少し前から、クラシック音楽に対する「耳タコ」状態のようなものが続いている。聴きたい曲があまり思いつかず、聴いても以前のように感激・感動することがほとんどない。
高齢化に伴う感受性の枯渇…みたいな話はとりあえず棚に上げておくことにして…(^^;)。
このままでは良くない…というか楽しくないし面白くないので、聴きたい音楽・いいなぁ ♪ と思う曲を探すことにした。久しぶりの音楽探索…♪
私の「耳タコ」的状態はどうも「四期」(バロック〜近現代)の曲が中心のようで、今練習しているスウェーリンクなどの「バッハ以前」に対してはそれほど感じない。
そして、「現代音楽」もたぶん大丈夫なはず。そんなに頻繁に聴くわけでもないし、何らかの「新しさ」を含む音楽作品のはずなので…。
…で、とりあえず「現代ピアノ作品」を探索してみることにした。
ただ「現代音楽」といっても、「第2次大戦終結〜現在」などというよくある解説に従うと随分古いものになるので、今回は「21世紀(に作曲された)音楽」に絞ることにした。
何の取っ掛かりもないので、とりあえず最近「世界初演」されたピアノ作品などを検索して、片っ端から聴き始めた。
ところが、10曲ほど聴いたところで意外なことが起こった。
それは、「21世紀音楽」の中にも、私の感性が「耳タコ」反応をするものが少なからずあったこと。これにはちょっと戸惑ってしまった…。
もちろん、中には新鮮な音の響きを(個人的には)新しいものとして受け止められて、久しぶりに「これ、いいなぁ ♪」というのを感じられたものもあった。
「耳タコ」反応を起こす作品とそうでない作品、その違いについて少し考えてみた。
どうも「耳タコ」反応を起こす原因は、これまでに私が聴いてきた「現代音楽」の中にあるいくつかの要素、つまり、音響(雑音)や音型や和声的なものなどにあるのではないか?…と思い当たった。「現代音楽」の「音楽語法」みたいなもの?
21世紀に作曲されたものにも、「現代音楽」の「クリシェ」(cliché)=ありきたりで使い古された表現が既に入り込んでいて、ある意味「古びた」ものになっている可能性がある。
そういった「音楽語法」みたいなものに対する正直な感想を口語体で書くと…。
「分かったよ、『現代音楽』っぽさが欲しいんでしょ。でも、ちっともいいと思わないけど…。こういうのはもういいよ!要らない!」
「そろそろ『現代音楽っぽさ』から脱却して、本当に『いい音楽』を書いて欲しいんだけど…」
まぁ、作曲家の皆さんも「いい音楽」を書こうとして、日夜努力されているのだろうけれど、私が感じたような「音楽語法」が既に古いもの(クリシェ)になってしまっていることに早く気が付いた方がいいと思う。
…と、気に入らないもののことをあれこれ考えても仕方ないので、聴いた中で「いいなぁ ♪」と感じたものを二つほどメモしておきたい。
今後、何度も聴く中で感じ方は変わるかも知れないが、現時点で私の感性が「いい音楽」と受け止めたことは確かである。両方とも 3回聴いて、感想は変わらない。
一つ目は、ピアニストとしても作曲家としても私のお気に入りになっているファジル・サイの最新のピアノ協奏曲「マザー・アース」。聴いてすぐに気に入った ♪
タイトルからすぐに、サイの初期の代表作「ブラック・アース」を思い出したが、実際「ブラック・アース」からの引用もあり、似たような雰囲気を持つ部分もあるかも…。
下記記事によると、これはカルティエが万博に出展した「ウーマンズ パビリオン」の記念公演らしい。5月23日、大阪のザ・シンフォニーホールにて、作曲家自身によるピアノ、シモーネ・メネセス指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団によって世界初演された。
✏️ファジル・サイ《ピアノ協奏曲「マザーアース」》世界初演(ショットミュージック、2025/5/22)
もう一つは、Bent Sørensen(ベント・セアンセン/ソアンセン、デンマーク、1958~)の「ピアノ協奏曲第2番〈La Mattina〉」。2009年に作曲され、レイフ・オヴェ・アンスネスに献呈されている。"La Mattina" はイタリア語で「朝」。
この曲も聴いてすぐに気に入った。ピアノの音も弦楽器の響きも実に美しく調和していて、音楽というか情緒とか「詩」を感じさせる。といって、まったく古めかしさはない。
ピアノは不協和音を使ってはいるが、調性音楽の安定感を感じるもので、弦楽器はグリッサンド的な微分音を使って現代的なテクスチャを展開するが、その二つが実に見事な音楽を織り成していく。
管楽器やクラベス(claves)という拍子木のような楽器(オーケストラの全員が持っている)も使われている。弦楽器に合わせてハミングしている箇所もあるようだが、聴き取れなかった。
ちなみに、この〈La Mattina〉は 5年ほど前にも一度出会っている。このときは、現代ピアノ曲を探す一つの方法として「世界初録音」があると思いついて、色々探した中にセアンセンのこの作品も含まれていたのだが、そのあとちゃんと聴いたかどうかは不明…(^^;)。
さらに、11年前(私がピアノを練習し始めた頃)にピアニスト探索をしたときにアンスネスのことを調べているなかで、セアンセンの〈The Shadows of Silence〉というソロピアノ曲を聴いたりもしていた…。
これは、一度ちゃんと Bent Sørensen を調べて、作品を聴かなくては…(^^)♪
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