(数字は引用部分のページ番号、赤字は私のマーク、→のあとは私のコメント)
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291
最近、トルコ出身のファジル・サイというピアニストのCDをきいた。最初にきいたのはモーツァルト(ソナタK333, 330, 331, キラキラ星変奏曲K265 の四曲)だが、その演奏の若々しさといったらなかった。音がきれいというだけでなく、テンポの思い切った速さ、ピアノできかせる歌の微妙な表現性といった点で、まず、きき手をびっくりさせ、それから魅惑する。この人は若々しさと、心憎いばかりの計算の確かさ、細かさの両面を併せ持っている点で、並々ならぬ器であるといっていいだろう。
→大賛同!CDはたぶんコレ↓
『トルコ行進曲〜サイ・プレイズ・モーツァルト』
(なんだかジャケットの写真がえらく若い…)
298
同じものの繰り返しでなくて、新しい経験を求める心の動き。変化への要求。これがあればこそ、人間の進歩も生まれるし、前にどんな名人がいたにせよ、あとから来た若い世代の音楽家たちが作曲し、演奏し、生きてゆくことが可能になるのである。
→いい言葉である。
301
たとえば、私はウゴルスキできくシューベルトの《さすらい人幻想曲》を格別高く評価する。彼のこの曲の演奏には何か特別なものがある。…これをきいていると、この世ならぬどこかへつれてゆかれるような気がして、不思議な思いに満たされる。
→ウゴルスキというピアニストは初めて聞く名前である。それにしても、思わず聴いてみたいと思わせる書き方だ。
315
…それはグルダが、シューベルトの《即興曲》作品90と《楽興の時》作品94を入れたCDである。これは彼の残したすべてのCDの中でも、彼の最も深い内奥の世界を印した貴重品であって、《即興曲》の第一曲でGの音がオクターヴで鳴らされたあと、長い長いフェルマータで響き、そうして次第に減衰するのをきき、さらにそれに続いて…、それだけでもうこの音楽の故郷の呼び声に、この世のものとも思えないようなものを感じないではいられなくなる。…これは恐るべき名曲の稀代の名演である。
…グルダの言葉…「…シューベルトの作品の根底には脱落と別離、病と死に対する極めてウィーン的な想い、ウィーン人にしか本質の理解されない、微笑みながら自殺するといった感覚が流れている。…」
→たぶんこのCD:『Gulda plays Schubert』
→いま、シューベルト(とくにピアノ・ソナタ)を少しちゃんと聴こうと思っているところである。フリードリヒ・グルダというピアニストは、名前は知っていたがあまり記憶・印象にないひとであった。ウィーン生れ、ウィーン音楽院で学ぶ。生粋のウィーン人、アルゲリッチを教えた人。一度、グルダのシューベルトを聴いてみようと思う。
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→読書メモ「之を楽しむ者に如かず」1
→読書メモ「之を楽しむ者に如かず」2
→読書メモ「之を楽しむ者に如かず」3
→読書メモ:作曲家・曲・演奏家編1
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