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2021年8月13日金曜日

コロナ禍の中の海外公演:オラフソンが語る「隔離生活」の実態…

ヴィキングル・オラフソン、コロナ禍の中でもコンサート活動を頑張っている演奏家の一人だと思うが、この 11ヶ月間で通算 69日の隔離生活(待機期間)を経験したそうだ。

昨年 12月の庄司紗矢香さんとのデュオ・リサイタルでも、8回の日本公演のために 14日間の待機を余儀なくされている。そんな経験を語ったインタビュー記事を興味深く読んだ。




紹介記事はコレ(↓)。

✏️Vikingur: I’ve Done 69 Days Quarantine In 11 Months(Slipped Disc)

元の記事はコレ(↓)だが、カナダのシンガーソングライター Devin Townsend という人のことも半分以上書かれているので、オラフソンに関する部分を意訳してみる。


普通なら 1〜2日の演奏旅行が 7〜9日かかってしまう。最初の頃は閑散とした空港や、飛行機の座席 1列を独り占めできることなどは贅沢な感じがした。でもすぐに、そういうものは「この世の終わり」みたいに見えてきた。

2020年の12月に日本で 8回の公演を行うために 2週間の隔離(待機)生活を送った。それも、東京で 2,500人の聴衆を前に演奏するためには意味のあることだと考えた。

東京ではピアノ付きのアパートがあったが、他ではそんな贅沢は許されなかった。


精神面ではとても興味深いことを経験した。何度も隔離生活をしていると、自分が "persona non grata"(ペルソナ・ノン・グラータ=好ましくない人物)みたいに思えてくる。触れてはいけない「毒」みたいな…。

ノルウェーのホテル隔離は厳格だ。一日中部屋にいて、1日1回の散策しか許されない。「自由」に対する考え方が変わってしまう。精神的な影響は計り知れないと思う。

食事は日に3度提供されるが、給仕がドアをノックしてトレーを置いていく、その後、自分でドアを開けてそれを受け取る。とてもいいホテルなのだが「検疫メニュー」はまずい病院食のようだった。


状況が改善するまで自国内でのみ公演するという考えもあるが、私にはその気はまったくない。生き残るための意志というか、それが仕事だし、それで生計を立てている。そうすることは音楽に対する愛情であるし、こんな時だからこそ生の演奏を届けたいと思う。

いつも電子キーボードとヘッドフォンを持参している。一定のレベルを保つには常に練習が必要だから…。

 FaceTime を通じて「家族と過ごす」時間も大切にしている。1日中部屋にいるからといって、ベッドに横になって天井を見て過ごす時間はほとんどない。

自宅に戻ってからも隔離が必要だ。上の階にいる家族の声を聞きながら自宅の一部で子供に隠れて過ごす。2歳の息子には状況が理解できないだろうから…。

(抄訳は以上)


昨年末来日時のインタビュー記事もあったのでご参考まで…。


この中にも関連する話が少し出ている。

「日本に来るまでのプロセスはとても複雑でしたし、大きな犠牲も払いました。本当は今ごろアメリカにいて、作曲家のジョン・アダムズが指揮するクリーヴランド管弦楽団と共演していたはずですが、紗矢香さんとのデュオを優先すると決め、キャンセルしたのです…」

「自粛期間中、コンサートはキャンセルされても自分が制作に携わっているラジオ、テレビの番組は続いていましたから、それなりに多忙だったのです。日本で14日間の待機期間を授かり、独りゆっくり読譜やピアノの練習ができるのは別の意味で、素晴らしい休暇になりました」

「個人的には23日の深夜に乗り、イヴの日にはレイキャヴィクに着くはずだったフライトがキャンセルされ、1人ぼっちのクリスマスを東京で迎えます。妻と生後16か月の息子には、お詫びの品(ソーリー・ギフト)を買って帰らなければなりませんね」


おまけ。同じ日の Slipped Disc の記事にこういうの(↓)もあった。

✏️Artist In Residence Is Told She Cannot Fly

エレーヌ・グリモーさんが北ドイツの Schleswig-Holstein Music Festival(シュレースヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭)というのに主役(Portrait Artist)として 14のコンサートに出演するはずだったのに、渡航することができずキャンセルになったとのこと。

そのコンサートのうち 7つの公演は ヤン・リシエツキが代役を努めることになったようだ。アメリカからは行けないのに、カナダからは行けるんだ…(^^;)。

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