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2016年11月11日金曜日

プロコフィエフのピアノソナタ:予習

12月1日のリュカ・ドゥバルグのピアノ・リサイタルの予習第2弾。4つのピアノソナタのうち、今日はプロコフィエフの3番について。


…と思ったが、よく演奏されるもの(7番とか)以外はあまり聴いたことがないので、ついでに一通り聴いてみることにした。


プロコフィエフの9曲のピアノソナタを見て(聴いて)いく。

以下、〔25〕等の数字は28段階難易度。[8'00"] 等は演奏時間(出典:PTNAピアノ曲事典)。♪ マークは YouTube 音源。

コメントは私の感想と、文末の「出典・参考」サイトから適宜引用。


●第1番 ヘ短調〔25〕
 No.1 f-moll Op.1 [1907年] [8'00"]

(Pf: Boris Berman)

ちょっとロマン派的なメロディックな感じが好きかも知れない。


●第2番 ニ短調〔25〕
 No.2 d-moll Op.14 [1912年] [17'30"]


とりとめない印象(プロコ的?)。個人的にはあまり好みではない。


●第3番 イ短調「古い手帳から」〔27〕
 No.3 a-moll Op.28 [1917年] [7'00"]



サンクトペテルブルク音楽院時代の習作(1907年)を1917年に改作した単一楽章のソナタ。短い中に、色々と変化に富んだフレーズが展開して面白い。第2主題の素朴なメロディーがなかなかいい。

Boris Berman の音源は楽譜が表示されるのでいいのだが、演奏としては2番目にあげたトリフォノフの方が好みだ。


●第4番 ハ短調「古い手帳から」〔26〕
 No.4 c-moll Op.29 [1917年] [16'00"]

(Pf: Sviatoslav Richter / 1993)

第3番と同時期に、サンクトペテルブルク音楽院時代の習作(1908年)を元に1917年に改作されたもの。プロコにしてはやや地味かな…。第1楽章の冒頭はいい感じもしたが、今ひとつ引き込まれない。

第2楽章は交響曲ホ短調(習作、1908年)のアンダンテが原曲で、さらに1924年に管弦楽のための『アンダンテ』作品29bisに編曲されている。


●第5番 ハ長調〔26〕
 No.5 C-Dur Op.38 [1923年] [14'00"]
 No.5 C-Dur Op.135 [1953年](改訂版)


出だしはきれいなのだが…。個人的には好きでも嫌いでもない。要するに、よく分からない?ということかも…。

でも、プロコフィエフが晩年に改訂版を出しているということは、本人の思い入れが強いのだろう。いずれ、改めて聴いてみようと思う。


●第6番 イ長調「戦争ソナタ」〔28〕
 No.6 A-Dur Op.82 [1939-40年] [29'30"]

(Pf: Sviatoslav Richter / 1960 Live in Carnegie Hall)

第6番から第8番までの3曲の「戦争ソナタ」は、プロコフィエフのピアノソナタの中でも演奏されることの多い、円熟期の作品である。

第6番は戦争ソナタの中で唯一4楽章形式で書かれており、また9曲のピアノソナタの中でも特に規模の大きい作品。スヴャトスラフ・リヒテルの愛奏曲の一つで、ライヴを含め多数の録音が残されている。


●第7番 変ロ長調「戦争ソナタ」〔27〕
 No.7 B-Dur Op.83 [1939-42年] [17'30"]

♪ Sergei Prokofiev - Piano Sonata No. 7
(Pf: Grigori Sokolov / 2002 Live in Paris)
※追記@2023/05/18:再生できなくなっているので下記に差し替え。


3曲の「戦争ソナタ」のうちの1曲として有名な作品である。1943年1月18日、モスクワでスヴャトスラフ・リヒテルによって初演された。プロコフィエフが初めて初演を他のピアニストに託したピアノ作品である。

7拍子の第3楽章 Precipitato が難しいらしいのだが、プロコの曲ではここが一番好きかも知れない。上のソコロフの演奏は打楽器的になりすぎず、とても音楽的な演奏で気に入った。


●第8番 変ロ長調「戦争ソナタ」〔27〕
 No.8 B-Dur Op.84 [1939-44年] [28'30"]


第7番が厳しい構成や無調的な性格を示しているのに対して、第8番は抒情的でマイルドといえる性格を特色としており、前作とはかなり対照的な作品になっている。1944年12月30日にエミール・ギレリスによってモスクワで初演された。


●第9番 ハ長調〔25〕
 No.9 C-Dur Op.103 [1947年] [24'30"]

(Pf: Sviatoslav Richter / 1981 Live in Japan)

スヴャトスラフ・リヒテルに献呈され、1951年4月23日にモスクワでリヒテルによって初演された。

晩年のプロコフィエフは音の簡素化に向かっていくが、この曲も非常に装飾の少ない簡素な曲になっており、「戦争ソナタ」などに見られた複雑な対位法や技巧的なパッセージはほとんど見られない。

曲は、プロコらしくなく?静かに始まる。一瞬盛り上がるかと思うと、またすぐに静かに…。第2楽章でちょっと打楽器的な趣を見せるが、それもすぐに大人しくなってしまう。そして実に優しげに3楽章が…。最終楽章もプロコとしては大人しい。

一度聴いた限りでは、つかみどころがない感じ。もう一度落ち着いて、先入観なく聴いてみる必要がありそうだ。


第3番を中心に、いくつかナクソスのCDで聴いた中で気に入ったものは、下記のイェフィム・ブロンフマンのCD。




おまけ:上の YouTube で第1・2・3・5番を弾いている、ボリス・ベルマン(Boris Berman, 1948年4月3日 - )について。

ロシア出身のピアニスト・音楽教師で、モスクワ音楽院でレフ・オボーリンに師事し、1965年にモスクワにデビュー。シェーンベルクやシュトックハウゼン、ベリオ、リゲティらの作品のロシア初演を行なった人。プロコフィエフのピアノ・ソナタとピアノ協奏曲の全曲録音をしているとのこと。


おまけその2:以前《プロコフィエフを弾くとしたら…》という記事で、弾けそうな曲が見当たらないと書いた。

…が、プロコフィエフを調べているうちに「プロコフィエフを弾いてみたくなったら」という記事を発見。ここに「初〜中〜上級者向けの曲」がいくつか紹介してある。気が向いたら見てみよう。

あと、気のせいかも知れないが、第9番の第3楽章(Andante tranquillo)のはじめの方(Allegro sostenuto の前まで)は、少なくとも楽譜を見ている限り弾けるかもと思った。これもそのうち…?


出典・参考:





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