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2018年6月4日月曜日

聴いた演奏をそのまま記憶できるといいのに…(^^;)♪

例えば、今年の4月にピリスさんのオール・ベートーヴェンのリサイタルを聴いた。とても感動したのだが、今となってはその演奏を頭の中で再現することはできない。ほんの少しの断片的な印象は残っているものの…。

ときどき思うことがある、「聴いた音楽をそのまま記憶に残せないものか?」と…。

このブログにも感想(↓)を書いたが、言葉にすると何か大事なものが失われるような気もするし、今これを読み返しても、自分が感じたことは分かるが演奏そのものは伝わってこない。もともと、音楽を言葉で表現することなどできないのだろうが…。

《ピリス さんの名演奏が生まれる所に居合わせた幸せ ♪》



…などと考えているうちに、私の場合「楽譜を見て音楽をイメージする」ことさえ出来ないことに思い至った。頭の中で音楽を「鳴らす」ことができない。

これでは、演奏をそのまま記憶することなど出来るわけがない…(^^;)。


ピアノの本には、曲を練習する最初の段階でその作品の「音楽的イメージ」を持つべしということがよく書いてある。

例えば、ネイガウス先生の本『ピアノ演奏芸術』には次のように書いてある。

前もって作品に目を通し、大まかにでも弾けるようにしてから、できるだけすばやく〈音楽的イメージ〉(内容、意義、詩的本質)を自分自身にはっきりさせること

→参考《本 「ピアノ演奏芸術」:序文にかえて》

その「イメージ」は頭の中で鳴っているのだろうか?


…で、いろいろ考えながらネットを探索していると、「音楽イメージと脳波」という記事にこんなこと(↓)が書いてあった。

(プロ音楽家の)Aさんは、普段の練習で、楽器を使わず、脳内演奏(音のイメージトレーニング)をしばしばされるそうです。それは暗譜やリハーサルのためだそうですが、それを行った後しばらく、その音が頭から離れず残ってしまうという症状がたびたび起こるそうなのです

「脳内演奏」というのは、頭の中で「音楽をリアルに再現できる」つまり「音楽を鳴らす」ことができるということだ。羨ましい…(^^;)。

たぶん、同じことは作曲家の頭の中でも起きているのだろう。ピアノ協奏曲を作曲するときには、頭の中でオーケストラの響きとピアノのパートが鳴っているに違いない。


ところで、この「脳内演奏」能力というのは訓練すればできるようになるものなのだろうか?それとも、絶対音感などと同じで天性のもの?

普通に考えられる練習方法としては、私の苦手な「ソルフェージュ」ということになるのだろうが、もっとお手軽な方法というのはないのだろうか? この CD を聴くと「脳内演奏」能力が強化されるとか…(^^;)?

まぁ、たくさん音楽を聴いて、たくさんイメージして、たくさん練習すること…くらいなら努力可能な範囲かな…?


おまけ。いろいろ調べているうちに「失音楽症」というものがあることを知った(↓)。「失語症」というのは聞いたことがあるが「失音楽症」というのは初耳だ。

✏️論文:音楽の認知機能について(PDF)

メロディーを認識できないとか、楽譜が読めないとか、症状としてはいろいろあるようだが、驚いたのは、晩年のラヴェルがその失音楽症だったらしいとのこと。しかも、失語症との合併症だったと言われている。

病床で、ラヴェルは「頭の中では曲が仕上がっているが、それを楽譜に書くことができない」と言っていたそうだ。その「曲」とはオペラ『ジャンヌ・ダルク』などを指しているようだが、構想を語ることはできて、おそらく頭の中では音楽が鳴っているのだが、それを楽譜に書くことができない。それは相当につらい状態だったのだろう…。


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