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2018年6月11日月曜日

クルターグ・ジェルジュ:ピアノ音楽の玉手箱♪

この記事は以前のブログ記事(2016年4月10日)を複製し、一部修正したものです。

現代の巨匠、クルターグ・ジェルジュ


クルターグ・ジェルジュ(Kurtág György、ハンガリー、1926〜)の名前を初めて知ったのは、ねもねも舎ブログの下記記事。

✏️そうかクルターグが90歳になったのか。夫婦でバッハを弾く動画が美しいなと。

で、そこに載っていたのが、老夫婦が仲睦まじくアップライトピアノを弾く姿(↓)。

♪ Márta and György Kurtág play Bach-transcriptions by Kurtág

※今回調べたらこの動画は「著作権上の問題で…ブロック」になっている、残念。たしか、下記動画のもっと長いバージョンだったような…

 Bach BWV 106 Actus tragicus - Sonatina (trasc. Kurtag)


ほのぼのしながら聴いていたのだが、いろいろ調べていくうちに、知れば知るほど大音楽家であることが分かってきた。



ウェーベルンの後継者、コチシュ・ゾルターンの師匠


詳しくは Wikipedia 降矢美彌子氏(宮城教育大学名誉教授)のサイト、今年2月に行われた「90歳を祝うフェスティヴァル」のレポートなどを見ていただくとして…。有名人とのつながりが、私にとっては興味深かった。以下、主にWikipediaから。

クルターグ・ジェルジュは、バルトーク、マリンシュテイン、ウェーベルンらの影響を受けており、表現主義においてウェーベルンの後継者と言われている。また、リゲティ・ジェルジュとは、1945年にリスト音楽院の入学試験(作曲専攻)で出会って以来、生涯の親友であった。

リスト音楽院の教授を務め、ピアノや室内楽を教えたが、その教え子にはシフ・アンドラーシュ、コチシュ・ゾルターンなどがいる。


クルターグ・ジェルジュのピアノ作品


ピアノ作品として、いちばん有名なのが、"Játékok"(ヤーテーコック:遊び)と呼ばれる小品集。1973年から継続的(断続的?)に出版されており、現在、第9巻まで出ている。詳しくは次で…。


他のピアノ・ソロ曲としては "Szálkák"(Op.6/d、1978年、サールカーク、英訳:Splinters)という曲を見つけた(↓)。

György Kurtág: "Splinters" performed by Hayk Melikyan

…が、これはツィンバロム(cimbalom )という楽器のための曲かも知れない。

György Kurtág - Szálkák (Splinters), Nikol Kuchynková:ツィンバロム による演奏


ピアノと管弦楽の作品としては、 "...Quasi una fantasia..." (Op.27-2、...幻想曲風に...)がある(↓)。

♪ Gyorgy Kurtag - ...Quasi Una Fantasia

この曲は、クルターグが長年暖めていた「空間音楽」を実現した作品とされている。1988年10月のベルリン音楽祭のために書かれ、ゾルターン・コチシュ(ピアノ)らによって初演された。


"Játékok"(ヤーテーコック:遊び)


ピアノのための「遊び(Játékok)」(英訳:Games for Piano)は1973年に第1巻が出版された。1巻と2巻にはたくさんの図形楽譜が含まれている。4巻は連弾と二台のピアノのための作品。5巻以上は、手紙や日記のようなクルターグの作品が収められている。

子どもがピアノに触れた瞬間から、自由に全鍵盤に上を自由に走り回れたらという考えが、この作品集を生んだ」と、クルターグ自身が「前書き」に書いている。彼は、子どもとおとな、初心者と専門家を区別しない。(いいなぁ…♪)

Stretta Music という楽譜販売サイトで、図形楽譜を一部を見ることができる(↓)。

※追記:このサイトで見ると、2017年に第9巻が出版されている。







ねもねも舎ブログでも、入門編として紹介されていた動画(↓ ピアノ:コチシュ)では手書きの図形楽譜がときどき写っていて興味深い。グリッサンドだけの曲がなかなかいい。

♪ Zoltán Kocsis' Recital at La Roque d'Anthéron (Part 4/7; Kurtág)

ちなみに、この動画は「Part 4/7」となっており、2002年の「ラ・ロック・ダンテロン」でコチシュ・ゾルターンが、ベートーヴェン、シューベルト、バルトーク、リストなどを弾いたときの一つのようだ。コチシュ・ファン必見?かも…。


ピアニストとしてのクルターグ(夫妻)


ピアニストとしてのクルターグ・ジェルジュもなかなか魅力的である。90歳のご高齢で、1歳年下のマールタ夫人と、実に達者なピアノ演奏を聴かせてくれる。本人の作品(現代音楽)はよく分からない部分が多いが、バッハの連弾がしっとりとしていて実に美しい。

次の動画(2012年9月22日、パリでの演奏と思われる)は、お二人の演奏を堪能できるものだ。1時間半近いのだが、その体力にも驚く。一人がソロで弾くときは、もう一人はそばに立ってじっと見守っている。ご夫妻の愛情や信頼関係さえ感じられる演奏風景だ。嬉しそうな顔で弾いておられる奥様の横顔が印象的だ。

♪ Duo Márta et György Kurtág, Bach / Kurtág


そして、昔(1980年、55歳くらい)の演奏も発見(↓)。28歳くらいのコチシュの演奏も…。こちらは、ピアノの前をふらふら歩きながら弾いたりしていて面白い。

♪ KURTÁG György (1926 -) részletek a Játékok című sorozatból I.


そのときの若きクルターグ夫妻(↓)。



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