ページ

2022年4月11日月曜日

ウクライナを侵略している国が開催するラフマニノフコンクール…

今年 6月に「ラフマニノフ国際コンクール」が創設されることになっている。当初は楽しみにしていたが、ウクライナへの侵略戦争や残虐な行為を平然と行う国(政府)によって開催されるコンクールはどうなんだろう?…と思わざるを得ない面もある。


それでも、世界 33カ国から 529人の応募があったようだ。指揮が 210人、ピアノが 167人、作曲が 152人の応募者となっている。




公式サイトのニュースは下記。


この記事によると、「33カ国」は次の通り。国別の人数は出ていない。ウクライナや日本からも応募者がいるようだ。

"Russia, Belarus, Great Britain, Germany, France, Italy, Spain, Austria, Poland, Serbia, Moldova, Slovenia, Iran, Israel, USA, Canada, Cuba, Brazil, Colombia, Australia, China, Japan, South Korea, Singapore, Ukraine, LPR, Azerbaijan, Armenia, Georgia, Kazakhstan, Mongolia, Uzbekistan, Turkmenistan"

ここから、予備審査で指揮とピアノ部門は 24人、作曲部門は 12人が選ばれる予定。

ちなみに、ピアノ部門の応募者数 167人は、例えば同じ時期に開催されるヴァン・クライバーンの「51カ国 388人」と比較すると多くはない。まぁ、初回ということもあるが…。


そんな中で、ついにロシアからの参加を拒否するコンクールが出てきた。5月に開催されるシベリウス国際ヴァイオリン・コンクールだ。


この記事によると、49人の本選出場者の中に 2人のロシア人と、2人のウクライナ人が含まれていて、ロシアからの 2人の若者が出場できなくなったようだ。


元々は WFIMC(国際音楽コンクール世界連盟)の声明を尊重していて、ロシア人 2人も参加させる方向だったようだが、戦争というより犯罪やテロに近い残虐行為が明らかになるにつれ、このまま参加させることには問題がある…という判断になったと思われる。


この判断は分からないではないが、ロシアという国や政府を代表して参加するわけではなく、たまたま出身国がロシアというだけで若い演奏家を排除するのは…どうなんだろう?…という気もするのだが…。


おまけ。スイスのルツェルンにある "Rachmaninov Foundation" が、マツーエフの会員資格を停止し、ロシアとの関係を断ち切った…というニュースもあった。


「ラフマニノフ基金」がスイスにあることは知らなかったが、ルツェルン湖畔にラフマニノフの別荘 "Villa Senar"(セナール荘)があって、そこが拠点となっているようだ。

ラフマニノフはこの別荘で「パガニーニの主題による狂詩曲」と「交響曲第3番」を作曲しており、1939年 8月のルツェルン音楽祭に出演して、エルネスト・アンセルメとの共演でこの「狂詩曲」を演奏したらしい。


そういえば、ラフマニノフは 1917年にロシアから亡命して、ヨーロッパやアメリカで活動しており、二度と祖国の土を踏むことはなかった。

「僕に唯一門戸を閉ざしているのが、他ならぬ我が祖国ロシアである」という言葉も残しているそうだ。

そのロシアが、ラフマニノフの名前を冠したコンクールを開催するというのも、歴史の皮肉というのか…。現在の状況を見ると、このコンクールの創設を素直に喜べないような気持ちにもなってきた…かも…?


早く、ウクライナの戦火と人道問題が収まりますように…。全世界の音楽愛好家が、純粋に音楽を楽しめる日が早く訪れますように…。



【関連記事】



  にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ 

0 件のコメント:

コメントを投稿