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2015年12月30日水曜日

クラシックピアノ2015年の10大ニュース(2)

昨日の《クラシックピアノ2015年の10大ニュース(1)》に続くその2(6位〜10位)である。


6位:アルド・チッコリーニ逝く

89歳にして現役のピアニスト。高齢とはいえ、しっかりした香り高い演奏を聴かせてくれていたチッコリーニが2月の初めに亡くなった。

私自身はそんなに親しんだピアニストではなかったが、11月には「90歳記念ツアー」での来日も予定されていただけに残念な知らせだった。



7位:トリフォノフがグラミー賞にノミネート

ニュースを10個並べるためにネタを探していたら、こんな記事を見つけた。こりゃすごい!と思って読んでみたら、トリフォノフ自身3度目のノミネートとのこと。



記事によると、ダニール・トリフォノフがノミネートされたのは、最優秀クラシック・インストゥルメンタル・ソロ部門で、ラフマニノフの『変奏曲』の演奏によるものらしい。

第58回グラミー賞のノミネートは、12月7日に発表されているが、何とぜんぶで83部門もある!(知らなかった…)

で、その一覧ページ "58th Annual GRAMMY Awards Nominees" をずっと見ていくと、78番目に「BEST CLASSICAL INSTRUMENTAL SOLO」というのがあり、5つの候補の中に確かにあった。

Rachmaninov Variations
 Daniil Trifonov (The Philadelphia Orchestra)
 Label: Deutsche Grammophon




その他の候補は下記。デュティユーのヴァイオリン協奏曲以外はぜんぶピアノのようだ。ピアニストの名前らしいものを"Pf: "として抜き出してある。(ほとんど知らないのであとで調べよう…)

Dutilleux: Violin Concerto, L'Arbre Des Songes

Grieg & Moszkowski: Piano Concertos
Pf: Joseph Moog

Mozart: Keyboard Music, Vol. 7
Pf: Kristian Bezuidenhout

Rzewski: The People United Will Never Be Defeated!
Pf: Ursula Oppens (Jerome Lowenthal)


ちなみに、2番目の Joseph Moog(ヨーゼフ・モーグ)という名前に見覚えがあったので調べたら、2014年のラフォルジュルネ初来日するはずだった若手ピアニストの一人だった。

「はずだった」というのは「健康上の理由でリサイタルがキャンセル」されたからだ。チケット買っていたのに…(^^;)。


8位:ピアノコンクールの当たり年!?



今年は「ピアノコンクールの当たり年」ということで、チャイコンとショパコンは1位と3位にランキングしたが、あとのコンクールはどうだったのか?


"It is the end of an era at Leeds."(リーズの時代は終わった)という文から始まる the Guardian の記事がすべてを物語っている。演奏も審査結果もイマイチだった。

唯一の明るい材料は、95歳のファニー・ウォーターマンが引退して、ポール・ルイスがリーズ国際コンクールの芸術監督になったこと。次回に期待したい。




期待したほど面白くはなかった。日本人2人が入賞したことは喜ぶべきことかもしれない。




全体的なレベルが高いわりには突出した候補者がいないという、聴いている側からするとフラストレーションのたまるコンクールだった。

ただ、邦人作曲家の書き下ろし作品を課題曲にするとか、室内楽の審査があるとか、別の面では楽しめた。なんといっても時差のないネット配信はありがたかった。審査発表のリアルタイム視聴ができるのもよい。

ピアノコンクールのあり方を考えさせられた一年だった。


9位:大分しいきアルゲリッチハウス完成



別府アルゲリッチ音楽祭総監督を務める世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチの功績を顕彰する施設である「しいきアルゲリッチハウス」が5月に完成した。アルゲリッチ・ファンとしては、日本にこういうものができることは嬉しいことだ。

別府アルゲリッチ音楽祭は一度行きたいと思いつつ、まだ果たせていない…。



10位:バレンボイムのピアノ



この5月に、あのダニエル・バレンボイムが設計をリードして新しいピアノを作り出した、というニュースがあった。"BARENBOIM"というロゴが入ったピアノである。

最大の特長は「平行弦」。通常、ピアノの弦は斜めに交差するように張られているが、このピアノはすべての弦が平行に張られている。

バレンボイムのコンセプトに基づき、Chris Maene社 が、スタインウェイ社の支援も受けながら、18カ月と4,000人月の工数をかけて2台の "BARENBOIM" ピアノを作り上げたのだった。


販売はされないようだが、値段をつけるとすると5,000万円以上になるようだ。


おまけ:ちなみに、ピアノの価格に関しては、年末にあまりありがたくないニュース(日経電子版)を見つけた。



今夏、ヤマハやカワイがピアノの価格を5~10万円引き上げたのだが、理由は原材料費、とくにスプルース材などの高騰(この3年間でほぼ2倍)。で、その原因が地球温暖化。まさか!と思うのだが、温暖になるとスプルースの生育が早くなり木目が粗くなる。緻密な板材が求められる響板などにとっては致命的だ。

地球温暖化のリスクが言われ始めてずいぶん経つと思うが、本気で何とかしようという動きは緩慢だ…。


…と最後は少しさびしい話になってしまったが…。でもこうやって10のニュースを眺めてみると、クラシックピアノ界もそう捨てたものではない、という気持ちになってきた。明るい気分で新年を迎えるとするか…(^o^)♪



【関連記事】
《クラシックピアノ2015年の10大ニュース(1)》


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