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2021年3月7日日曜日

音大の存在価値がコロナで脅かされている!?

ちょっとビックリするような記事を読んだ。コロナ禍で音大や芸大が「存亡の危機」に立たされている…という。タイトルにも驚いたが、その内容にも…。

筆者は作曲家・指揮者・作家・等々の伊東 乾 氏。

✏️コロナで存亡の危機に立たされた音大・芸大(JBpress)




サブタイトルに「最終目標は入学:人生の目標を見失う若者たち」とあって、何のこと?コロナと何の関係が?…と思ったのだが、それについてはのちほど…。


まず筆者が指摘しているのが、

音楽大学や芸術大学が新型コロナウイルス感染症により本質的な存亡の危機に立たされています。問題は、その危機を学校側も学生側もきちんと認識していないことにあります

…ということ。

その理由は一言で言うと「音大や芸大は『合奏してなんぼ』という場所」だから…ということらしいのだが…。


実は、主な音大ではコロナのために三重奏以上の編成での合奏が禁止されているそうだ。ヴァイオリンや歌の伴奏でピアノと一緒にやるのはいいが「ピアノ三重奏」や「弦楽四重奏」、あるいはそれ以上の「合奏」が禁止されているようなのだ。

ソーシャルディスタンスをとるなどの対策をしていればいいのでは?…と個人的には思うのだが。オーケストラだって、奏者どうしの距離を離したり、間にアクリル板を置くなどの努力・工夫をして演奏活動をしているのに…。

その裏には大学側の「事なかれ主義」が見え隠れしているような…。


そして、「音大や芸大に在学する意味は、そこで優れた仲間と合奏して、腕を上げていくことにあります。先生に習うだけなら、芸大に入る必要はない」とある。

ピアニストの経歴に「○○先生に師事」といったことが書いてあるが、あれはあまり意味がないということなのか…(^^;)? 先生方もこれじゃ立場がない?(たぶん、先生の名前が重要で、音大の名前はそうでもない…と推測するが…)

…というか、(門外漢の素人が)傍目から見ていても、そういう状況は何となく想像できるのだが、この筆者はそれをズバッと言ってしまうところが面白い…(^^;)。


次に、そういう状況に対して、学生からも(お金を出している)親からもほとんど抗議の声が上がらないことに疑問が提示されている。

そして、その背景には「構造的な背景がある」ことを筆者も最近になって知ったそうだ。それは…

…真のスポンサーというか顧客、お金を払う主体は、生徒自身ではなく<親>…

…なのであって、その「…親の『目的』は音大合格・芸大入学まで…」であって、「その先何を学ぶかなんて、興味ない…」のだそうだ…(^^;)。

それじゃ、学生がかわいそうではないか…と思うのだが…?


筆者は、「国際コンクール」やその先の「音楽家としての活躍」を目指して「キャリア・ビルディングに勤しむケース」はごく稀だと指摘する。

音大生の女性比率が高いこともあるが、親の「期待」は、一流の音楽家になることよりも「わが子の幸せな結婚とか育児とか…」に目が向くことが多いのだそうだ。

でも、音大生本人の意志はどうなるのだろう?相当な苦労をしてハードな練習を積み重ねて入った音大・芸大ではないのだろうか?

たしかに、音楽家として成功するというのは「狭き門」なのだとは思うが…。


サブタイトルにあった「最終目標は入学」というのは<親>の目標であった。では、「人生の目標を見失う若者たち」というのはどういうことなのか?

筆者によると、

親のそういう『期待』が『ない』と、子供は『それに応えよう』という気概を持てないから、何をやりたいか、未来の目標や、ロールモデルなどを持つことができない

…なのだそうだ。

大学の卒業式や入社式に親が出ることが「笑い話」にもならなくなって久しいが(昔はありえないことでした…(^^;)…)、学生さんたちの過保護というか、主体性のなさはそこまで来ているのだろうか?

東大、慶應、東京藝大などの先生もされている伊東 乾 氏は、次のように締めくくっておられる。

コロナを『きっかけ』に、20世紀~21世紀初期型の<親の期待>やその不在のモラトリアムを乗り越え、10代、20代の若者が本当の意味で生き生きと輝く環境を整えたいと思っています

先生方の努力も必要だが、若者たち頑張れ!…と言いたい…(^^)♪


記事を読みながらビックリしたことも事実だが、正直に言うと、半分は「やはりそうなんだ…」と思ってしまった…。

海外の音楽院などではこんなことは(たぶん)ないのだろう…と想像しながら、この分では、しばらくは日本から素晴らしいピアニストは生まれないのかも知れない…と少し残念な気持ちになってしまった…😥

でも、それにもかかわらず?…藤田真央くんという音大卒の凄いピアニストも登場したわけなので、まぁ、世の中それほど捨てたものではないかも知れない…(^^)♪



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