現代ピアノ曲のおすすめ10曲を AI に教えてもらった ♪

一般に公開され始めた「生成AI」（「新しいBing」や「Bard」など）を試しに使い始めている。まだ発展途上という感じではあるが、うまい使い方を見つけたいと思っている。

《AI が選んだ世界のおすすめピアニスト 5人とは？》

今回は現代ピアノ曲について質問してみた。《鍵盤音楽史》にまだ入れてない現代作曲家を探索するということも兼ねて…。

＊

まず、最近グーグルが一般公開した「Bard」を使ってみた。上の図は、英語で "10 best classical piano pieces composed after 1973" を聞いたときの回答。

このあとに次のような文が続くのだが、これはある程度定型化された回答文のようだ。

These pieces are all considered to be masterpieces of modern classical music. They are characterized by their beautiful melodies, rich harmonies, and innovative use of rhythm and texture. If you are looking for new and exciting piano music to listen to, these pieces are a great place to start.

＊

内容を見ると、作曲家では Steve Reich（スティーヴ・ライヒ）以外は《鍵盤音楽史》にも入っていて、それなりなのだと思う。

…のだが、曲目についてはやや疑問も感じる。武満徹の "November Steps" は代表曲ではあるがピアノ曲ではないし…(^^;)。

1. Steve Reich - Piano Phase (1977)
2. Philip Glass - Piano Concerto No. 1 (1988)
3. John Adams - Piano Concerto No. 1 (1985)
4. György Ligeti - Piano Concerto (1988)
5. Arvo Pärt - Fratres (1977)
6. Einojuhani Rautavaara - Cantus Arcticus (1972)
7. Tōru Takemitsu - November Steps (1971)
8. Steve Reich - Different Trains (1988)
9. Philip Glass - Metamorphosis (1980)
10. John Adams - Harmonium (1980)

＊

同じ質問を日本語でしてみた。やはり、回答内容が英語のときと異なる。太字にした 5人（作品）は、英文での回答には含まれていない。「ミシェル・ルイージ」という作曲家は普通の検索では見つからない。

1. スティーブ・ライヒのピアノ・ソナタ（1968）
2. ヘンリー・カウエルのピアノのための変奏曲（1964）
3. フィリップ・グラスのピアノ協奏曲第1番（1988）
4. ジョン・アダムスのピアノ協奏曲第1番（1985）
5. スティーブ・ライヒのピアノ・エチュード集（1985）
6. ミシェル・ルイージのピアノのための3つのプレリュード（1977）
7. カールハインツ・シュトックハウゼンのピアノ曲集「Klavierstück XI」（1985）
8. クシシュトフ・ペンデレツキのピアノ協奏曲第2番（1983）
9. アルヴォ・ペルトのピアノのための5つのセレナーデ（1984-1986）
10. ジョン・ケージのピアノのためのソナタとインターリュード（1946-1948）

ちなみに、このあと続く「定型文」的なものはこんな感じ（↓）。

これらの曲は、現代のクラシック音楽の傑作です。美しいメロディーと豊かなハーモニーが特徴で、心を落ち着かせたり、元気づけたりするのに最適です。

＊

同じ質問を ChatGPT（GPT3.5）にもしてみた。英文の回答は下記。Bard の英文回答になくてこちらにあるものは、作曲家名で言うと、ジェフスキー、カーター、アデス、ブーレーズ、クラムの 5人。うち《鍵盤音楽史》に入ってないのは George Crumb。

作品名（選曲）はざっとみた感じではこちらの方がかなりまともそうだ。

1. Ligeti - Études, Book I (1985) and Book II (1988-1994)
2. Adams - Phrygian Gates (1977)
3. Rzewski - The People United Will Never Be Defeated! (1975)
4. Reich - Piano Phase (1967, but influential in the '70s)
5. Takemitsu - Rain Tree Sketch II (1992)
6. Carter - Night Fantasies (1980)
7. Adès - Darknesse Visible (1992)
8. Boulez - Incises (1994)
9. Crumb - Makrokosmos, Volume II (1973)
10. Ligeti - Musica ricercata (1951-1953, but gained popularity in the '70s)

＊

ChatGPT（GPT3.5）の日本語での回答は下記。ここでの新登場は、シュニトケ、グバイドゥーリナ、アムラン、カプースチン。最後の「アニェス・オスターグ＝マルミュ」というのは検索では見つからない。

1. ピエール・ブーレーズ - 第1ピアノソナタ
2. グヨルギ・リゲティ - ピアノエチュード集「魔法の立方体」
3. オリヴィエ・メシアン - 「二十の神秘のうた」
4. ジョン・アダムズ - 「フィア・フル・オブ・ガッシーズ」
5. アルフレッド・シュニトケ - ピアノソナタ第1番
6. ソフィア・グバイドゥーリナ - 「チャコンヌ」
7. トーマス・アデース - 「ダークネス・ヴィジョンズ」
8. マルク＝アンドレ・アムラン - 「トゥリー」
9. ニコライ・カプースチン - 「エチュード・ファンタジー」
10. アニェス・オスターグ＝マルミュ - 「ロンド」

＊

で、ChatGPT で最新版の "GPT4.0" が使えることに気がついて、そちらも試してみた。

英文の回答は GPT3.5 とまったく同じ。日本語の方はなぜか精度がかなり下がった。8番目の「フレデリック・ジャンマン」は通常の検索では見つからない。

1. ジョン・アダムズ - "China Gates"
2. アーヴォ・ペルト - "Spiegel im Spiegel"
3. フィリップ・グラス - "Metamorphosis"
4. ベートーヴェン - "ハンマークラヴィーアソナタ"（ピアノソナタ第29番）
5. モーリス・ラヴェル - "ジーシュ・ラダンス"
6. オリヴィエ・メシアン - "Regard de l'Esprit de joie"（「二十の神秘のうた」の一部）
7. グヨルギ・リゲティ - "Musica ricercata"
8. フレデリック・ジャンマン - "Elegy for the Victims of War"
9. ニコライ・カプースチン - "Piano Sonata No. 2"
10. トーマス・アデース - "Darknesse Visible"

＊

現代作曲家の探索という意味で、《鍵盤音楽史》に追加する作曲家の候補としては、スティーヴ・ライヒ、ジョージ・クラム、ヘンリー・カウエル、カールハインツ・シュトックハウゼン、クシシュトフ・ペンデレツキあたりかな？

…ということで、変な名前？も混じってはいるが、作曲家（およびピアノ曲）の探索としては、少しは役に立つのかもしれない…(^^;)？

＊

おまけ。「40歳未満のおすすめピアニスト」という、AI が苦手とする？質問を "Bard" にもしてみた。下記はその結果。赤い文字にした名前は検索では見つからなかった。

英語での回答。

1. Yuliya Fishman (born 1986)
2. Yuja Wang (born 1987)
3. Lucas Debargue (born 1989)
4. Alexander Gadjiev (born 1994)
5. Bruce Liu (born 1994)

日本語での回答。ここでも日本語だと精度がかなり低い…(^^;)。

1. ユリア・フィドチンスカヤ（1986年生まれ）
2. ユジャ・ワン（1987年生まれ）
3. ルーカス・ヴィンターハルター（1989年生まれ）
4. アレクサンダー・ガラミアン（1981年生まれ）
5. ガブリエル・フェルナンデス（1983年生まれ）

---

【関連記事】
《AI が選んだ世界のおすすめピアニスト 5人とは？》

《鍵盤音楽史：現代》

---