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2016年12月13日火曜日

2016年:ピアノに関する本ベスト5+アルファ

年末が近づいて、そろそろ今年のまとめやら反省やらをしようかと思っている。第一弾は、今年読んだピアノや音楽に関する本について。

去年(→《2015年:ピアノに関する本、今年のベスト10♪》)同様、ベスト10を決めるつもりで記録を見てみると、そもそも読んだ本が10数冊しかない…(^^;)。

ということで、今年は「ベスト5+アルファ」ということにした。




 (セイモア・バーンスタイン)



『シーモアさんと、大人のための人生入門』という映画を11月のはじめに観た。ピアニスト・ピアノ教師のシーモアさん(セイモア・バーンスタイン)のドキュメンタリーだが、これが実によかった。

で、そのときに彼のピアノに関する本が何冊か日本語訳で出ているのを知って、一冊読んでみた。それがこの本だ。


副題に「音楽による自己発見」とあるように、ピアノの練習は「自己発見」や「自己実現」のようなことにもつながる、またその逆もある、という考え方が基本にある。

ピアノの弾き方・練習の仕方についてもとても参考になるのだが、「感情のない機械的練習からは正確さは生まれても音楽性が生まれることはない」といった考え方の部分で教えられることが多かった。

「感想文」の記事も3本(↓)書いている。ご参考まで…。





 (高橋 アキ)



以前から現代ピアノ音楽に興味があり、ときどき聴いたりしているが、なかなか理解できない。で、現代ピアノ曲を積極的に弾いている高橋アキさんの、自らのピアノ人生を語ったこの本を読んでみた。

「同時代に生きる作曲家の作品を弾きたい」という思いとか、「ピアノの音響を活かした(ピアノにしか作れない)音楽」とか、共感できるところがたくさんあった。


が、ピアノを弾くことに関して一番「そうだ!」と思ったのは、「一つの音に全部の要素が込められている」ということ。

「音符を(機械的に)正確に弾くこと」が出来てからその上に「表現」を乗せるのではなく、最初から「全体を理解する」というアプローチしか考えられない、という話には説得力がある。

これは、低いレベルではあるが、最近の自分の練習でも心に留めていることである。

3つほど書いた「感想文」(↓)の最初がその話である。





ちなみに、今度の日曜日(12月18日)に高橋アキさんのリサイタルを聴きに行くことにしている。

ねもねも舎主催公演第2弾が、たまたま高橋アキさんによる武満徹のピアノ独奏曲ほぼ全曲の演奏会だったので、即決でチケットを購入した(↓)。ラッキーである ♪



 (中村 紘子)



7月に中村紘子さんが亡くなられて(→《中村紘子さんの訃報に接して》)、そういえば『ピアニストという蛮族がいる』を読もうと思いつつ、これまで読んでなかったことを思い出した。

で、この際と思って、図書館にあった3冊をまとめて読んだ。その中で一番面白かったのがこの本。

チャイコフスキー・コンクールの話(裏話も含めて)がメインで、読み物としてもとても充実した本だ。ちなみに第20回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している。


が、私がもっと面白いと思ったのは、中村紘子さんの辛口の論評。

例えば、日本人コンペチターに対しては「きちんと弾くが個性に乏しい」「音もきゃしゃで平板で単色であり、感情が率直に伝わってこない」などと手厳しい。

また、教育現場で語られる「音楽性」は、得てして「勝手気ままに『出鱈目』に弾くこと」と混同されていることが多い、といったことを淡々と語っておられる。そのあたりの感想は下記記事に書いた。



また、『ピアニストという蛮族がいる』の感想は下記。







 (西原 稔)



シューマンの「森の情景」を練習したときに、『シューマン 全ピアノ作品の研究(下)』を読んで勉強した(↓)。




それはそれで役に立ったのだが、面白かったのがこの「上巻」にあった「目的別練習曲一覧」というもの。

シューマンは、身につけるべきピアノ技術を30種類に分類し、それぞれにふさわしい練習曲をあげているのだ。例えば、こんな感じ(↓)。




30種類のピアノ技術については、あとでやるかもしれないと思って次の記事にメモっておいたのだが、実はまだ何もやってない…(^^;)。



 (小澤 征爾、小澤 幹雄)



この本は、新刊書案内かなにかでたまたま知ったもので、著者に小澤征爾さんの名前があったので、読んでみた本である。

昔の思い出話かと思いきや、なかなかに面白かった。昔の人(ピアニスト)の方が本格的に音楽に取り組んでいたような気がした。

単身、本場ドイツに行って、ドイツの大作曲家であるバッハやベートーヴェンを演奏する、そして高い評価を受ける。すごいことだ…。

次にこんな「ピアノの巨人」が日本から現れるのはいつの日か…?



以上の5冊以外にも、面白かった、役に立った本というのがいくつかあったので、簡単にご紹介(過去記事)。


 ↓
オーケストラの入門書としてはなかなかいい本だと思う。通り一遍の解説ではなく中味が濃く、かつ読み物としても面白かった。


 ↓
「現代の音楽」や久石さんの作曲方法などについてのエッセー風の本。


 ↓
4月に「作曲遊び」をやってみたときに読んだ本。それなりに参考になった。


 ↓
世界のピアノメーカーの主なモデルの写真やデータが載っていて、眺めるだけでも興味深い本。


 ↓
「ラクに弾く」を身につけるためにもう一度読んだ本。やさしい書き方だが、いまだに参考になる。



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