ページ

2023年7月19日水曜日

🎹T.エスケシュ 1965- 最新のピアノ協奏曲はチョ・ソンジンに献呈

お気に入りピアニストのマリー=アンジュ・グッチが 4月に来日したときのインタビュー記事(↓)で「現代フランスを代表する作曲家エスケシュ」に触れているのを見て初めて知ったのが、このティエリー・エスケシュである。即興を得意とするオルガン奏者でもある。

✏️マリー=アンジュ・グッチ(Marie-Ange Nguci)の頭脳明晰な一面が明らかに――多彩な言語操る若きピアニストが来日、その近況を語る(MIKIKI)


© Marie Rolland


5年前に初めてマリー=アンジュ・グッチ(Marie-Ange Nguci)を知って、調べたときの CD にも、エスケシュの Les litanies de l’ombre(木陰の連祷)という曲が収録されていたのだが、まったく気づいていなかった…(^^;)。



今回のインタビューでは次のように語っている。

現代の作曲家たちとのコラボレーションは私にとって大きな意味を持っています。エスケシュとも絶えず連絡を取っていて、音楽的なアイディアを交換しています


そして、エスケシュはチョ・ソンジンにピアノ協奏曲「ピアノとオーケストラのためのエチュード・シンフォニクス」(Études symphoniques for piano and orchestra)を献呈している…ということも下記の記事で知って、二度ビックリした。この曲は今年 3月に初演されている。


これはもう、《鍵盤音楽史》(現代)には欠かせない作曲家のようだ。…ということで、さっそく調べてみた。


ティエリー・エスケシュ(Thierry Escaich、1965- )は作曲家、オルガニスト、即興音楽家として現代の音楽界でユニークな存在感を放つフランス人音楽家。様々なジャンル、構成の作品を書き、常に新しい響きを追い求め、これまで100以上の作品を作曲している。

それらは叙情的で豊かなハーモニーとエネルギーに満ち、多くの聴衆を惹きつけている。欧米の一流オーケストラや室内楽アンサンブル、ソリストらに演奏され、著名な賞の受賞も数多い。

母校のパリ音楽院で作曲および即興を教えるかたわら、パリのサン=テティエンヌ・デュ・モン教会のオルガニストも務めている。

✏️Thierry Escaich ティエリー・エスケシュ(KAJIMOTO)

✏️Thierry Escaich  composer - organist(本人サイト)

✏️Thierry Escaich(Wikipedia/ 英語)


本人サイトのプロフィールによると、作風はラヴェル、メシアン、デュティユーなどのフランス音楽の系列に現代音楽、ポピュラー音楽、宗教音楽などの要素を混ぜたような感じらしい。" lyrical, rich harmonies and rhythmic energy" といった表現もある。

"Drawing from the French line of composition of Ravel, Messiaen and Dutilleux, and imbued with references from contemporary, popular and spiritual music..."

少し聴いただけなのでまだよく分からないが、現代音楽としては比較的聴きやすい部類に入るだろう。チョ・ソンジンに献呈されたピアノ協奏曲などはちょっと好きかも知れない ♪


ピアノソロ作品には次のようなものがある。

  • Les Litanies de l'ombre (1990)
  • Jeux de doubles (2001)
  • Aria (2002)
  • Deux Études baroques (2009)
  • Études baroques (2009/2011)
  • Études impressionnistes (2010/2012)
  • Étude jazz (2016)
  • Étude flash-back (2019)

ピアノ協奏曲は 2台ピアノを含めて 3曲。

  • Fantaisia concertante for piano and orchestra (1995)
  • Fantastic Scherzo for two pianos and orchestra (2011)
  • Etudes symphoniques, Concerto for piano and orchestra (2023)


オルガニストなのでオルガン曲も多い。

オルガンソロ曲。

  • Trois Esquisses (1990)
  • Cinq Versets sur le « Victimæ paschali » (1991)
  • Quatrième Esquisse (« Le Cri des abîmes ») (1993)
  • Récit (1995)
  • Deux Évocations (1996)
  • Poèmes (2002)
  • Agnus Dei (2003)
  • Évocation III (2008)

オルガン協奏曲も 3曲。

  • Organ Concerto No. 1, for organ and symphony orchestra (1995)
  • Organ Concerto No. 2, for organ, string orchestra and two percussionists (2006)
  • Organ Concerto No. 3 ("Quatre Visages du temps"), for organ and orchestra (2017)


今回はピアノ曲をいくつか聴いてみた。

YouTube では Claire-Marie Le Guay(クレール=マリ・ル・ゲ)の演奏があった。マリー=アンジュ・グッチの CD にも入っている "Les litanies de l’ombre" と "Jeux de doubles" の 2曲。




元の CD はこれ(↓)。




もう一人、ベアトリス・ベリュ(Beatrice Berrut、1985- )というスイスのピアニストもエスケシュのピアノ曲を録音しているようだ。なぜか、女性ピアニストの演奏が多い…(^^;)?





下記の CD には、バッハの編曲ピアノ作品とともに、エスケシュの "Études baroques" と "Jeux de doubles" が収録されている。ブゾーニ編曲のコラール前奏曲は10曲すべてが入っている。使われているピアノは「ベーゼンドルファー・コンサートグランド」。






ピアノ協奏曲では、チョ・ソンジンに献呈されたピアノ協奏曲「ピアノとオーケストラのためのエチュード・シンフォニクス」がなかなか面白いと思う。

YouTube にあったのは、世界初演(2023年3月16日)と同じ Semyon Bychkov 指揮チェコフィルとチョ・ソンジンの演奏(↓)。

♪ Seong-Jin Cho : Thierry Escaich Études symphoniques for piano and orchestra (20230331, Budapest)


あと、"Fantaisia concertante"(1995)では Claire-Marie Le Guay の演奏があった。



最後にオルガン協奏曲第3番を聴いてみた。なかなか面白い ♪


なお、この作品の世界初演は日本で行われたようだ(↓)。

World premiere: 18/07/2017, Ishikawa Ongakudo, Kanazawa (Japan) – Thierry Escaich (organ), Orchestra Ensemble Kanazawa, Michiyoshi Inoue (direction).

0 件のコメント:

コメントを投稿