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2022年10月17日月曜日

🎹吉松 隆 1953- 現代音楽的?な「シリウスの伴星によせる」もいい ♪

《鍵盤音楽史:現代》 42(+2)人目の作曲家は、吉松 隆(日, 1953-)。

8年前に「日本の現代ピアノ曲を探す」ということをやっていた時に見つけた作曲家で、「プレイアデス舞曲集」の中に何曲か気に入ったものがあった。






吉松隆は 1953年東京に生まれる。作曲はほぼ独学。慶應義塾大学工学部在学中、松村禎三に弟子入りする。一方で、ピンク・フロイド、イエス、EL&P等のプログレッシブ・ロックに心酔し、キーボード奏者としてロックバンドにも参加した。

作品番号 1 のピアノ独奏曲「シリウスの伴星によせる」(1974)には、松村を含む現代音楽の影響が見られる。1981年には「朱鷺によせる哀歌 Op.12」(弦楽合奏、ピアノ)が現代の音楽展'81で初演され、高い評価を受けた。

いわゆる「現代音楽」の非音楽的傾向に反旗をひるがえし、「現代音楽撲滅運動」と「世紀末抒情主義」を提唱し、1984年に西村朗と共に世紀末音楽研究所を設立した。

1998年からイギリスのシャンドスとレジデント・コンポーザーの契約を結び、交響曲をはじめとする多くのオーケストラ作品が録音された。


作品は、交響曲6曲や協奏曲10曲(ピアノ、左手ピアノを含む)を始めとするオーケストラ作品を中心に、〈鳥のシリーズ〉などの室内楽作品、〈プレイアデス舞曲集〉などのピアノ作品のほか、ギター作品、邦楽作品、舞台作品など幅広いジャンルにわたっている。

また、プログレッシブ・ロック・ファンでもある吉松は、2009年にEL&Pの「タルカス」をオーケストラに編曲し話題を呼んだ。

2003年のテレビアニメ「アストロボーイ・鉄腕アトム」、2009年の映画「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ」、2012年のNHK大河ドラマ「平清盛」などの音楽も手がけている。


2014年に初めて「プレイアデス舞曲集」などを聴いて以来、ときどき著書を読んだり、ブログ(✏️隠響堂日記)を読ませていただいたりしている。

自叙伝的な『作曲は鳥のごとく』という本は、内容も充実していてとても面白かった ♪





今回改めてピアノ作品をチェックした。出典は✏️吉松隆の楽曲一覧(Wikipedia)と✏️吉松隆(本人公式サイト)の「編成別作品リスト」。

ピアノソロ作品
  1. 組曲『青い神話』:1970
  2. 優しき玩具 第1集~第3集:1972-85
  3. ソナチネ:1973
  4. シリウスの伴星によせる:1974
  5. レグルス回路:1979
  6. 虹色プリズムII:1984(2pf)
  7. ランダムバード変奏曲:1985(2pf)
  8. プレイアデス舞曲集I:1986
  9. プレイアデス舞曲集II:1987
  10. プレイアデス舞曲集III:1988
  11. プレイアデス舞曲集IV:1992
  12. プレイアデス舞曲集V:1992
  13. 2つのロマンス:1996
  14. 4つの小さな夢の歌:1997
  15. ピアノ・フォリオ:1997
  16. プレイアデス舞曲集VI:1998
  17. プレイアデス舞曲集VII:1999
  18. プレイアデス舞曲集VIII:1999
  19. プレイアデス舞曲集IX:2001
  20. タピオラ幻景:2004(左手pf)
  21. アイノラ抒情曲集:2006(左手pf)
  22. ゴーシュ舞曲集:2006(左手pf)
  23. 6つのヴィネット:2008
  24. 4つのロマンス~ヴィヨンの妻より:2008
ピアノ協奏曲など
  1. 朱鷺によせる哀歌:1980(pf,弦楽)
  2. ピアノ協奏曲『メモ・フローラ』:1997
  3. 左手のためのピアノ協奏曲『ケフェウス・ノート』:2007


YouTube で 2014年に聴いて気に入った曲。



今回、「プレイアデス舞曲集 I〜IX」すべてが入った音源を見つけたので聴いてみた。きれいな曲が多い。…が、お気に入りの曲を探すとなるとなかなか簡単ではない…(^^;)。ピアノは田部京子さん。



作品番号 1、「現代音楽の影響」が残るという「シリウスの伴星によせる」を聴いてみた。

演奏は大井浩明さん(2005年世界初演)。作曲家本人の言葉、「調性による語法を確立する前の、アトナール(無調)とモード(旋法)とトナール(調性)の3つの引力圏で揺れる星の煌めきをイメージした8分ほどの小品」。

個人的にはそれほど「現代音楽」という感じはせず、とてもきれいないい作品だと思う ♪ この方向をもっと追求してほしかった…かも…?



その他、いくつか聴いた中で気に入ったものを挙げてみる。

「ピアノ・フォリオ」は 3分ちょっとの短い曲だが、盛り上がる中間部分がなかなかいい ♪

ピアノ:田部京子

左手用の「アイノラ抒情曲集」もいい感じだ。

ピアノ:Yumiko Oshima-Ryan


ピアノ協奏曲「メモ・フローラ」もいい作品だと思う。


吉松隆さんのホームページにある解説によると、「モーツァルトの最後のピアノ協奏曲(第27番)とほぼ同じ編成・同じ3楽章形式・同じ調性(変ロ長調)」という課題の下に構成したものだそうだ。

ちなみに「メモ・フローラ」というのは、花壇(楽章)のどの場所にどの花(メロディ)を植えるかという配置図のメモのことらしい。私の庭仕事のメモに使わせてもらおう…(^^)♪


実質的にデビュー作とも言える「朱鷺によせる哀歌」もピアノを含む弦楽合奏なので聴いてみた。やや地味な印象ではあるが弦の響きはいい感じだ。



最後に、ちょっと面白い CD(音源)を見つけたのでご紹介。パスカル・ロジェがサティの曲と吉松隆の「プレイアデス舞曲集」から選んだ曲を交えて演奏するというプログラム ♪

ややイージー・リスニング的な雰囲気もあるが、パスカル・ロジェのピアノ(演奏技術と音の響き)が素晴らしい。クリスタル感ではやはりサティの方が少し上手(うわて)か…(^^;)?

収録曲は下記参照。



ちなみに、吉松隆さんの曲は楽譜もけっこう出版されている。気が向いたら「プレイアデス舞曲集」の曲を練習してみるかも…?




主な参考記事は下記。

✏️吉松隆(Wikipedia)

✏️吉松隆の楽曲一覧(Wikipedia)

✏️吉松隆(本人公式サイト)

✏️吉松隆(Japan Arts)



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