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2017年7月9日日曜日

井上直幸氏の『ピアノ奏法』いい!座右の書にしよう♪

1ヶ月半ほど前の記事《日本クラシック界の「ドメスティックな専門家」vs「音楽ファン」?》で「ピアノ奏法に関する本も、本格的なものはほとんど海外の本だ」と書いたら、「井上直幸氏の『ピアノ奏法』という本(↓)はもうお読みになりましたか?」というコメントをチロルさんから戴いた。

『ピアノ奏法―音楽を表現する喜び』




この本、実はピアノを始めた4年くらい前にざっと読んでいるはずなのだが、内容はほとんど覚えていなかった。当時の私には難しすぎて(言葉や楽譜もよく分からなくて…)目を通しただけになっていたようだ…(^^;)。

なので、今回ちゃんと読んでみた。


この本は、読み始めたときの「第一印象」がとても良かった。

まず第1章から「良い演奏とは?」というタイトル。私が一番興味を持っていることだ。で、第3章に「表現のためのテクニック」とあるのもいい。テクニックは表現のためにあるべきだし、表現したいものに応じたテクニックがあるはずだと思っている。

そして、第1章の初めにいきなり出てくる「『ピアノを弾くことが楽しい』と感じられるようになること」というメッセージを読んでとても嬉しくなってしまった。以下、いいな♪と思ったことなどをメモっておきたい。


練習については「弾かないで楽譜を読む時間を作る」のが大事だと書いてある。ソルフェージュ能力の低い(楽譜を見て歌えない)私にとって、これはかなりの難関だ。

ただ、具体的例で説明してあるので「楽譜を読む」イメージは少しは分かったかも…。

で、実際にピアノを弾くときは、「音楽のイメージが先行していること」ネイガウスさんも言っていた…)、頭だけでなく「感情が一緒に動いていること」(シーモアさんも言っていた…)などと書いてあるが、なかなか一筋縄では行かない。(でも、心がけたい…)


一つのヒントは「フレーズの形」を意識して、それが自分のイメージするきれいな姿になっているかどうかを耳でチェックすること。これは、ちょっと試してみようかと思った。

それから「難所」の練習にも触れてあるが、「特別な練習方法はありません」とそっけない…。大切なことは「音を出す前の準備」で、腕や身体が柔らかさを保っていることがポイントだとある。それがなかなか難しいのだが…(^^;)。

まぁ、難所に「じっくり繰り返し取り組む」ことが基本で、ある程度弾けるようになったら少し前から弾く→さらに前から弾く→さらに前から…というふうにやって行く方法(手順)が紹介されている。


ピアノ奏法や技術について面白かったのは、一つの同じ旋律をバロック、古典、ロマンそれぞれの弾き方で「実演」しているところ。楽譜で見ると、装飾音符や強弱の付け方が違う。奏法としては、バロックと古典は指による奏法、ロマンは重量奏法と使い分けている。

技術的なことでナルホドと思ったのは「タッチの方向」。指が鍵盤に当たるとき(とその前後)の動きにいろんな種類があるということが説明されている。

具体的には、上下運動(上から下、下から突き上げる)、腕の振り(外側から内へ、内側から外へ)、出し入れの運動(押し出す、手前に引く、つかむ/ひっかく)など。こういうことはあまり考えたことがなかったので、少し気にしてみようと思う。

また、ピアノを弾いているときには常に「キーに密着している指先を意識すること」が重要だとのこと。これも努力してみようと思う。もちろん「指が独立に動くこと」も大事…というのは分かっちゃいるがなかなか…(^^;)。


それから、新しい言葉(ドイツ語)を二つ覚えた。「シュッテルング:Schüttelung」(腕の振り)と「ロールング:Rollung」(腕を回す)。

「シュッテルング」は『シャンドール ピアノ教本』に出てきた「回転」(↓)と同じ?

《シャンドール ピアノ教本5:基本動作③回転》

《ピアノでの「回転」練習→トリル〜オクターブ ♪ 》

《難所攻略法:オクターブのトレモロ=回転+脱力+高速移動!》


「ロールング」の方は、図で見るといわゆる「手首の回転」のように思える。これはあまり得意ではない。

あと、ペダルについては、以前《ピアノ奏法:「ペダルの現代技法」は体系的で分かりやすい ♪》でいい本を見つけたと思ったが、この本にも体系的な説明があって分かりやすい。「ピッツィカート」や「ディミヌエンド」の効果を出すペダル奏法は初めて知った。


最後の章にある「演奏の基本感覚」というのは、当たり前のことのようで、あまり意識していなかったなぁと深く反省した部分である。

簡単に言うと「ハーモニー感、テンポ感、リズム感、曲の形を感覚でとらえること」なのだが、頭では分かっていても「感覚で捉える」となるとかなり怪しくなる…。

ここでいう「曲の形」というのは、曲の形式や構造、曲全体の流れや起伏、そしてそれを構成するモティーフなど素材の形などのこと。


チロルさんのコメントには「piaさんが好きそうな内容だと思います」とあったのだが、「はい、まったくその通りでした(^^)」。この本の存在を思い出させて戴いて、ありがとうございました ♪

この本に書いてある「ピアノと向かい合っているのが、自分にとって何か特別な時間」になるよう、この本を「座右の書」にして頑張りたいと思います…(^o^)。



【関連記事】
《7分で読めるピアノの本(5):シャンドールと井上直幸のピアノ教本》

《シャンドール ピアノ教本5:基本動作③回転》


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