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2023年1月27日金曜日

藤田真央くん Standing Ovation カーネギーデビューの評判 Reviews ♪

藤田真央くんのカーネギーホールデビュー、評判が気になったので見てみたら、わりといい感じのレビュー記事が New York Times などに載っていた ♪


会場も Standing Ovation だったようで(↓)、まずはめでたし…(^^)♪(写真は後述のジャパン・アーツさんの Facebook 投稿からお借りしたもの)




これがそのジャパン・アーツさんの投稿(↓)。



レビュー記事を説明するのも間が抜けている?気がするので、ちょっと気になったところだけ、個人的な感想など書いてみたい。

その前に、当日のプログラムは下記。

  • MOZART Nine Variations on a Minuet by J. P. Duport, K. 573
  • MOZART Piano Sonata in D Major, K. 311
  • LISZT Ballade No. 2 in B Minor
  • BRAHMS Theme and Variations in D Minor, Op. 18b
  • C. SCHUMANN Three Romances, Op. 21
  • R. SCHUMANN Piano Sonata No. 2 in G Minor, Op. 22
アンコール
  • MOZART Allegro from Piano Sonata in C Major, K. 545
  • SCRIABIN Etude in D-sharp Minor, Op. 8, No. 12
  • MOSZKOWSKI Etude in A-flat Major, Op. 72, No. 11


NY Times の記事:


…でまず気になったのは、リード文(↓)。

"Mao Fujita’s playing had a prettiness all its own, but he didn’t connect profoundly with all the composers on his largely safe program."

"a prettiness all its own" はまったくその通りだとして、後半の "largely safe program"(無難なプログラム?)というのと "he didn’t connect profoundly ..." というあたりは、プログラム構成に対して「あまり感心しない」みたいな書き方に見える。

まぁ、個人的にもプログラムに物足りなさは感じるが、リード文にそれを書くか?…というのはある…(^^;)。


演奏に関しては、この記者(Oussama Zahr)の感じ方なども関係するので、その内容はあまり気にしても仕方ないのだが…。

全体的に、「軽やかさ」「速さ」「音の美しさ」についての記述が多い。

"When his fingers touched the keys, though, waves of airy filigree, beautifully formed and finished, emerged in almost uninterrupted streams for his two-hour solo recital."

"filigree"(フィリグリー)というのは、金や銀を使った繊細な「細金細工」のこと。真央くんの演奏にはふさわしい言葉かも知れない ♪

たまに、"felt too fast if not for his pearly tone"(真珠のような音がなければ速すぎると感じる…)かも知れない…といった書き方もあるが、トーンとしては肯定的だと思われる。


この記者は、真央くんの CD などもちゃんと聴いているようで、こんなこと(↓)も書いてある。

"Comparing the sonata with Fujita’s recorded version, I missed the cleanly delineated treatment of Mozart’s contrapuntal writing, which Fujita approached on the album with Bach-like clarity and independence of line."

CD では、モーツァルトの対位法的なところを、バッハのような明晰さと声部の独立性をもって見事に表現している。(←素晴らしい…(^^)!♪…)それが今回の演奏では聴けなかった…と残念がっている。ホールの影響もあるかも…とは言っているが…。


この記者にとって、全体で一番良かったのはアンコールのモーツァルト(K. 545 第1楽章)だったようだ。それ以外では、(ロベルト&クララ)シューマンが気に入ったらしい。

"The pieces by the Schumanns would have been the recital’s highlight were it not for Fujita’s first encore, the opening Allegro from Mozart’s infectious “Sonata Facile.”


もう一つ、"New York Classical Review" というサイトにもレビュー記事(↓)があった。こちらの記事は David Wright という人が書いたもの。

✏️Fujita brings light touch to Liszt, Brahms, and the Schumanns in Carnegie debut

この記事の冒頭(↓)もちょっと気になった。英語なので、ニュアンスなどがよく分からないということもあるが…(^^;)。

"One gets the feeling that when Mao Fujita looks at a score he sees not scales, chords and octaves but shapes."

"At times during the 24-year-old, Tokyo-born pianist’s debut at Carnegie Hall Wednesday night, one wished those shapes had a few more bones in them. But for the most part, Fujita’s loving molding of music by Mozart, Liszt, Brahms and the two Schumanns was a sonic delight."

藤田真央は楽譜を見るときに、スケールや和音やオクターブではなく「形」を見ているのではないか?…と人は思うかも知れない。

カーネギーホール・デビューでは、その「形」の中にもう少し「骨」があることを期待するのでは?しかしながら、今夜のリサイタルの大半は、藤田の愛情のこもった音楽作りによる、音響の喜び?(a sonic delight)であった。

…みたいな意味かな?…褒めているのかな…(^^;)?


この人も、NY Times の記者と同じように、「軽やかさ」や「音の美しさ」を言っているが、それよりも「ピアニッシモ」「レッジェーロ」に言及している箇所が多い。"pianissimo leggiero" は真央くんのトレードマークなのか?

"to play fast and leggiero, with fingertip control of dynamic shadings in the piano-to-pianissimo range—an impressive skill"

"his trademark pianissimo leggiero"

"Fujita’s feathery leggiero"

それ以外には、"an eloquent storyteller in tones" とか "sensitive voicing and tonal imagination" などのように音色(tones)に対する多彩さを褒めているようだ。


クララ・シューマンのロマンスからロベルト・シューマンのソナタ第2番(の第1楽章)へ、間を置かずに(アタッカで)演奏したことにはやや批判的だ。

実際、ソナタ第1楽章の終わりで拍手が起きたようで、一部の聴衆は第1楽章がクララのロマンスの最後と思ったかも知れない…それは、どんな芸術的意図があったとしても "never good" だ…と言っている。


そしてこの記者も、アンコールの K. 545 が "the pianist’s finest Mozart performance of the night" と言っている。モーツァルトのソナタをメインにしたプログラムの方が良かったのかな…(^^;)?


それにしても、この二つの記事、どちらも全ての曲目についての具体的な指摘が書いてあり、演奏を本当にちゃんと聴いているのだなぁ…と感心する。それに、音楽のことや藤田真央くんのことにも詳しいようだ ♪

あまり言いたくはないが、これらと比較すると日本語記事で目にする論評の空疎さに今更ながら残念な思いがする。日本の音楽評論家を名乗る人たちも、もう少しこういう記事を書いてくれると嬉しいのだが…😥



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