2025年10月1日水曜日

次の練習曲はブクステフーデ「前奏曲とフーガ」ピアノ編曲版 ♪

次のピアノ練習曲は、ディートリヒ・ブクステフーデ(Dieterich Buxtehude, 1637-1707)のオルガン曲をプロコフィエフがピアノ用に編曲した「前奏曲とフーガ ニ短調 BuxWV140」。

以前、《鍵盤音楽史:バッハ以前》の作曲家を調べていたときに、Boris Berman(ボリス・ベルマン、1948-)の演奏(↓)を聴いて気に入った曲。このときは、楽譜を見て難しいと思ったのだが、今回試し弾きをしてみると何とかなるかも?…と思ったのでやってみることにした。





ブクステフーデは北ドイツ・オルガン楽派の最大の巨匠であり、J.S.バッハ以前のドイツを代表する音楽家の一人。バッハも大きな影響を受けている。

バッハは 20歳のとき(1705年)、晩年(68歳)のブクステフーデに会うため、アルンシュタットからリューベックまでの 400km (東京〜京都の手前)を歩いて行ったそうだ。

このとき、ブクステフーデの演奏に心酔したバッハは 4週間の予定を 16週間に延ばし、多くのことを学んでいる。

ちなみに、ブクステフーデはバッハに後継者(聖マリア教会のオルガニスト)になるよう提案したが、娘との結婚が条件だったためその申し出を断ったという話が残っている。少し前にヘンデルも同じ経験をしたようだ…(^^;)。


参考:フランチェスコ・トリスターノは、バッハのこの 400km の徒歩旅行にちなんだアルバム "Long Walk /Francesco Tristano" を出している。ブクステフーデ、バッハ、トリスターノの作品を組み合わせたもの。

💿Long Walk /Francesco Tristano(2013年リリース)

♪ LONG WALK(アルバム)



この CD ではブクステフーデの作品は次の 5曲が選ばれている。それと、バッハの「ゴルトベルク」からは「クオドリベット」と「アリア」。そして自作の 2曲。

  1. トッカータ BuxWV165
  2. カンツォーナ BuxWV168
  3. カンツォーナ BuxWV173
  4. シャコンヌ BuxWV160
  5. アリア《ラ・カプリッチョーサ》と32の変奏曲 BuxWV250


この曲は「前奏曲とフーガ」というタイトルになっているが、ブクステフーデの「前奏曲とフーガ」には、前奏曲、フーガ、トッカータなど複数の曲(2〜5曲)が含まれる。

「前奏曲とフーガ ニ短調 BuxWV140」では、前奏曲、フーガ 1、フーガ 2 という構成になっている。

プロコフィエフの編曲では、前奏曲とフーガ 1 だけが選ばれていて、それに短いコーダが付加されている。

ピアノ編曲版には、アウグスト・ストラーダル(1860-1930)によるものもあるが、こちらはフーガ 2 まで全曲が編曲されている。


ストラーダルの方が、出だしのところが少し易しくなっていたりするのだが、両方の演奏を聴いた感じで、プロコフィエフの方を選ぶことにした。

フーガ 2 がない分、短いのも魅力…? それと、二つのフーガをつなぐ部分(Quasi improvisato e recitativo.)とフーガ 2(Allegro moderato)がちょっと難しいので…(^^;)。

フーガ 1 は Andante moderato。

ちなみに、バッハの「トッカータとフーガ ニ短調 BWV565」のフーガ主題の前半は、この「前奏曲とフーガ ニ短調 BuxWV 140」から取られているという説もある。


冒頭で紹介したボリス・ベルマン(↓)以外に数人のピアニストがこの曲を取り上げている。


ニコライ・デミジェンコ(Nikolai Demidenko、露、1955 - )。



Vivi Hanbyul Jung。



ストラーダル編曲のものは、メイリン・アイ(Meilin Ai)というピアニストが曲集(↓)を出していて、BuxWV140 もその中に含まれている。



収録曲は以下。

  1. 前奏曲とフーガ イ短調 BuxWV 153 :Prelude/ Fugue I/ Fugue II/ Toccata
  2. チャッコーナ ホ短調 BuxWV 160
  3. 前奏曲とフーガ ホ短調 BuxWV 143:Prelude/ Fugue I/ Fugue II - Adagio
  4. 前奏曲とフーガ ホ短調 BuxWV 142:Prelude/ Fugue I/ Fugue II/ Fugue III
  5. パッサカリア ニ短調 BuxWV 161
  6. 前奏曲とフーガ ニ短調 BuxWV 140:Prelude/ Fugue I/ Fugue II
  7. 前奏曲とフーガ ト短調 BuxWV 150:Prelude/ Fugue I/ Fugue II/ Fugue III
  8. チャッコーナ ハ短調 BuxWV 159
  9. 前奏曲とフーガ ヘ長調 BWV 145:Prelude/ Fugue
  10. 前奏曲とフーガ 嬰ヘ短調 BuxWV 146:Prelude/ Fugue/ Toccata


ちなみに、元の曲はオルガンなのでかなり印象が違う。



…ということで、10月からはこの曲を練習することに決めた。

冒頭の低い D 音などサステイン・ペダルがないと弾けない箇所や、届かない箇所(10度)もあるので、簡単には弾けないと思うが、美しい曲なので何とか頑張りたいと思う。

まぁ、気に入った箇所だけでも「自分のイメージ通り」に「気持ちよく」弾けるようになることを目標にした「楽しむ練習」方法も少し視野に入れながら…(^^;)。


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