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2022年12月7日水曜日

🎹B.ディーン 1961- ピアノ協奏曲 "Gneixendorf Music" がいい ♪

《鍵盤音楽史:現代》 50(+2)人目の作曲家は、ブレット・ディーン(Brett Dean, 豪, 1961-)。

2018年リーズ国際ピアノコンクールの課題曲に選ばれた 9人の現代作曲家の一人。そのときの課題曲は "Hommage à Brahms"(ブラームスを讃えて)という作品。




ブレット・ディーンはオーストラリアのブリスベンで生まれ育った。グリフィス大学クイーンズランド音楽学校でヴァイオリンとヴィオラを学び、1982年に卒業。

ヴィオラの名手としても有名で、ベルリン・フィルに 1984年から 14年間在籍した。ヴィオラ協奏曲(2004)も作曲し自ら初演している。

作曲を始めたのは 1988年。2006年作曲のヴァイオリン協奏曲 "The Lost Art of Letter Writing" が 2009年のグロマイヤー作曲賞を受賞している。

ヴィオラ奏者としてソロや室内楽で、また指揮者としても活躍している。


ピアノ関連作品は下記。出典:✏️Brett Dean ピアノ作品(Boosey & Hawkes)

ピアノソロ作品
  1. Don't Wake Mother: 1992/2017
  2. Equality (with speaking part): 2004
  3. Prayer (with speaking part): 2005
  4. Etude: Hommage à Janácek: 2009
  5. Prelude and Chorale: Hommage à Bach: 2009/2010
  6. Etude: Hommage à Kurtág: 2010
  7. Etude: Hommage à Brahms: 2013 *1
    1. Engelsflügel 1
    2. Hafenkneipenmusik
    3. Engelsflügel 2
  8. Etude: Hommage à Lutoslawski: 2017 *2
  9. Variation for Rudi: 2019 *3

*1 3つの小品をブラームス『4つの小品 Op.119』の各曲の間で弾くことを想定

*2 2016年に亡くなったアメリカの作曲家 Steven Stucky に捧げる "tribute project" の一曲として作られた。

*3 ベートーヴェンの生誕250年を記念してブッフビンダーが行った「ディアベッリ・プロジェクト」で委嘱された 11曲のうちの 1曲



ピアノ協奏曲
  1. Gneixendorf Music – A Winter Journey for piano and orchestra : 2019

ピアノを含む室内楽
  1. Night window (Clarinet, piano, viola): 1993
  2. Voices of angels (Piano Quintets): 1996
  3. Huntington Eulogy (Cello with piano): 2001
  4. Imaginary Ballet (Piano and String Trio)
  5. Rooms of Elsinor (Viola with piano)
  6. Seven signals (Clarinet, piano, violin, cello)


YouTube の音源はあまり多くはない。

ところが、"Equality" という、途中でピアニストが叫ぶ("solo piano with speaking part")曲はなぜか人気があるようで、いくつかの音源が上がっている。下記はシドニー国際ピアノコンクールの動画。



ブラームス『4つの小品 Op.119』の各曲の間で演奏される "Etude: Hommage à Brahms" は、下記のプレイリストの最後(24曲目〜)に入っている。ピアニストはイスラエルのオリ・シャハムという人。ヴァイオリンのギル・シャハムの妹。1975年生まれ。

ピアノ:Orli Shaham

元の CD は下記。


その他 YouTube で見つけたピアノ曲は "Etude: Hommage à Lutoslawski" くらい。

♪ Gloria Cheng plays Brett Dean plays Hommage à Lutosławski
ピアノ:Gloria Cheng


ピアノ協奏曲は 3年前に作られた "Gneixendorf Music – A Winter Journey for piano and orchestra" 1曲のみ。アメリカのピアニスト Jonathan Biss によって委嘱されたもの。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」とともに演奏されることを想定した作品。ベートーヴェンからの引用も聴こえてくる。聴いた中では一番気に入った曲かも…(^^)♪

ピアノ:Jonathan Biss
David Afkham 指揮 Swedish Radio Symphony Orchestra

3つの楽章は、ベートーヴェンの逸話などにちなんだタイトルが付けられている。
  1. That sounds like a breaking axle
  2. Difficult decisions. Must it be?
  3. Applause my friends, the comedy is over

第1楽章では、ベートーヴェンの難聴による孤立を表現するために "muffled upright piano" が使われている。オーケストラもベートーヴェンのピアノ協奏曲とほぼ同じ編成。

なお、"Gneixendorf"(グナイクセンドルフ)というのは、ベートーヴェンの弟ヨハンの家があった場所。1826年に一時滞在し「第九」交響曲の写譜を修正したりしている。ここからウィーンに帰る途中で体調を崩したベートーヴェンはその 3ヶ月ほど後に死去している。


主な参考記事は下記。

✏️Brett Dean(Wikipedia/英語)

✏️Brett Dean : Represented Artist(Australian Music Centre)

✏️Brett Dean(Boosey & Hawkes)

✏️Brett Dean's new Piano Concerto rehears Beethoven(Boosey & Hawkes)

✏️Gneixendorf Music – A Winter Journey(Wikipedia/英語)

✏️ブレット・ディーンが2009年グロマイヤー作曲賞受賞(2008/12/4, ショット・ミュージック)



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