ページ

2017年8月29日火曜日

『蜜蜂と遠雷』メモ(ネタバレなし)

『蜜蜂と遠雷』(恩田陸)読みながらのメモ




18
…自分が素直に「もっと聴いてみたい」と思うかどうか…


24
それまでどんよりと弛緩していた空気が、その音を境として劇的に覚醒したのだ。
違う。音が。全く違う

44
…彼女はあらゆるものに音楽を聴き、それを楽しむことができたからである。
たまたま…ピアノの手ほどきを受け…ピアノを通して音楽を表現してきたが、他のものを通してでもよかったし、自分で演奏せずに世界に音楽が「存在」していてくれるだけでもじゅうぶん楽しかったのだ。

48
…外側にある音楽を味わい、それを追体験するためにピアノを弾き、世界に溢れる音楽の再現を楽しむ。…

52
今、みんなが音楽に求めているのはドラマ… →?

53
…音楽のみに生きる者だけが尊敬に値するのか?…生活者の音楽は、音楽だけを生業とする者より劣るのだろうか…

92
ひたすら練習するだけが練習ではないし、工夫して量を質で補う方法もある…

104
「弾ける」のと「弾く」のとは似て非なるものであり、両者のあいだには深い溝がある…

117
やはり、音楽というのは人間性なのだ。この音は、…人柄がそのまんま表れて…

163
彼の演奏を聴くと、良かれ悪しかれ、感情的にならずにはいられない。彼の音は、聴く者の意識下にある、普段は押し殺している感情の、どこか生々しい部分に触れてくるのだ。
…それは、誰もが持っている、胸の奥の小部屋(心の奥の柔らかい部分)だ。

202
…最近のハリウッド映画はエンターテインメントではなく、アトラクションである…

222
この暗い温室、厚い壁に守られた監獄で、ぬくぬくと庇護されている音楽を解放してやりたいような心地になってきたのだ。
この音符の群れを、広いところに連れ出してやりたい。

259
…一緒に音を外に連れ出してくれる人を探しなさい…

282
彼には、天性の編集能力がある。…自己プロデュース能力と言い換えてもいい。

286
皆が譜面を再現し、譜面の中に埋もれているものを弾こうとしているのに…。むしろ、譜面を消し去ろうとしているかのような…
剥き出しの、生まれたままの姿の音楽を舞台の上に出現せしめる…

291
凄い情報量だ。
プロとアマの違いは、そこに含まれる情報量の差だ。
一音一音にぎっしりと哲学や世界観のようなものが詰めこまれ、なおかつみずみずしい。…常に音の水面下ではマグマのように熱く流動的な想念が鼓動している。…

331
野望…
…「新たな」クラシックを作ること…「新たな」コンポーザー・ピアニストになること…

415
彼女の指から生まれる一音一音のすべてが深く、意味があった。曲のすみずみまで彼女自身が息づいているのに、同時に彼女は匿名の存在であり、その音楽に普遍性がある。

484
…新曲を、最新の曲に生で接する喜びを、もう味わうことはできないのだろうか?
初演を聴く喜び

490
本来、人間は自然の中に音楽を聴いていた。その聞き取ったものが譜面となり、曲となる。だが、KZの場合、曲を自然の方に「還元」しているのだ。かつて我々が世界の中に聞き取っていた音楽を、再び世界に返している

492
音楽をね、世界に連れ出すって約束。

503
もっと当たり前に、コンサートピアニストが新曲の発表ができるようになればいい…

505
耳を澄ませば、こんなにも世界は音楽に満ちている。



【関連記事】
《『蜜蜂と遠雷』風変わりな感想文?》


  にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ 

0 件のコメント:

コメントを投稿