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2021年10月19日火曜日

今回のショパンコンクールは「審査員とコンテスタントをも巻き込んだ価値観の戦い」?

今日は反田恭平くんの名演奏を聴いて、それに関するブログ記事(↓)を書いて本当に幸せな一日で ♪ "Call it a day!" の気分だったのだが…。

《ショパンコンクール2021 Final day1 反田くんパーフェクト!ブラボー ♪》

Facebook で、また興味深い記事を見つけたので、感想を少し書いてみたい…(^^)。




今回は青柳いづみこさんの Facebook 記事(↓)。現地でショパンコンクールを楽しんでおられるようだ。ファイナリスト発表のあとの記事。

✏️青柳いづみこさんの記事(10月17日)


私自身、ここまでの審査結果に違和感のようなものを感じ、昨日、下田幸二氏の Facebook記事を読んで、半分くらい納得していたの(↓)だが、このいづみこさんの記事で何となく全貌が分かってきたような気がしてきた。

《ショパンコンクール「今回の審査員は一筋縄ではいかない」?》


まず、ショパンコンクールの傾向の移り変わりを概観しておられる。

このコンクールは保守的な傾向で知られた。1980年のポゴレリチ事件はその象徴…」というところから始まって…。

2015年にダン・タイソンが審査に加わってからは、より自由で個性的な演奏が評価されるようになる。ボジャノフに憧れるオソキンスは、特異な演奏スタイルが物議を醸しながらもファイナリストになった

私はこの 2015年から聴き始めている。

「ケイト・リウは憑依したような演奏で第3位」「夢見るようにゆっくり弾くエリック・ルーは第4位」というのはそれまでのショパンコンクールにはあまりないことで、「ここで新たな価値観が生まれた」ということだったようだ。


そして、川口成彦さんが 2位に入賞した 2018年のショパン国際ピリオド楽器コンクールでも、「新たな価値観が提示」されたそうだ。


2018年にピリオド楽器によるショパンコンクールが開催され、新たな価値観が提示される。楽曲の前に即興を加えるプレリューディング、楽曲の間を即興的走句で繋ぐアインガング、音と音の間をさまざまな装飾で飾るヴァリアントなど、『楽譜に忠実』をモットーとするモダン楽器の弾き手には、驚天するようなスタイルが次々とあらわれた

これは、教えてもらわないと気が付かない…(^^;)。


そして、今回の第18回ショパンコンクールの「多士済々」=「多様化」。

いづみこさんが「ジャズの即興に見紛うばかりの個性的な演奏」として挙げているのは「カナダのブルース・リユウとチャイニーズ・台北のカイミン・チャン。いずれもダン・タイソン門下…」という二人。

あと、いづみこさんから「天然」というお墨付き?を貰ったガルシアくん ♪

…スペインのガルシア・ガルシアは天然の"個性派"だ。終始メロディを口ずさみ、圧倒的なテクニックを駆使しつつ、楽譜に書かれた音を全てメロディ化して弾いてしまう。彼が本選に進んだのも大きな(快い)驚きのひとつだった


こういう個性的なピアニストがファイナルに残る一方で、

割りを食ったのは端正派だ。楽譜の隅々まで気を配り、完璧に近い演奏を聴かせた韓国のスー・ヨン・キム、全ポーランドの期待を集めた前回ファイナリストのネーリンクが本選に進めなかったのは、大きな衝撃だった

…ということになる。

日本勢に対するいづみこさんの評価は…

そんな中で、個性派と端正派の要素を兼ね備え、少しもヒケを取らなかった日本の反田恭平と小林愛実の本選進出は快挙といえよう

…ということで、日本人らしく?「中庸」を行っているということかな…(^^)?


ちなみに、「端正な演奏スタイルを推し進めてきた審査員長のズィドロン(本選に進出したヤーコブ・クジュリックと進めなかったネーリンクの先生)は、"プレッシャー"を理由に発表の場に姿を見せなかった」そうだ。

どうやら、「端正な演奏スタイル」を求める保守派?と「より自由で個性的な演奏」を評価する革新派?のせめぎ合いのようなものがあるようだ。


個人的には、両方とも好き(日本人らしい中庸…(^^;)?…)なのだが、どちらかと言うと後者の傾向が強いかも知れない。

あと、どちらの「派」であっても、その中に「面白い演奏」と「つまらない演奏」があると思っていて、本当はもう一つの「評価軸」があるのでは?…と密かに思っている。

私の言う「面白い」は「エンタテイメント」性ではない。

聴いていて無条件に惹きつけられて、本当に「いいなぁ〜」と思える音楽の調べであるとか、何だか「ワクワクするような」これまでに聴いたことのないような新鮮な響きであるとか…そういうものに対して感じるものである。(うまく説明できない…(^^;)…)


いづみこさんは、この記事を次のような言葉で締めておられる。

第18回コンクールは、単に技術や音楽性の勝負にとどまらず、ショパンをどう捉えるか、楽譜をどう読むか、あるいは楽譜を越えたものを視野に入れるか、という、審査員とコンテスタントをも巻き込んだ価値観の戦いになる

ある意味凄い表現だが、こういう観点で「最終結果」を見るのも興味深いかも…。さて、結末やいかに?…という感じになってきた…(^^)♪ 

まぁ、その渦中で戦うコンテスタントたちには本当に気の毒という気もするが…😞


ちなみに、青柳いづみこさんのこの Facebook記事の前後には、「個性的な日本人ピアニストたち」や「ポーランドのピアニストたち」についての記事もあって、いずれも読み応えがあって面白い。ポーランドのコンテスタントたちの「国を背負うプレッシャー」は相当なものだったことが分かる。


おまけ。第2ステージの結果発表後「ヤケ酒」をかなり飲まれた(いづみこさんの)様子が想像できるツイート(↓)。




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2 件のコメント:

  1. ぴあさん、貴重な情報ありがとうございます。ネーリングとホジャイノフが消えたのはスキャンダルだと海外のサイトでも言われてました。本当にショパンを理解している2人がファイナルに進めないのはおかしいと。一方個性派が認められる中、オソキンスが二次で終わってしまったのはなんかもう何が基準なのかさっぱりわからない。混乱しちゃいますよね。あと個人的に年齢が15〜30と言うのはあまりに幅が広すぎるかと。2倍も生きている人には普通に考えたら同じ土俵で戦うには無理がありそう。しかし今回はいろいろな意味で考えさせられますね。

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  2. Gari さん、こんにちは ♪
    本当に今回のショパンコンクールは「何が基準なのかさっぱりわからない」状態ですね…(^^;)。審査員団の中にも考え方の違う方々がおられて、そのせめぎ合いと折り合い?の結果がこうなっているのかも知れません。それに翻弄されるコンテスタントたちも大変だと思います。
    年齢に関するご意見、なるほど…ですね。考えたこともなかったです…(^^;)。せめて25歳くらいまでですかね…?

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