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2020年7月3日金曜日

オーケストラ再開?都響の科学的アプローチが素晴らしい ♪

7月に入ってコンサートも少しずつ(恐る恐る?)再開しているようだ。「感染拡大防止と経済活動(社会活動)の両立」の一環なのだろうが、不安も残る…。

そんな中で、オーケストラ公演再開のための試演会を開き、演奏で出る飛沫などの測定を科学的に行った都響(東京都交響楽団)の取り組みはとても評価できると思う。


✏️専門家とエアロゾル測定~大野和士&東京都交響楽団「日本モデルを提供したい」(ONTOMO)

試奏・測定の様子


政府や都の新型コロナに対する対応に、データや事実(ファクト)に基づく分析といった科学的アプローチがほとんど見られないことに、ちょっと呆れ果てている今日この頃…。

この都響のニュースに、私は一筋の光明のようなものを感じた。こういう努力をしている(真摯な)人たちもいるんだという安堵のような気持ち…。クラシック音楽業界も、まだまだ捨てたものじゃない…(^^)♪

まぁ、まだ始まったばかりでこのあとが大変だとは思うが、この試みをリードした都響の音楽監督、大野和士さんの言葉(↓)はとても素晴らしいと思う。

「日本中のオーケストラ、コーラス、ブラスバンドのためにも指針を出し、日本モデルとなるような指針を提供したい」


この試演・測定は、東京文化会館大ホールで 6月11日・12日の 2日間行われた。

都響と慶応義塾大の奥田知明教授(環境化学・エアロゾル工学)、カトウ光研(株)の協力で実施され、聖マリアンナ医大の国島広之教授(感染症学)や呼吸器科専門医らが試演に立ち会った…とのこと。


小規模編成のオーケストラで、演奏者の間の距離を 2メートルから少しずつ近づけたり、指揮者の前にアクリル板を置いたり外したり…と色んな条件で、実際の演奏がどう変わるか、演奏者の感じ方はどう変わるかなどが試された。

また、管楽器奏者や歌手の演奏によってどの程度の飛沫(エアロゾル)が飛ぶかなどの計測も行われた。内容豊富なので詳しいことは各記事に譲ることにしたい…(^^;)。


✏️日常会話以上の飛沫は考えにくいが…「た」行では確認 都響がオーケストラ分析(産経新聞)

✏️特別企画|東京都響・COVID-19影響下における公演再開に備えた試演|齋藤俊夫(Mercure des Arts)

✏️「演奏会再開への行程表と指針」(都響、PDF)


ただ、全体的には、ステージ上は割と大丈夫そうというのが記事を読んだ感想。それよりも、練習や楽屋・ロビーなどでの密な接触や打ち上げなどの方がリスクが高そうだ。

あと、イタリア歌曲のテノール歌手を聴くときはある程度離れた方が良さそう…というデータも出ている。(男性歌手の方が飛沫が多い、破裂音などの子音の方が飛沫が飛ぶ)

その他、ちょっと面白いと思ったことを 2つほど紹介しておく。


一つは、管楽器の演奏時の飛沫の計測結果(↓産経新聞記事よりお借りした)。

管が曲がりくねった管楽器はあまり飛沫が飛ばないようだ。トロンボーンは曲がりが少ないのと操作法のせいか飛沫が多い。フルートは直接外に出る息もあるので多くなるのだろう。管楽器は、演奏による飛沫よりも楽器の中に溜まった水分の方が危険なようだ。




もう一つは、演奏者の距離を近くして、指揮台の前のアクリル板を外したときの大野和士さん(指揮者)の感想が興味深かった。

「隣りの奏者同士が耳を傾け合うことによって、(指揮者の)上のほうに丸く漂う響きのコアが聴けた」

指揮者というのは、そういう響き、自分の頭上に漂う響きのかたまりのようなものを感じながら指揮棒を振っているのか…。あと、演奏者どうしの距離感というのも、全体の演奏に影響するものなんだな…ということ…(^^)♪


おまけ。東京都交響楽団以外にも、首都圏ではいくつかのオーケストラが 7月からリアルの、観客数は制限されるが実際のホールでお客さんを入れたコンサートを開始する。読響、新日本フィル、東京交響楽団、東京フィル、日本フィルなど。

その中で、マスク付きのチケットを販売するオーケストラも登場した(↓)。「ブラボーチケット」という名前なので、「ブラボー」を叫ぶときにはこのマスクを付けて!という意味なのか…(^^;)?

✏️読売日本交響楽団が7月5日から演奏会再開、マスク付きのブラボーチケットも!(ONTOMO)



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