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2021年1月20日水曜日

「形から入る」ピアノ練習方法があってもいいのでは?

少し前の記事(↓)で、ピアノを弾くことは "head to hands"、心の中に聴こえている(イメージしている)ものを実際の音で表現することだ…という趣旨の説を紹介した。


このとき、日本には茶道や剣道などの「形(型)から入る」やり方があることに気がついて、ピアノにも「形から入る」練習方法があってもいいかも?…などと妄想した…(^^;)。今日はその続き…。




「形から入る」というのは、"head to hands" の逆 "hands to head" とも言える訳で、最初は、このアプローチの違いは西欧と日本の考え方の違いかな?…と思ったのだ。

でもよく考えると、ピアノでも初心者の練習や技術習得の訓練(スケールなど)では、「形から入る」ことをやっている…のではないだろうか?

そういう指の形で弾くことや、メカニカルな技術が上達するための腕や手指の動かし方について、いちいち理由を考えたり説明したりはしないと思う。

そのやり方が一番弾きやすく、手や指が疲れたり痛くなったりせずにいい音が出せることを、自分自身の実感として感じることで「分かる」訳で、それは頭での理解ではない。

茶道では同じ型を繰り返すことで身体が覚え、その意味や理由は「自分で気づくこと」が求められるそうだが、ピアノの「型」にも同じようなことが言えるような気がしてきた。


だとすると、前の記事に書いた "Piano Lessons" という本で、ピアニストのフェルツマンが言っていること(↓)はどういうことなのだろう?


ピアノを弾くことは、心の中で聴いているものを、実際の物理的な音に投影し明示することである。自分が持っていないものを表現し聴衆に伝えることはできない




この内容は説得力があるし、正しいと思う。

…で、ちょっと考えてみて分かったことは、この「自分が持っていることしか聴衆には伝わらない」というのは、ピアノ音楽によって聴衆に何かを伝えようとする人たち、つまりプロのピアニスト(を目指す人)に対して言っていることだということ。

プロでなくても、ピアノで何かを表現したい人も含まれる。例えばピアノ学習者が発表会で人前で弾くときに、何かを感じてほしいと思った場合は、同じことが言えるはずだ。

その内容が「この曲きれいでしょ」でもいい訳だし、「私はこんな風に弾きたい」という思いはまさに「心の中に聴こえている音楽(イメージ)」つまり "your inner hearing" なのだと思う。


…なので、ピアノを練習することの中には "head to hands" と "hands to head" の両方のアプローチがあるというのが結論になる…のかな…(^^;)?

ピアノが弾けるようになる、上達するという意味では「形から入る」場面はたくさんあるのだろうし、演奏芸術としてのピアノ演奏を目指すなら、聴衆に何かを感じてもらうためには単に「弾ける」だけでは何も伝わらないだろうし…。

後者の場合、例えばコンサートピアニストを目指す人たちは、フェルツマンが言うように、先生の弾く「音」だけを真似したり、先生の「技術」を理解するだけでは「うまく行かない」のだと思われる。


さて、そろそろ頭が疲れてきた。滅多に使わない「頭」なので…(^^;)。でも最後に、自分自身のことを考えてみたい。

私自身は、人前でピアノを弾くことを想定していないので、何かを人に伝えたいという思いはない…(と思っている)。

でも、自分の中にこの曲は「こんな風に弾きたい」という思いはある。思い通りに弾ければ、それだけでとても嬉しい…という「自己満足」の世界だ ♪

なので、基本的には "head to hands" を目指したいと思うのだが、問題が二つある。


一つは "head" の問題。自分の中にある音楽のイメージ、「心の中に聴こえている音楽」"inner hearing" が借り物ではないかという疑問。

疑問というより、ほぼ間違いなく「借り物」である。つまり、これまでに聴いたプロの演奏の中で一番気に入ったもの(のミックス?)が「頭の中で鳴っている」…と思われる。

楽譜を読み解いて音楽的な理解を深めたり、作品の時代背景や作曲家のことを知ることで演奏方法を考えたり…といったことは、なかなか出来ない…(^^;)。

その作曲家の他の作品をたくさん聴くことはできるが、例えば、昨年一年間ベートーヴェンの作品番号付きの全作品を聴いたことの効果がどれほどあるのか?まだ実感はない。

…まぁ、借り物であっても自分の一番気に入ったイメージがあるのはいいことだ ♪ とは思っているが…(^^)。


もう一つは "hands" の問題。

これは簡単な話で、要はイメージ通りにピアノで弾くための「表現技術」が大いに不足しているという問題。ただ、その解決は簡単ではない。

今いろんな曲を練習しているのは、その曲を通して、少しでもその「表現技術」が上がるといいなぁ〜という淡い期待はあるものの、多くは期待できないだろう…(^^;)。

なので、その曲をある程度弾けるようになって、その一部だけでも自分のイメージに近い音が出るようになれば、まぁ良しとするか…というやり方でいいのだと思う ♪


ご参考。こんなことを考えるきっかけを貰った本は下記。


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