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2022年1月16日日曜日

🎹G.ファーナビー 1560-1640「豊かな装飾」「才気煥発」かも知れないが…

鍵盤音楽史の勉強 3人目の作曲家は、ルネサンス時代、16世紀末から17世紀前半にイングランドで活動したジャイルズ・ファーナビー(Giles Farnaby, 1560-1640)。主にヴァージナルのための作品を作曲している。




ジャイルズ・ファーナビーのヴァージナル曲は、当時流行した世俗歌曲などを元にした小品が多く、52曲が「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」Fitzwilliam Virginal Book(1562〜1612年頃のイングランド鍵盤音楽を集めた筆写譜)に収録されている。

以上、主な出典は下記。

✏️Giles Farnaby(Wikipedia/英語)

✏️ジャイルズ・ファーナビー(Wikipedia)


代表曲がどれかというのはよく分からない…。

大学の先生が講義の中で選んでいた曲が「憂鬱なパヴァーヌ」だったのだが、どの曲がそれに相当するのか、YouTube で探した限りでは分からなかった。

もしかすると、この "The Flatt Pavan"(↓)かも知れない。Robert Johnson 作曲/ Giles Farnaby 編曲となっているので、元は歌曲なのかも…。割といい感じの曲だ ♪


なお、2曲目に入っている "Can Shee" は「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」では「作者不詳」となっている。


ちなみに、ジョン・ダウランドの「涙のパヴァーヌ」の編曲も残している。




英語の Wikipedia では、主な作品として、11曲のファンタジー、"Woody-Cock" という変奏曲、小品の "Giles Farnabys Dreame"、"His Rest"、"Farnabyes Conceit"、"His Humour" などが挙げられている。 

また、日本語Wikipedia には、エルガー・ハワースによって編曲された金管五重奏用組曲『空想・おもちゃ・夢』"Fancies, Toyes, and Dreams" が紹介されているのだが、この中には次の 6曲が含まれている。

  1. The Old Spagnoletta(古いスパニオレッタ)
  2. His Rest(休息)
  3. Tell mee Daphne(話してダフネ)
  4. A Toye(おもちゃ)
  5. His Dreame(夢)
  6. The New Sa-hoo(新しいサフー)

こんな曲(↓ご参考)。



YouTube にはこんなプレイリスト(↓)があり 30曲が収められている。

この元となった CD がこれ(↓)のようで、タイトルからすると "Giles Farnabys Dreame" というのも代表曲の一つと考えてもよさそうだ。

Farnaby's Dreame



このプレイリストを一通り聴いてみた。

感想としては、全体的にガチャガチャとした音が多く、また細かい音符(32分音符など)での速いフレーズが多用されて、落ち着かない印象の曲が多いような気がする。

この私の印象は、よく言えば「豊かな装飾を伴う対位法」「才気煥発とした鍵盤技巧」といった評価(出典 ↓)にもつながるようだ。



たしかに「才気煥発」という表現は当たっていると思うし、鍵盤技巧を進展させたという貢献はしたのかも知れない。

ただ、あくまで個人的な感想であるが、当時の大衆のウケを狙った?流行歌的な要素を感じてしまうのだ。少なくとも、私の好みの作曲家ではなさそうだ…(^^;)。

でも、CD タイトルになっている "Giles Farnabys Dreame" はちょっといい感じかも…♪



…で、ファーナビーについては "Giles Farnabys Dreame" を弾いてみることにした。




一応、「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」の収録曲をコピペしておく。

Fitzwilliam Virginal Book

  1. Pavana (Robert Johnson set by Giles Farnaby)
  2. The K[ing's] Hunt
  3. Spagnioletta
  4. For tow virginals
  5. Daphne
  6. Pawles Wharfe
  7. Quodlings Deligte
  8. Putte upp thy Dagger, Jemy
  9. Bony sweete Robin
  10. Fantasia
  11. Wooddy Cocke
  12. Rosasolis
  13. Alman (Robert Johnson set by Giles Farnaby)
  14. The Nuwe Sa-Hoo
  15. Giles Farnabyes Dreame
  16. His Rest
  17. His Humoure
  18. A Maske
  19. A Maske
  20. Fantasia
  21. A Maske
  22. Fantasia
  23. Loth to departe
  24. Fantasia
  25. Fantasia
  26. Ay me, poore Heart
  27. Fantasia
  28. Walter Erles Pavan
  29. The L. Zouches Maske
  30. Grownde
  31. Upp T[ails] all
  32. Tower Hill
  33. Praeludium
  34. A Gigge
  35. Galliarda
  36. A Toye
  37. Farnabyes Conceite
  38. Telle Mee, Daphne
  39. Mal Sims
  40. Rosseters Galiarde
  41. The Flatt Pavan
  42. Why aske yow
  43. Farmers Pavan
  44. The Olde Spagnoletta
  45. Meridian Alman
  46. Fantasia

出典は下記。ただし、Wikipedia の "Giles Farnaby" の項には 52曲と書いてあるが、こちらには 46曲しか載っていない。

✏️Fitzwilliam Virginal Book#Giles_Farnaby(Wikipedia/英語)



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