スタッカートは、基本的には「投げ」の動作である。腕と手首と手と指を同時に総動員する必要があるが、最小のエネルギーで最大の効果を得るためには、コーディネートと反射神経が重要。持ち上げるときは、リバウンドも利用しながら腕全体同時に行われる。各部位の組み合わせ方(ブレンド割合)により様々なスタッカートが可能となる。
『シャンドール ピアノ教本―身体・音・表現』
ジョルジ シャンドール 著、岡田 暁生 監訳(春秋社、2005/2/1)
第2部 五つの基本動作
第7章 スタッカート
※数字はページ番号、赤字は私のマーク
135
単音・重音・和音を問わず、スタッカートの弾き方は同じ。…オクターヴの動作は…通常のスタッカートと同じである。
スタッカートの技術は能動的でコーディネートされた腕と手首と手と指の動作を必要とし、それらを同時に総動員する。これらの動作を巧みに配分する…。
脱力ではなく、最小のエネルギーで最大の効果を得ることが、我々の目的である。…大事なのはコーディネートと反射神経であって、奇跡を創造するのはうまくシンクロナイズされた身体である。
136~
スタッカートは基本的に投げの動作である。
指先が垂直の直線を描くようにする唯一の方法は、上腕を使うことである。
142~
腕全体は同時に持ち上げられる。(自由落下のときとは異なる)
鍵盤の底からのリバウンドも当然利用する…。
四つの部位(指・手・前腕・上腕)の組み合わせは無数にある。
144
オクターヴのレガートには、基本的にオクターヴのスタッカートと同じ腕の上下の動作が要求される。…異なる点…は、上下運動が、出来るだけ穏やかで小さなものであるという点。もう一つは、音価のぶんだけ指が鍵盤上にずっと留まっているという点である。
…
オクターヴのレガートは、投げというよりはシフトの動作に近い。
147
まず個々の部位を、その後で組み合わせを練習する。
…すべての部位をしっかり意識しておくことが望ましい。最初は指をわずかに持ち上げて落とすことだけに集中されたい。その次に、手、前腕、上腕の順番で、それぞれをわずかに持ち上げて落とす練習をする。そして四つの部位全体をシンクロナイズさせてみる前に、二つないし三つの部位を組み合わせて練習してみる。
148
次の指に移る時、構えが固まることを防ぐために、腕と胴体のポジションを絶えず調整しなければならない。同じ音を同じ指で…連打する時は、部位のいくつか、あるいはすべての構えをわずかに変える…。
スタッカートの動作は、…音階や回転としばしば併用される。
演奏に関わるすべての部位は、その動作範囲の中心領域内で動かすようにする。
ある意味で横隔膜の速い収縮こそが、スタッカートの動作を「開始」する…。
149(練習)
(前腕の調整動作を確認しながら)順番に1、2、3、4、5の指で弾きなさい。まず片手ずつ、それが終わったら両手一緒に。平行の動きと左右対称の動きを両方用いなさい。黒鍵上と白鍵上で、同時に、また交互に弾きなさい。ピアニッシモからフォルティッシモまで音量を変化させなさい。同じ練習をあらゆる音階と和音でやってみなさい。速度が増せば動きは小さくなる。
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