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2019年5月1日水曜日

ラン・ラン主催の Shenzhen Futian コンクールで事件?

今日は新天皇即位の日なのでブログはお休みしようかと思っていたのだが、ノーマン・レブレヒトさん(Norman Lebrecht)の記事がちょっと気になったので…。

ラン・ランのコンクールって?という興味と、タイトルの "outrage"(激怒)という、普通はピアニストには相応しくない単語を見て「何だろう…?」という興味で…。




まず、ラン・ランのコンクールであるが、"Lang Lang Shenzhen Futian International Piano Competition" という名称で、2015年から2年に1回、中国の深圳市福田区で音楽祭とともに開かれているようだが、公式サイトなどは見つからなかった。

ローカル紙のサイトらしきところ(↓)に、「1万枚の無料チケットが配られる」とか「Gary Graffman や Zhu Yafen がマスタークラスなどに招待される」とか書いてある。

✏️THE Third Lang Lang Shenzhen Futian International Piano Festival...


で、Slipped Disc の記事(↓)であるが、上のコンクールの審査員の一人である Antonio Pompa-Baldi 氏(Cleveland Institute of Music の教授)の報告書を紹介したものだ。

✏️A competitor confronts the jury at Lang Lang Competition

コンクールでちょっとした問題が起きたようだ。長文の報告書だが、あまり愉快な話ではないので、かいつまんでご紹介すると…。


このコンクールでは 6人のファイナリストを選ぶことになっていたが、優秀なコンペチタが多く審査員団は 10人を選ぶことに決めた。

ところが、10人にするとスケジュール的に無理が生じる。そこで、ファイナルで演奏する予定の 3曲(中国人作曲家による課題曲、自由曲、ピアノ協奏曲)から自由曲を外して、2曲で審査をすることになった。

9人のコンペチタはこれを受け入れたが、1人だけ抗議したコンペチタがいた。しぶしぶ了解したと思われたこのコンペチタがファイナル本番でとんでもないことをしでかす。

課題曲のあとにピアノ協奏曲ではなく、外されたはずの自由曲(プロコフィエフのトッカータ)を弾き始めたのだ。審査員の鳴らす中止のベルも、マイクでの注意も無視して最後まで弾ききってしまった。

当然、失格となりピアノ協奏曲の演奏は許されなかった。

それで終わればまだよかったのだろうが、どうもその後の態度やSNSでの書き込みもひどかったようだ。報告書では "spewing venom"(恨みを撒き散らす)と表現してある。

ここでは、あえてそのコンペチタの名前は書かないが(報告書には明記してある)、優勝候補の一人であったようだ。


まぁ、一生懸命練習してきた曲なので本番でどうしても弾きたいという気持ちも分からないではないが、こんなことで将来を棒に振る(かどうかは分からないが…)とは…。何とも悲しい気持ちになってしまう。

最近、ピアノの演奏を聴いて思うことの一つは「音楽には結局ピアニストの『人間性』が出る」ということ。どんなに上手くても心惹かれない演奏というものもあるのだ。

報告書の中にあった次の言葉が印象的であった。

"talent and ability should go hand in hand with humility and kindness"(才能や能力は謙虚さや思いやりとともになくてはならない)



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