2025年10月13日月曜日

ショパンコンクール 2次予選、リサイタルのような牛田智大、Hyo Lee、David Khrikuli…♪

今回 2次は(全曲ではないが…)40人全員を聴いた。1次では全員を聴いてはいないので初めて聴くピアニストも半数近くいるかも…。

2次全体の印象としては、リサイタルのような素晴らしい演奏をしたピアニストが何人かいたこと。それと、1次は良かったのにちょっと残念…という人も。

素晴らしいピアニストたちも 20人に絞られて、ますます楽しめそうな予感…(^^)♪




リサイタルのような演奏と感じたのは、私の好みの順番で行くと…

一番は牛田智大くん。

葬送行進曲のあとの静かに奏でられるメロディーの美しさ、前奏曲の最後の曲の充実感、完成度の高い英雄ポロネーズ。どっしりと落ち着いて音楽(演奏)に集中している様子は正統派ピアニストのリサイタルのよう。音の響きに一回り成長した牛田くんの成熟・余裕を感じた ♪

二番目は Hyo Lee くん(弟の方)。

あまり聴いたことのないソナタ Op.4 を実に見事な演奏(解釈)で蘇らせた。風格さえ感じさせる英雄ポロネーズも良かった。表情豊かな美しいピアノの響きも素晴らしいが、ピアノ&ショパンを弾く喜びを感じさせる本人の表情も好きだ ♪

三番目はジョージアの David Khrikuli(ダヴィド・フリクリ)。ダイナミックレンジの広い力強い表現力が素晴らしい。現代ピアノのポテンシャルを最大限に引き出したショパンと言えるかも。好みは分かれそうだが私は好きだ。完成度の高い芸術作品としての演奏だと思う。


今回新たにお気に入り候補になったのが、ポーランドの Piotr Pawlak(ピオトル・パヴラック)。1次の演奏はたぶん聴いてない。

美しい音の響きと自然な音楽の流れに加えて、(もしかすると)いわゆる「ショパンらしい」表現が出来ていたのかも知れない。音量を最大限に出そうとするピアニストが多い中で、全体的にゆったりとして安心して聴ける好演だった。


一番残念だったのは、中川優芽花ちゃんが 3次に進めなかったこと。

1曲目のポロネーズは緊張のせいか硬かったが、前奏曲は素晴らしかった。ダイナミックレンジも大きく、音も美しく、久しぶりに音楽が直接心に届くのを感じた ♪

ただ、ちょっとミスが多かったのと、余裕が感じられなかったので、本人も満足のいく演奏ではなかったのかも知れない。


他の注目・応援しているピアニストたちは順当に 3次に進んだ。ただ、1次で期待値が上がり過ぎたせいか、聴いているときのワクワク感やインパクトは少し減ったかも…(^^;)。

桑原志織さんはとても良かったのだが、1次ほどの感動はなかった。ただ、聴衆の反応からすると、私が感じた以上に素晴らしい演奏だったのだろうと思う。

Hyuk Lee くんも良かったのだが、弟の Hyoくんの印象的な演奏のあとだったので、プラスアルファ的なものがあまり感じられなかった。正統派ということかも知れない。

Eric Lu は、個人的な印象としては、いつもより元気がない、というか精彩に欠けているような感じを受けたのだが、3次に進めて良かったと思う。

1次で本当に素晴らしいと思った中国の Tianyao Lyu(リュー・ティエンヤオ)は、なぜかあまり良くなかった。音がキンキンしていて(マイクのせい?)、音楽の流れも今ひとつ良くない。でも、もう少し聴いてみたいと思っていたので、3次に進めて良かった ♪


これでコンペチタは 20人に絞られた訳だが、その中に桑原志織・進藤実優・牛田智大という 3人が残ったのは良かった。

中国の 6人には負けるが、ポーランドと同数である。あと、カナダと韓国が 2人ずつ。

"competition" という意味ではますます熾烈な競争になりそうだが、聴衆&ファンの一人としてはとても楽しみな展開になってきた…(^^;)♪


下に 3次予選に進む 20人を挙げておく。聴きながら書いたメモ(※)も残してある。

マークは青柳いづみこさんが名前を挙げていた人。‼️/❗️/🔺は、1次での印象で「すごくいい」「いい」「いいかも」と思った人。AA/ A/ B は 2次での「すごくいい」「いい」「いいところもある」をほぼ半数の人に付けたもの。太字は応援したいピアニスト。

A/ B を付けたピアニストも数人落ちたが、マークを付けた 13人(AA: 3、A: 3、B: 7)が 3次に進んだので、今回は審査委員と私の感覚のズレはいつもほど大きくないようだ。

  1. Piotr Alexewicz, Poland
  2. Kevin Chen, Canada B:ルービンシュタイン 1位
  3. Yang (Jack) Gao, China
  4. Eric Guo, Canada:ピリオド楽器 1位
  5. David Khrikuli, Georgia🔺 AA:個性派
    ※力強い表現力、ダイナミックレンジの広さ、芸術作品としての演奏、現代ピアノのポテンシャルを最大限引き出したショパン、魅力的なリサイタル
  6. Shiori Kuwahara, Japan‼️ A:ルービンシュタイン 2位/ ブゾーニ 2位
    ※とてもいいのだが、期待値が高過ぎたせいか 1次ほどのインパクトは感じなかった、模範演奏?
  7. Hyo Lee, South Korea AA
    ※あまり演奏されないソナタ Op.4 を見事な演奏(解釈)で蘇らせた、表情豊かな美しいピアノの響き、ピアノ&ショパンを弾く喜び、風格さえ感じさせる英雄ポロネーズ ♪
  8. Hyuk Lee, South Korea A:パデレフスキ 1位
    ※スケルツォ Op. 31 などは素晴らしいのだが、プラスαをあまり感じないかも…
  9. Tianyou Li, China
  10. Xiaoxuan Li, China B
    ※よく響く音でダイナミック、ややうるさい?
  11. Eric Lu, USA B:リーズ 1位/ ダン・タイ・ソン門下
  12. Tianyao Lyu, China‼️ B
    ※2次は何故か音がキンキンしていて流れも今一つ?
  13. Vincent Ong, Malaysia B
  14. Piotr Pawlak, Poland A
    ※粒立ちの良いクリアな音で心地よい音響、音楽の流れもいい、"Andante spianato ..." 良かった
  15. Yehuda Prokopowicz, Poland
  16. Miyu Shindo, Japan❗️ B
    ※前奏曲のリズム感やちょっとした間の取り方が私の感覚と違うように感じた
  17. Tomoharu Ushida, Japan AA:浜松 2位
    ※葬送行進曲のあとの静かに奏でられるメロディーの美しさ、前奏曲の最後の曲の充実感、完成度の高い英雄ポロネーズ、正統派、リサイタルのよう、一回り成長した牛田くん、どっしりと落ち着いて音楽(演奏)に集中している感じ、音の響きに成熟・余裕を感じた
  18. Zitong Wang, China B
  19. Yifan Wu, China:上海音楽院
  20. William Yang, USA


おまけ。今回、私にとって(たぶん)初めて聴く曲がいくつかあって、それも楽しめた。

とくに良かったのが Hyo Lee くんが弾いたソナタ(第1番)Op.4(ショパン 17歳の作品)と、牛田くんが弾いたマズルカ風ロンド "Rondo à la Mazur in F" Op. 5(ショパン 16歳の作品)。曲も演奏も気に入った ♪

あと、Gabriele Strata が弾いたボレロ Op.19 も面白かった。


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