ページ

2022年7月8日金曜日

🎹K.シュトックハウゼン 1928-2007 「ピアノ曲」というタイトルの連作…

《鍵盤音楽史:現代》 18人目の作曲家は、カールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen, 独, 1928-2007)。

ブーレーズ,ノーノとともに前衛三羽烏と呼ばれることもあるらしい。ピアノ曲では「ピアノ曲 I 〜 XIX」というタイトルの作品があるが、「実験音楽」にしか聴こえない…。




簡単なプロフィールを「百科事典マイペディア」から引用しておく。

ピアノやバイオリンを学びケルン高等音楽学校でマルタンらに師事,ケルン大学で音楽学と哲学を学んだ。

1951年,前衛音楽運動の拠点〈ダルムシュタット国際現代音楽夏期講習〉に初参加し,メシアンの《音価と強度のモード》に感銘を受ける。1952〜1953年パリでメシアンに師事。10楽器のための《コントラ・プンクテ》(1952〜1953),電子音楽《若者たちの歌(少年の歌)》(1955〜1956)などで一躍注目を浴び,ブーレーズ,ノーノとともに前衛三羽烏の異名をとった。

またケージの影響を受け,《ピアノ曲XI》(1956)で不確定性(偶然性の音楽参照)を導入。1950年代後半からは〈空間音楽〉〈瞬間形式〉などの理論を打ち出した。


ピアノ関連作品を年代順に並べてみた。 

  1. ピアノ曲 I〜IV:1952
  2. ピアノ曲 V〜X:1954-1955
  3. ピアノ曲 XI:1956
  4. ピアノ曲 XII:1979/1983
  5. ピアノ曲 XIII:1981
  6. ピアノ曲 XIV:1984
  7. ピアノ曲 XV:1991
  8. ピアノ曲 XVI:1995(テープ、ピアノ、電子ピアノ、サウンドスケープ)
  9. ピアノ曲 XVII(コメット):1994/1999(電子ピアノ、電子音楽、ミュウジーク・コンクレート、サウンドスケープ)
  10. 日曜日の別れ(ピアノ曲 XIX?):2001/2003(電子音楽)
  11. ピアノ曲 XVIII:2004(電子ピアノ)
  12. 自然な演奏時間:2005-2006

現代声楽曲のスペシャリスト(バリトン)の松平敬さんという人が、『シュトックハウゼン情報』としてまとめられている中に、「ピアノ曲」の概要を解説した箇所があり、分かりやすい。一部を引用させて戴く。


全部で19曲作られたシュトックハウゼンのピアノ曲(KLAVIERSTÜCK)は、大きく3つのグループに分けられます。すなわち

1.I~XI(1952-61)
2.XII~XIV(1979-84)
3.XV~XIX(1991-2003)

作曲法の面では、1が群による作曲法、2,3がフォルメル技法を採用していて、2,3は巨大なオペラ連作《光 LICHT》の関係作品として作曲されています。

楽器法では、1,2は伝統的なグランド・ピアノを使用していますが、2では様々な内部奏法などでピアノの音色の拡大が目論まれています。3は(電子的に音色を拡張されたピアノとしての)シンセサイザーが使用されています


ちなみに、松平敬さんが書かれた『シュトックハウゼンのすべて』という本は、2019年の「ミュージックペンクラブ音楽賞」というのを受賞している。



YouTube に「ピアノ曲 I〜X」の音源があったので聴いてみた。弾いているのは Vanessa Benelli Mosell というピアニストのようだ。


正直なところ、よく分からない。「実験音楽」にしか聴こえない。

こういう理論で、こういう方法でピアノ曲を「生成」してみたらこうなりました…という「実験結果」…??


上で紹介した松平敬さんの記事にも、「ピアノ曲 I」を分析した記事(↓)がある。

✏️『ピアノ曲I』分析(松平 敬 website)

「音価、ピッチ、強度」のセリーを使った作曲法が解説してあるが、元理工系学生の私としては、ちょっと興味はあるものの「だから何?」というのが正直な感想。

どういう音楽を作りたくて、こういう手法が必要になったのか、その必然性がまったく分からない。「これまでにない音楽」を生み出すための作曲法…なのか?


音楽では、その作曲法を使った作品(結果)が、音楽としてどれだけ素晴らしいか?…が問われるのではないだろうか? 音楽は、結果(具現化された音響の新しい美しさ、聴衆が聴いて感じること…)がすべてだと思うのだが…。

それと、こういう作品を演奏するピアニストには「演奏する喜び」みたいなものはあるのだろうか? 少なくとも私は弾きたいとは思わない。そもそも弾けないが…(^^;)。


もう一つ、「クラング(音―1日の24時間)」という晩年の壮大な連作の中の 3曲目(3時間目)に「自然の持続時間」というピアノ曲があり、YouTube に音源があったので聴いてみた。


この曲もよく分からない。TED(Technology Entertainment Design)カンファレンスでの演奏なので、この前後で講演(解説)もあったのかも知れない。演奏は Florian Steininger という人。

この音源は 8分半ほどだが、"NR.15" とあるので全24曲中の 15番目の曲らしい。

「自然の持続時間」というタイトルは「音の減衰時間や演奏者の呼吸などの自然現象で各楽曲の持続時間が決定される」ことを表していて、演奏時間は不確定なのだが、全曲演奏すると約 140分かかる作品のようだ。


主な参考記事は下記。

✏️シュトックハウゼン情報(松平 敬 website)



0 件のコメント:

コメントを投稿