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2015年1月23日金曜日

間違いだらけのピアノ練習法?

《My Piano Life 2015年の目標》に書いたように、今年は「上達」を明確に目指してみようと思っている。

上達のヒントでも探すつもりで、久しぶりに「教本」と名のつく本を読んでいる。『シャンドール ピアノ教本: 身体・音・表現』(ジョルジ・シャンドール 著、岡田 暁生 監訳、春秋社、2005/2/1)という本だ。

ところが、ざっと目と通してみた限りでは、かなりショッキングなことが書いてある。これまで、自分自身がやってきたことがかなり否定されている!のだ。




そもそも独学なので、自分の練習方法がまったく正しいとも思ってはいないが…。ただ、それなりに本で勉強したり、元音大生のカミさんの意見も聞いたりして、自分自身を実験台にして検証しているつもりではある。

自称「大人の効率的なピアノ練習法」にも少し自信を持ち始めたところだったのだが…。


この本を少し真面目に勉強して、練習方法の軌道修正をする必要がありそうだ。とりあえず、3点ほど気になったことを書き留めておく。
  • ① 指を鍛えてはならない、コーディネートせよ
  • ② 脱力+重量ではなく最小の筋力+スピード
  • ③ 暗譜は曲が身についてから

一つずつ、私の言い訳も含めて簡単に説明してみる。


① 指を鍛えてはならない、コーディネートせよ

これは、筋トレをしても意味がない、場合によっては害がある、という話である。ただし、著者が繰り返し強調しているのは「コーディネートせよ」の方だ。

ピアノを弾くという動作は、指・手・手首・前腕・胴体などの全身を使って、適切な筋肉の働き(能動と受動)を適切にコーディネートすることによって行われる…というのが基本的な考え方のようだ。大事なのは、筋肉の強さではなく、コントロール(全体のコーディネート)である、ということだ。


この考え方には大賛成である。が、少しだけ言い訳をすると…。

私の言っている「指を鍛える」は、筋トレ的な意味もあるが、どちらかというと「神経回路」を鍛えることを意識している。要は、日常生活であまり動かさない筋肉+神経を、ピアノを弾くときの動きに慣らしてやることである。

例えば、3と4の指のトリル動作などは、日常生活にはまったくない動作である。したがって、中指と薬指を速く動かす筋肉と神経回路は発達していないはずだ。なので、トリル動作を繰り返すことでその神経回路を強化することができると信じてやっている。

『ピアニストの脳を科学する』 という本にも次のように書いてある。

「ピアニストの脳を調べると、指を動かすための神経細胞が通常の人より5%ほど多い。この神経細胞は、イメージトレーニングも含めた練習によって増加することが確認されている」(要約)

→参考:《読書メモ:ピアニストの脳を科学する》

「コーディネート」の部分については、もう少し勉強してから整理して書いてみようと思う。


② 「脱力+重量」ではなく「最小の筋力+スピード」

脱力と重量奏法を目指していた私にとって、最初は「え〜っ?そんな〜!」という感じであった。…のだが。

よく読むと、そんなに違うことを言っているのではない(たぶん)ようなので、少し安心。ただ、練習することが増えそうな感じではある。(まずは「5つの基本動作」というのがある…)

もともと「脱力=不必要な力みをなくす」こと、あるいは必要なときに必要な筋肉をつかって打鍵できるための準備として余分な力を抜くこと、だと思っていたので、これはほぼ同じ意味だと思われる。

ただ「重量」の方は、もう少し勉強が必要かもしれない。

「重量奏法」では、「重みを指先を通して鍵盤に伝える」といった説明だったと思う。この本では「重量」はあまり重要視していない。

音量は重さではなく打鍵スピードから生まれる。動きのない重量は無意味(重さだけでは音は出ない)。重みを支えるのは指先ではなく肩。といった説明が並んでいる。

ただ「重力と筋力の組み合わせで弾く」といった表現もあり、基本動作にも「自由落下」というのがあるので、重さも使ってはいる。ただ、動きを伴う重さということである。「重量」ではなく「重力」。


③ 暗譜は曲が身についてから

これにはちょっと困った。私の場合、暗譜しようと思っていなくても覚えてしまうという側面と、覚えないと弾けないので努力して(部分的に)暗譜するケースとがある。

この本では、暗譜も技術なので強化することができる。しかし、正しい準備ができている(技術上・音楽上の問題が解決されている)ときだけ暗譜すること、と書いてある。さらに、「早すぎる暗譜」には問題があるとも言っている。

「早すぎる暗譜」をすると、最初に記憶したものと、練習していううちに修正したものの間にズレが生じ、それによって余分な労力を費やすことになる、そうだ。


何となく思ったのは、「暗譜」の意味する範囲が違っているのではないか?ということ。私の場合の暗譜は「楽譜(音符)を覚えること」。

この著者の言っている暗譜は「どうやって弾くか(技術上)やどのように弾くか(音楽上)」を含めた「曲全体を覚えること」。もっと言うと、その曲自体を「自分のものにする(身につける)」ことを言っているようだ。

「初心者の暗譜」と「上級者の暗譜」とでは中身が違うのかもしれない。まあ、これはあまり気にしないことにしよう。私には、(初心者なりに)弾けるようになるために必要な「暗譜」なのだから。


まぁ、最初はちょっとビックリしたところもあったが、一通り見てみるとなかなかいい教本のようだ。「ハノン」とかの機械的な繰り返しは意味がない、とか共感する部分も多い…(^^;)。

とりあえず、もう一つのブログ『ぴあの研究ノート』(注:現在の『ぴあのピアノ♪』)で読書メモを書くことにした。メモをとりながら、自分の練習にどう取り入れるか、などはこちらのブログでまとめたいと思っている。

※読書メモはコチラ:『シャンドール ピアノ教本』読書メモ



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