つい最近リリースされたダニール・トリフォノフの新譜 "Tchaikovsky" が実に魅力に溢れている。初めて聴くピアノソナタも、慈しむような「子供のアルバム」も素晴らしい。
トリフォノフの言葉(↓)の中にある「喜び」「心の安らぎ」を感じられるプログラム ♪
「私たちはチャイコフスキーのことを、典型的なロマン派の作曲家とか、苦悩する人として捉えがちですが、特に若い頃の彼は親密な人間関係の中に喜びを見出し、家族の中で心の安らぎを得ていたのです」
収録曲は下記の通り。YouTube で全曲聴ける。
♪ Tchaikovsky(アルバム)
- 創作主題と変奏ヘ長調(『6つの小品』Op.19より第6曲)
- ピアノ・ソナタ嬰ハ短調Op.80
- 子供のアルバムOp.39
- 演奏会組曲『眠れる森の美女』Op.66(プレトニョフによるピアノ編)
「創作主題と変奏」はチャイコフスキー 33歳のときの「6つの小品 Op.19」の最終曲。12分ほどの曲なので「小品」とは言えないかも知れないが、主題、変奏 1〜12、コーダという 14の小品で構成されている。初めて聴いたが、いい感じの曲だ。
ピアノソナタは、チャイコフスキーがサンクトペテルブルク音楽院に在学していた 25歳のときの作品。シューマンの影響があるとされている。生前には出版されず、1900年にユルゲンソンより出版されて遺作として作品番号80を与えられた。
「第1楽章:Allegro con fuoco/ 第2楽章:Andante/ 第3楽章:Scherzo. Allegro vivo/ 第4楽章:Allegro vivo」という 4楽章構成。
これも初めて聴いたが、なかなかに魅力的な作品だと思う。とくに第2楽章と第3楽章は美しく、気に入った。
この CD で一番楽しめたのは「子供のアルバム」かも知れない。
子供向けに書かれたやさしい曲を、トリフォノフは実に見事な芸術作品に仕上げている。…といっても、肩肘張ったような演奏ではなく、一つ一つの音を慈しむように丁寧に音楽が紡がれていく…。
まさに「喜び」や「心の安らぎ」を感じることができる ♪
「眠れる森の美女」も聴いていて本当に楽しい。久しぶりにピアノの響きに楽しく浸ることができた…(^^)。
実は、最近「ショパンコンクール」をずっと聴いてきて、耳も心もちょっと疲れてしまっていた。その前はピアノ音楽全般に関する「耳タコ」みたいなものを感じていてい、音楽鑑賞から少し離れていた。
で、ちょっと前に気になっていたトリフォノフの新譜でも聴いてみようか…と思って聴き始めたのが今回ご紹介しているアルバムなのだが…。
これが、大当たり!♪ というか、本当に久しぶりにピアノ音楽を聴く喜びを味わえたのだ。音楽はこうでなくっちゃ…(^^)♪
もう一つ、この記事を書いていて思い出したのがトリフォノフの昨年のアルバム "My American Story: North"。
このときは、新譜のニュースだけで全曲は聴けなかった。あとで聴こうと思っていてそのままになっていたことに、今になって気がついた…(^^;)。
これも、あとで聴くことにしよう ♪
♪ My American Story: North(アルバム)
ちなみに、第2弾 "My American Story: South" のリリースも予定されていた筈だが、検索しても見当たらない。
"My American Story: North" の記事では「アメリカ人になった Daniil Trifonov?」などとタイトルに付けたが、今回のアルバムを聴いて、トリフォノフはやはりロシア人で、ロシア文化の中にある一番良いものを忘れてないんだなぁ…という妙な?感想を持った。
久しぶりに「故郷(ふるさと)」などという言葉を思い浮かべて、ちょっと感傷的になっているかも…(^^)?
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