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2019年9月14日土曜日

いいピアノ演奏を支える5つの技術 ♪?

久しぶりにアルゲリッチの弾くバッハのパルティータ第2番を聴いていて、ふと思った。この「神領域」としか思えない演奏はどうやって出てくるのだろう?

で、数日後、散歩しながらそのことを何となく考えて(妄想して?)いて、ピアノの表現技術のようなことを思いついた。それは 5つに分類できるのではないか…?




これまでにも何度か「ピアノのいい演奏」とは何だろう?ということを考えてきた。今回は、不遜にも…(^^;)…アルゲリッチの演奏を生み出している技術って何だろう?という観点からのアプローチを試みている…ということなのかな?

で、その技術要素を5つ並べてみたのが上の図である。


一つ目は「ピアノのいい音」、つまり音質とか音色である。これは、個人的には絶対条件だと思っていて、ピアノという楽器からその一番いい音を引き出すのが、ピアニストの基本能力だと言ってもいいと思う。

曲の最初の音が鳴った瞬間に「おっ ♪!」と感じるかどうかはとても大きな要素だし、この音・音響をいつまでも聴いていたいと思う演奏は、音楽を聴く喜びの要である。

弦楽器奏者がその楽器から一番いい音を引き出すのに練習し苦労する努力をピアニストもやる必要があるのではないか…と思ったりもする。


二つ目は「メカニカル」な技術。簡単にいうと、楽譜に書いてある音符通りに曲を再現する技術。とても狭い意味の「ピアノが弾ける」能力かもしれない。

その技術に長けていることを「指が回る」とか言うのだと思う。ただ、「ヴィルトゥオーゾ」というのは、それ以上のことを指す言葉のような気がする。


三番目は、楽譜に書いてあるレベルの「基本的な表現技術」。

デュナーミク(強弱)とか、基本的なアーティキュレーション(レガート、スタッカート等)とか、アゴーギク(accel.rit. 、ルバート等)とか…。


四つ目は、楽譜に書けないレベルの「高度な表現技術」。

高度なアーティキュレーション(レガートやスタッカートの細かい段階とか、「ジュー・ ペルレ」とか…)、和音などのヴォイシング、指の完全な独立(4本の手で弾いているような演奏、声部ごとの浮き沈み…)とか、微妙なフレージングなど…かな…?

曲全体の構築みたいなこともこれに含まれると思う。物語がちゃんと語り継がれていくとか、楽章の構成に音楽的な(聴いたときの)説得力があるとか…。


で、五つ目は、いわく言いがたい「◯◯感」みたいなもの。

説明が難しいのだが、演奏全体から感じる印象から、フレーズの中の細かいニュアンスなどまで。ジャズなどで言われる「ドライヴ感」や「グルーヴ感」や「スウィング感」みたいなもの。曲によっては「うねり」のようなもの、低音の深い響き、倍音のきらめき…。

例えば、同じ三拍子でも、ワルツとマズルカとポロネーズではリズム感が異なる…みたいなことも含まれるかも知れない。


…と5つの要素を思いついて、それなりに満足していたのだが、まてよ…そんな「技術」だけの話なんだろうか?というさらなる疑問が…。

で、以下、私の妄想(の続き)をとりあえずメモしてみたが、全く自信がない…(^^;)。


技術以前に、その演奏家のありようというか人格というか、「人として」どうなんだろう?というのがベースにあるんだろうと思った。

さらに、芸術や音楽や美に対する真摯な気持ち、あるいはそういうものに対するリスペクトというのか、価値あるものとして認める気持ちがなくてはならないのだろう。

その上で、音楽を表現する意思とか意欲のようなものは必要だと思う。

それは、美しい音楽を自分が紡ぎ出すことに最上の喜びを感じるようなことだったり、その作品を音にしたくてたまらないという気持ちだったり…。


もちろん、気持ちだけではなく、その作品に対する深い理解も必要なんだろう。

それも、単に作品の時代背景とか作曲家の人となりとか、その作品が成立した経緯とか、あるいは、時代区分とか古典派とかソナタ形式とか…だけではなく、その作品の一番いい姿はこうなんだということを心で理解しているようなことがあるような気がする。


…と、私の頭の中を駆け巡った「妄想」を文字にしてみたが、こういったものが「神領域」の演奏を支えているものかどうかは定かでない。そもそも凡人たる私ごときに「神」の心や技(わざ)を理解できるわけがないだろう…(^^;)。

凡人にできるのは「自分がいいと感じたものはいい」と信じることだけだ ♪



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