ページ

2024年5月10日金曜日

Bach.KB.BWV830 パルティータ第6番:アンドラーシュ・シフ 2007年ライヴが最高 ♪

「J.S.バッハの全鍵盤作品を聴く」プロジェクト、今日は『バッハの鍵盤音楽』(→紹介記事)の第15章「《クラヴィーア練習曲集 第1部:6つのパルティータ》」から、「パルティータ第6番」ホ短調 BWV830。


First edition: Leipzig, 1731


バッハの鍵盤組曲は《6つのパルティータ》でひとつの頂点に達する。彼は《フランス組曲》において、伝統的舞曲を新たにとらえ直し、鍵盤楽器の新しいテクスチュアを考案し、さらには模倣対位法とは対照的なギャラント的な旋律と和声を多く用いる、といったさまざまな試みを行っていた。こうした試みはまさにこのパルティータにおいて結実するのである」(出典:『バッハの鍵盤音楽』

パルティータはバッハが初めて出版した鍵盤作品である。1726年に第1番、1727年に第2番と第3番、1728年に第4番、1730年に第5番を個別出版。1731年に修正の上に合本とし「クラヴィーア練習曲集 第1部」(Clavierübung)として出版された。


パルティータ第6番 BWV830 は、 トッカータ、アレマンダ、コレンテ、エール、サラバンド、テンポ・ディ・ガヴォッタ、ジーグという構成。

「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」に初稿がある。コレンテとテンポ・ディ・ガヴォッタはそれぞれ、ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ(初稿)BWV1019a の第3・第5 楽章から転用。


第6番のお気に入り演奏を探す作業は、パルティータの中で一番長くかかったかも知れない。一番気に入ったのはシフの 2007年のライヴ録音。これは、私の中では間違いなく最高の演奏 ♪…なのだが、他に「(これも)いいなぁ ♪」という演奏がなかなか見つからない。

アンデルシェフスキもいいと思うのだが、第6番に関してはちょっと私の感覚に合わないところがあり、今ひとつ納得感がない…。定番?のグールドも好みとは少し違うし、レヴィットも物足りない印象。ワイセンベルクの疾走感もいいのだがちょっと速過ぎる…(^^;)?


ということで、イチオシはアンドラーシュ・シフ(András Schiff、ハンガリー、1953 - )の 2007年9月、ノイマルクトのホールでのライヴ演奏 ♪



YouTube にはこの CD の音源がなさそうなので別の音源(2018年 Pierre Boulez Saal での演奏)を挙げておく(↓)が、この演奏は 2007年のライヴに比べると少し物足りない。



もう一つ、ピョートル・アンデルシェフスキ(Piotr Anderszewski、ポーランド、1969 - )も挙げておきたい。アンデルシェフスキは私にとって最も信頼できるピアニストの一人なので、この演奏はもう少し聴いてみたいと思っている。

(BWV830:トラックNo. 1〜7)



参考:パルティータを全曲録音をしているピアニスト

  1. グレン・グールド:1955-82(sony)
  2. イェルク・デムス:1962-63
  3. アレクシス・ワイセンベルク:1966/ 4,6(1987)
  4. タチアナ・ニコラーエワ:1980
  5. アンドラーシュ・シフ:1983, 2007(ECM)
  6. リチャード・グード:4(1997)/ 2,5(1998)/ 1,3,6(2002)
  7. シュー・シャオメイ:1999
  8. ウラディーミル・フェルツマン:1999
  9. ジャンルカ・ルイージ:2005-07
  10. マレイ・ペライア:2007-09
  11. ウラディーミル・アシュケナージ:2009
  12. イゴール・レヴィット:2014
  13. ユアン・シェン:2015
  14. コルネリア・ヘルマン:2016-17
  15. アンジェラ・ヒューイット:2018
  16. シャガエグ・ノスラティ:2019

その他、パルティータを録音しているピアニスト

  1. マリア・ジョアン・ピリス:1(1994)
  2. ピョートル・アンデルシェフスキ:1,3,6(2002)+2(Carnegie Liive/2008)
  3. ダヴィッド・フレイ:4(2007)/ 2,6(2012)
  4. ジェレミー・デンク:3,4,6(2010?)
  5. ラファウ・ブレハッチ:1(2012)/ 3(2015)
  6. マルタ・アルゲリッチ:2


『バッハの鍵盤音楽』 第15章「《クラヴィーア練習曲集 第1部:6つのパルティータ》」に含まれる作品。

  1. BWV825 パルティータ第1番 変ロ長調
  2. BWV826 パルティータ第2番 ハ短調
  3. BWV827 パルティータ第3番 イ短調
  4. BWV828 パルティータ第4番 ニ長調
  5. BWV829 パルティータ第5番 ト長調
  6. BWV830 パルティータ第6番 ホ短調


出典:

📘『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年、デイヴィッド・シューレンバーグ 著)

✏️パルティータ (バッハ)(Wikipedia)

✏️バッハ :パルティータ 第6番 ホ短調 BWV 830(PTNAピアノ曲事典)



【関連記事】
《J.S.Bach の鍵盤音楽》

《Bach.KB.BWV829 パルティータ第5番:シフ、レヴィット、フェルツマン ♪》

《Bach.KB.BWV825 パルティータ第1番:アンデルシェフスキ、ピリス、甲乙つけ難し…》


  にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ 

0 件のコメント:

コメントを投稿