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2022年2月6日日曜日

🎹S.シャイト 1587-1653 五線譜総譜形式の "Tabulatura Nova" を出版

バッハ以前の鍵盤音楽史 8人目の作曲家は、ザムエル・シャイト(Samuel Scheidt, 1587-1653)。ドイツ初期バロックの作曲家、オルガン奏者。ハインリヒ・シュッツ、ヨハン・ヘルマン・シャインとともに、ドイツバロックの 3Sと呼ばれる。




シャイトは、アムステルダムでスウェーリンクに師事した後、生まれ故郷のハレに戻って宮廷オルガン奏者となり、後にブランデンブルク辺境伯の宮廷楽長に就任した。

シャイトはドイツバロック期におけるオルガン曲の作曲家として国際的に名声を得た初めての人物であり、北ドイツ様式の最盛期の作曲家の一人でもある。

シャイトの作品には、オルガン曲を中心とする鍵盤音楽、器楽曲(器楽合奏曲)、宗教声楽曲および世俗声楽曲(無伴奏、通奏低音・器楽伴奏付き)がある。


器楽曲では、1621年に合奏曲集「ルディ・ムジチ」"Ludi Musici"(音楽の楽しみ)を出版。声楽曲では、1621年の "Cantiones sacrae"、1631年から1640年にかけての "Geistliche Konzerte" 4部作などを出版している。

鍵盤音楽では、1624年に「タブラトゥーラ・ノーヴァ」"Tabulatura Nova"(新たな楽譜)という 3部からなる曲集を出している。

この曲集では、声部ごとに 1段の五線譜を当てた新しい「総譜形式」(↓)を用いている。




「タブラトゥーラ・ノーヴァ」の第1部と第2部には、コラールや詩編歌の変奏曲、ファンタジア、トッカータ、フーガ、カノン、世俗歌謡や舞曲による変奏曲など、第3部には、キリエやマグニフィカート、聖歌による変奏曲などが含まれる。

コラールや詩編歌による変奏曲は、スウェーリンクの様式の延長線上にあり、定旋律と対位声部による展開や、主旋律に装飾、変奏を加えて行くプロテスタントの教会音楽が生み出した様式である。トッカータは16世紀から17世紀のイタリアの作曲家の作品同様、短い音符で音階を上下する走句が多く見られる。

変奏には、一つの旋律をどんどん細かく装飾して音符を弾き変えていく「ディミヌツィオーネ(分割装飾)」という手法が多用されている。


以上、主な出典は下記。

✏️ザムエル・シャイト(Wikipedia)




鍵盤音楽の多くは「タブラトゥーラ・ノーヴァ」に含まれているようで、YouTube で聴いたほとんどの音源はその中の一部である。

チェンバロによる曲集があったのだが、好みの曲には出会えなかった。



オルガン演奏では、次の三つあたりは割と気に入った。





2018年にリリースされた『ハインリヒ・シャイデマン&ザムエル・シャイト:チェンバロ作品集』"Cantilena Anglica Fortuna" という CD があって、フランスのチェンバロ奏者ヤン・ムーランという人の演奏なのだが、この演奏はちょっと気に入ったかも知れない ♪

(運命の天使の歌)

(『わたしは傷ついた、ああ』によるファンタジア)

元の CD とその紹介記事は下記。





おまけ。ついでに聴いた合奏曲と宗教声楽曲は良かった。S.シャイトは弦とか声楽の方が得意なのでは?…と思った。

合奏曲集 "Ludi Musici" からの 2曲「悲しみのクーラント」「悲しみのパドゥアーナ」。ともに「4声」と書いてあるので、弦楽四重奏のような構成かな?

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