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2021年11月18日木曜日

上原ひろみ:ピアノ五重奏曲 "Silver Lining Suite" は現代音楽の名曲かも ♪

たまたま読んだ上原ひろみさん(私のお気に入りのジャズ・ピアニスト)のインタビュー記事にいいこと(↓)が書いてあって、それをきっかけに最新アルバム『シルヴァー・ライニング・スイート』を聴いた。これが素晴らしかった…(^^)♪

誰しも、そのときにしか出せない音があるから、音楽は一期一会で、だから常に新鮮でいられる


Blue Note Tokyo でアルバムを語る上原ひろみ


読んだのはこれ(↓)。コロナ禍の中で悩みながら、「出来ることをやる」という方向で頑張っている上原ひろみさんの最近の活動などが語られている。菊地陽子さんによるインタビュー記事。

✏️コロナですべて公演キャンセル…世界中でピアノを弾いてきた上原ひろみの決断(現代ビジネス)2021.10.18

「一期一会」の話は上原ひろみさんのこの発言(↓)の中に登場する。最後の太字にした部分もとてもいい言葉だと思う ♪

音というのは、感情がそのまま外に出るものなので、昔出せなかった音が出せるようになるというのは、ジャズに限らず、すべてのミュージシャンに言えることだと思います。ただ、何かを得た分、何かを失うこともある。それは結局、10代には10代にしか出せない音が、20代には20代、30代には30代、40代には40代の音があるということ。誰しも、そのときにしか出せない音があるから、音楽は一期一会で、だから常に新鮮でいられる。そのときどきで、いかに自分の音と真面目に向かい合うか。それでその先の自分が決まってくると思うので、奢るのでも卑下するのでもなく、ただその日その場所で自分ができることを、一生懸命やるだけです


なお上の記事の「前編」として、彼女の紹介記事がある。参考まで。


…で、YouTube で聴いたのはこの CD(↓)。9月8日発売。

"Silver Lining" というのは「灰色の雲の後ろ側で銀色に輝く裏地」のことで、比喩的に「悪い状況などの中にある明るい兆し、希望の兆し」を意味する。いい言葉だと思う ♪

『シルヴァー・ライニング・スイート』



収録曲は、2020年のコロナ禍の自粛期間中に書き下ろした組曲(ピアノ+弦楽四重奏=ピアノ五重奏曲?)"Silver Lining Suite"。次の 4曲からなる。

  • Isolation(孤立)
  • The Unknown(未知のもの)
  • Drifters(彷徨い)
  • Fortitude(不屈の精神)

さらに、自身のSNS企画『One Minute Portrait』で発表した楽曲や、過去のオリジナル曲をこのプロジェクトのために新たに編曲し収録している(↓)。

  • Uncertainty
  • Someday
  • Jumpstart
  • 11:49 PM
  • Ribera Del Duero


この "Silver Lining Suite" は 2020年12月28日〜2021年 1月 4日のブルーノート東京でのロングラン公演で絶賛を浴びたもの。CD の演奏は 2021年4月28日〜30日のスタジオ録音。

そしてまさに今、国内ツアーも行われている。


弦楽四重奏を担当するのは、新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサート・マスターである西江辰郎を中心とするストリング・カルテット(↓)。

西江辰郎 :1st violin
ビルマン聡平 :2nd violin
中 恵菜 :viola
向井 航 :cello


YouTube の音源は下記。

♪ Silver Lining Suite(Album プレイリスト)

とくに気に入ったのは 3曲目(緩徐楽章に当たる?)の "Drifters"。

弦楽四重奏の響きとピアノのいい音が(そしてたぶん、クラシックとジャズの語法が…)美しく融合していて、上原ひろみさんの言う「心を揺さぶられる音楽」になっていると思う。


この組曲以外では、ピアノソロの "Uncertainty" もいい感じだ ♪



このアルバムのトレーラー動画(↓)で、彼女が英語で語っている内容もいいと思う。

🎦Hiromi The Piano Quintet - Silver Lining Suite (Album Trailer)

「私にとって、(音楽の)ジャンルというのは2つしかなくて、…心を揺さぶられるものとそうでないもの…」


なお、アルバムに収められた作品の内容に関する話は下記記事が詳しい。ジャズ評論家、柳樂光隆氏によるインタビュー。

✏️上原ひろみの葛藤 困難な時代にミュージシャンとして追い求めた「希望の兆し」(Rolling Stone)2021.9.10


この作品 "Silver Lining Suite" を聴いていて思ったのは、これは新しい「現代音楽」と言っていいのではないか?…ということ。

ジャンルに囚われないというのが上原ひろみさんの考えなので、あえて「クラシック音楽」とは言わないが、ジャズと考える必要もないのではないかと思う。

それにしても、コロナ禍という人類全体が経験している未曾有の状況の中から、こういう素晴らしい音楽も生まれてくるのだろう。私は寡聞にして知らないが、すでに素晴らしいピアノ作品なども生まれているのかも知れない。

久しぶりに《現代ピアノ曲🧡》のリストに追加しておきたいと思う…(^^)♪

2 件のコメント:

  1. ぴあさん、こんにちは。また素敵な情報をありがとうございます。上原さんの名前はよく聞くし、バンクーバージャズフェスティバルにもコロナ前は毎年来ていたので、すごい日本人がいるんだなぁと思ってはいたのですが、今日ぴあさんの記事を読むまで彼女の演奏を聞いたことはありませんでした。成功する人は言葉がありますよね。人々に影響を与える言葉。アルバムのタイトルに秘められた意味も素敵。「心を揺さぶられる音楽とそうでないもの。」ぴあさんがショパコンの感想に書かれていた「面白い演奏vsつまらない演奏」に通じるものがありますね。こんまりさんの言葉にも通じますね。「心ときめくものに囲まれて暮らそう。」そして心を揺さぶられるものはそれぞれ人によって異なるからおもしろいんですね。上原さんはほんとにポジティブで生き生きとしていて、笑顔が素敵、とても魅力的ですね。世界で活躍する日本人が増えていくのは嬉しいことです。

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  2. Gari さん、おはようございます ♪
    上原ひろみさんの演奏を初めて聴いた(YouTube で見た)ときは、ピアノってこんなに自由に弾いていいんだ、こんなに彩り豊かな音が出るんだ!…と感動…というよりビックリしました ♪ それに本人が本当に楽しそう…(^^)♪
    そして、語る言葉もとても魅力的です。自然体で普通の言葉を並べているのに、何だかすごいことをさらっと言ってしまう。「一音を鳴らしたときの音の膨らみ(球体)」などという言い方も、ピアノの音を本当に感じているから言えるのだと思います。私なら「音の情報量の多さ」とか言ってしまいそう…(^^;)。
    きっと、ご本人の感受性の素晴らしさ、音や音楽に対する感性の豊かさが、そういう表現に結びついているのだと思います。私にとっては、いつ聴いても「心の糧」みたいなものを貰えるピアニストの一人です ♪

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