3次予選も楽しませてもらった。…のは間違いないのだが、今朝見た結果には本当にガッカリした。自分の目を疑って数回見直した。疑うべきは自分の感性かも知れないが、そこは個人の問題なので譲れない…(^^;)。
ファイナリスト 10人の名前をコピペしておく。🌸🌼は、ファイナルに進んでほしい(進むだろう)と思った人。🌸は当確、🌼は進んで欲しいけど、どうかな?と思った人。
今回は審査員団と私の意見・感性がかなり違っていたようで、7人に🌸を付けたうち 3人しかファイナルに進めなかった。
1. Piotr Alexewicz, Poland
2. Kevin Chen, Canada
3. David Khrikuli, Georgia🌸
4. Shiori Kuwahara, Japan🌸
5. Tianyou Li, China
6. Eric Lu, USA🌼
7. Tianyao Lyu, China
8. Vincent Ong, Malaysia🌸
9. Miyu Shindo, Japan🌼
10. Zitong Wang, China
11. William Yang, USA
中国 3人、日本とアメリカ 2人、それ以外はポーランド、カナダ、ジョージア、マレーシア。国の比率みたいな意図はないとは思うのだが…。韓国がゼロというのも驚きだ。
2次でダイナミックな演奏を聴かせてくれた David Khrikuli(ダヴィド・フリクリ)くん、今回は弱音の美しさが際立った。、葬送行進曲のあとの中間部分の弱音は天上の音楽のようだった ♪ マズルカも見事。強い音や和音の響きにもう少し伸びが欲しいかも…。
桑原志織さんはマズルカはやや重い?スケルツォとソナタは素晴らしかった ♪
Eric Lu は、体調が悪いのか、演奏順が最後になっていた。でも、演奏は 2次よりも良かったと思う。音も美しく全体的によく整っていると思うが、個人的には今ひとつ惹きつけられるものを感じない。
Tianyao Lyu(リュー・ティエンヤオ)は、2次ほどではないが、やはり高音の硬い感じが気になる。音がよく響くのだが、ちょっとうるさく感じる場面もある。ソナタでは若さが出たのかな?という印象で、深みを感じることができなかった。将来は楽しみ?
Vincent Ong(ヴィンセント・オン)の変奏曲とソナタはとても良かった。美しい音の響きとメリハリのある音楽の流れ ♪ マズルカはリズム感が乏しくイマイチかな?
進藤実優さんの丁寧さは好感が持てるが、音楽より先行して一生懸命さが伝わって来るのはちょっと違うのでは?
ファイナルに進めなかったことに疑問を感じる 4人。
Hyo Lee くんは、2次に続いて素晴らしいリサイタルのような演奏を聴かせてくれた。音楽が心に直接響いてくる。多彩で豊かな音色・音楽の流れ・リズム感・細いニュアンスなどすべて好み ♪
Hyuk Lee くんも、ソナタは堂々とした正統派の演奏という感じで、2次よりも実力を発揮していたと思う。
牛田智大くんのステージもリサイタルそのもの ♪ とくに、ソナタは一つ一つの音に気持ちがこもっていて、それが自然に伝わってくる。情感豊かな音楽になっているが、決して崩れず構成もきちんとコントロールされている。名演と言っていいと思う(個人的には…)♪
彼の場合、コンクールの結果に関わらず、自分のピアノには自信を持っていると思うし、持っていいと思う。この先も自分の信じる道を進んで欲しい。
Piotr Pawlak(ピオトル・パヴラック)は、軽やかなロンドが面白かった。マズルカもいい感じ。ソナタはゆったりしたスケール感もあり美しい音の響きもあり素晴らしい ♪
今回の審査員団が何を重視しているのかよく分からないが、高坂はる香(音楽ライター)さんのツイート(↓)が、私の感想の一部を代弁してくれている…と思った。
「結局、ショパンコンクールってどんなピアニストを求めているんだろう。真逆の方向の特徴を持つピアニストがファイナリストになった印象。
あえて多様な感性の審査員を集めた結果なのかもしれないけど。普通のコンクールならそれでいいのかもしれないけど??」
それと、審査員の一人でもあるクリシュトフ・ヤブウォンスキ教授の問題発言が影響してないといいのだけれど…とも思う。
コンクール中にこういう発言(↓)をすること自体が問題だと思う。
「今の演奏は楽譜どおりに弾かれることが少ない。すべてが感覚的で、観客の反応を狙っている。ステージでは“爆発するエゴ”ばかりが目立つ。謙虚さや知識が欠けている」
またしても「伝統 v.s. 新しさ」のせめぎ合いの中での「伝統」派の発言だと思われる。
この教授が問題視する「作曲家の意図を無視した演奏」や、1925年にショパン・コンクールを創設したイェジー・ジュラヴレフ教授の掲げた理念「ショパンの音楽を正しく守り、演奏の様式を次世代に伝えること」には、一定の理解はするのだが…。
「ショパンの意図」とか「正しいショパンの音楽」というのは、きちんと存在するのだろうか? 後世の学者や音楽家が作り上げた幻想…とまでは言わないが、この人達が主張しているのは、沢山の考え方・捉え方や「解釈」が存在する(しうる)中での一つに過ぎないのではないか?…と素人ピアノ音楽ファンの一人(私)は思う。
おまけ的な話になるが、今回のコンクールを聴いている中で、私自身の「好み」の傾向の一つを発見したと思った。
それは、聴き手を無駄に緊張させるような演奏は好みではないということ。もちろん、自然に惹きつけられる演奏による「心地良い緊張感(感動)」は好ましいと思う。
無駄な緊張の元になっているのは、いわゆる「顔芸」や演奏スタイルから滲み出る(音の表現には繋がっていない)悲壮感などの演技や一生懸命(必死)感…みたいなもの。
この部分ではヤブウォンスキ教授と意見が一致しているかも…(^^;)?
私の音楽の聴き方(楽しみ方)は美しい芸術音楽にゆったりと浸ること…♪
それにしても、コンクールというのは本当に色々考えさせられる(一筋縄ではいかない)ものだと改めて思った。2次までの結果が「順当」だっただけに余計に感じる。
前回 2021年のショパンコンクールでも、牛田くんの 2次予選敗退などいくつかの「?」があった。
ただ、最終的には、新鮮で多彩な「より自由で個性的な演奏」を聴かせてくれたピアニストたちが多く入賞して、十分に納得できる結果だった。
さて、今回の結末はどうなるのだろう?…という楽しみもありつつ、3次の結果を見てショパンコンクールに対する興味が半減した気持ちは否めない。
少なくとも、🌸を付けた 3人の演奏は聴くと思うが、それ以外は…(^^;)?
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