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2022年8月3日水曜日

🎹A.カラマーノフ 1934-2007 ピアノ曲では変奏曲とバラードがいい ♪

《鍵盤音楽史:現代》 26人目の作曲家は、アレムダール・カラマーノフ(Alemdar Karamanov, 露, 1934-2007)。

《クライバーン国際コンクールで取り上げられた現代ピアノ曲》を調べたときに追加した 4人の作曲家の一人。一応「ロシアの作曲家」としたが、クリミアの生まれで、ウクライナ出身と書いてある記事もある(紛争地域の国の言い方は難しい…)。




アレムダール・カラマーノフは、クリミヤ半島のシンフェローポリ生まれ。1954年にモスクワ音楽院に入学し、ボガトゥイリョーフとナタンソンに師事。その後、フレンニコフとカバレフスキーに学んだ。在学中に交響曲を10曲作っている。

キリスト教を主題に音楽を書き続けたことでソ連当局と対立し、カラマーノフの音楽は上演禁止となっていた。西側で初めて知られたのは 1991年にテープがイギリスに持ち込まれた時で、いまだにその作品の全貌は明らかになっていないようだ。

親友のシュニトケは「彼は素晴らしく才能に恵まれていて、ソ連国内のどこかで生活しているが、実際には無名だ。彼は単なる才人ではなく、天才だ。」と、ショスタコーヴィチは「現代で最も独創的でユニークな作曲家のひとり」と語った。

1992年に、クリミア自治共和国の国歌を作曲している。


カラマーノフの作品の特徴の一つは、キリスト教を主題にした作品が多いこと。そして、傾向としては新ロマン主義と言われているようだ。たしかに「現代音楽」的な色合いは少なく、聴きやすい曲が多い。

幅広いジャンルで多くの作品を残しているが、特筆すべきは 24(25とも言われる)の交響曲であろう。キリスト教を題材にしたものも多く、「我らを愛して下さる主へ」 (18番)、「死せる人々は幸いである」 (20番)、「あるがままであれ」 (22番)、「私はイエス」(23番)などの標題が付けられている。

3曲の弦楽四重奏曲、4曲のピアノソナタ、3曲のピアノ協奏曲も残している。他に、オペラ、バレエ音楽、映画音楽、ミサ曲、合唱曲なども…。


ピアノ関連の作品は下記の通り。出典は✏️Alemdar Karamanov(公式サイト)など。

ピアノソロ曲
  1. Five Preludes for piano (1953)
  2. Piano Sonata No. 1 (1953)
  3. Eight Pieces (Variations) for piano (1954)
  4. “The Seasons of the Year (Vremena goda)”, twelve pieces for piano (1954)
  5. Piano Sonata No. 2 (1954-1955)
    ※Partly lost, except Finale movement “Rondeau”
  6. “Five Children’s Pieces” for piano (1956)
  7. “Ave Maria” for piano (1950s)
  8. “Two Dances” for piano (1950s)
    ※Published in 1959
  9. Ballade (1950s ?)
    ※“Ballade” for voice and piano (1950s) のピアノソロ編曲?
  10. Piano Sonata No. 3 (1960)
  11. Piano Sonata No. 4 (1961)
  12. Variations for piano (1961)
  13. Six Etudes for piano 1960-1962
  14. “Prologue, Thoughts and Epilogue (Prolog, Mysl’ i Epilog)” for piano (1962)
  15. “Music (Muzyka)” No. 1 for piano (1962)
  16. “Music (Muzyka)” No. 2 for piano (1962)
  17. “Window into Music (Okno v muzyku)”, sixteen children’s pieces for piano (1963)
  18. Three Preludes for piano (1963)
  19. Five Preludes and Nineteen Concert Fugues for piano (1964)
    ※New version in 1984: Fifteen Concert Fugues

ピアノ協奏曲
  1. Piano Concerto No. 1 (1958)
  2. Piano Concerto No. 2 (1961)
  3. Piano Concerto No. 3 “Ave Maria” (1968)

ピアノを含む器楽曲
  1. Four Pieces for clarinet and piano (1954)
  2. Variations for oboe and piano (1954)
  3. Five Pieces for two oboes and piano (1954)
  4. “Romances” for string quartet and piano (1950s)
  5. “Music (Muzyka)” for cello and piano (1962)
  6. “Music (Muzyka)”for violin and piano (1963)
  7. Scherzo for clarinet and piano (1963)
  8. Four Pieces for trombone and piano (1964)


YouTube にある音源をいろいろ聴いてみた範囲では、「変奏曲」(クライバーンコンクールで弾かれた)と「バラード」が良かった。

「バラード」は公式サイトの作品リストには載っていない。「声楽とピアノのためのバラード」という作品があるので、その編曲版なのかも知れない?


"Music No. 2 for piano"、"Prologue, Thought and Epilogue"、"Concert Fugue no.11" の 3曲はやや「現代音楽」風な印象。





その他聴いた小曲。どこかで聴いたようなメロディーも聴こえてくる…(^^;)?




ピアノ協奏曲としては、第3番「アヴェマリア」が有名なようだ。部分的にはいい感じのところもあるのだが、全体としてはどうだろう…? あと、第1番の音源もあった。




全体的な印象としては、わりといい感じがした。ただ、もっといろんな(一流の)ピアニストがとり上げて、解釈・演奏が深まらないと真価は分からないような気もする。

楽譜の入手も難しそうだ…。

ちなみに、クライバーンでの Denis Linnik の「変奏曲」は下記(2曲目)。



主な参考記事は下記。


✏️Alemdar Karamanov(Wikipedia /英語)

✏️Alemdar Karamanov(公式サイト:文末に作品リスト)

✏️The piano work by Alemdar Karamanov: A beginning of his way(South-Russian Musical Anthology)

→録音されているのは、交響曲 No.3、No.20、No.22、No.23、ピアノ協奏曲第3番「アヴェマリア」、ピアノ曲「変奏曲」

✏️Alemdar Karamanov(Musicalist:作品リスト)



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