Bars 5-9: Tonal Answer in Alto, with Counter-subject in Tenor [D minor].
- Bars 9-13: Subject in Treble, with Counter-subject in Alto [G minor].
- Bars 13-17: Answer in Bass, with Counter-subject in Treble [D minor].
- Bars 17-20: Episode I, modulating from D minor to G minor.
- Bars 20-24: Subject in Tenor, with Counter-subject in Bass [G minor].
MODULATORY SECTION:
- Bars 24-28: Episode II, modulating from G to D minor.
- Bars 28-32: Subject in Alto, with Counter-subject in Treble [D minor].
- Bars 32-36: Subject in Treble, with Counter-subject in Alto [B flat major].
- Bars 36-40: Answer in Bass, with Counter-subject in Treble [F major].
- Bars 40-45: Episode III, modulating from F to B flat major.
- Bars 45-49: Subject in Alto and Tenor in 3rds, with Counter-subject in Bass [B flat major].
- Bars 49-51: Episode IV, modulating from F to C minor.
- Bars 51-55: Subject in Treble and Alto in 6ths, with Counter-subject in Tenor [C minor].
- Bars 55-59: Episode V, modulating from C minor to E flat major.
- Bars 59-63: Subject in Tenor and Bass in 3rds, with Counter-subject in Treble and Alto in 3rds [E flat major].
- Bars 63-67: Episode VI, modulating from E flat major to G minor.
RECAPITULATORY SECTION:
- Bars 67-69: Subject in Tenor, with Counter-subject in Alto [G minor].
- Bars 69-72: Subject in Treble and Tenor, with Counter-subject in Alto and Bass [G minor].
- Bars 73-75: Codetta, working on to a Perfect Cadence in G minor.
- Bars 75-84: Coda [G minor].
- Bars 79-83: Subject (slightly altered) in Bass. Reminiscence of Counter-subject in Tenor and Alto [G minor].
下記は、展開部の最後に登場する "Double subjects and countersubjects" のところ。
…と、大体の構成が分かったので練習するときの区切りの見当は付くようになったのだが、弾けるようになるかどうかは、当然ながら別問題だ…(^^;)。
一つ思ったのは、このフーガにはエピソードが多いのではないか?(他のフーガと比べて)ということ。6つのエピソードはそれぞれ違っていることもあり、これが難易度を上げているような気もする。
先のことになるが、通して弾くときには、このエピソードの存在を意識する、主題・対旋律のところと区別することが大事になりそうな気がする。
ところで、テンポに関する情報を見つけた(↓)。
✏️バッハ : 第16番 前奏曲とフーガ 第16番 フーガ BWV 885 ト短調(PTNAピアノ曲事典)
この、大井和郎氏の解説によると、二つの考え方があって、一つは「♩=58 位で、ゆっくり厳かに演奏する方法」、もう一つは「♩=110 位で進ませる方法」だそうだ。解説者のおすすめは後者。
最初にお手本にしようと思っていたエマールさんのテンポは「♩= 86」くらい、少しゆっくり目のリヒテルが「♩= 72」くらい。
(pf:スヴャトスラフ・リヒテル)
なので、「♩=58」にしても「♩=110」にしても極端すぎるような気もするのだが、ゆっくりしか弾けない私としては、「♩=58」でも OK というのは朗報だ ♪
ただし、「♩=58」には「パイプオルガンで」と書いてあるのだが…(^^;)。
スケールは変ロ長調/ト短調の練習を継続中。
音楽鑑賞は、この一週間もほとんど聴けていない。2回の通院と昔の仲間との集まりがあって時間がなかった…というのが言い訳なのだが…(^^;)。



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