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2016年4月20日水曜日

メシアン「鳥のカタログ」(ラフォルジュルネ予習)

5月初めのラフォルジュルネで、エマールさんのピアノで聴く予定の「鳥のカタログ」。楽しみにしている ♪


「日本の野鳥識別図鑑」より


ところが、オリヴィエ・メシアンの「鳥のカタログ」、どういうものか漠然とは知っていたが、ちゃんと聴いたことがない。ちょっと予習して、前もって一度は聴いておこうとYouTubeなどを訪問。


まず、どんな曲か、PTNAのピアノ曲事典やWikipediaなどを当たってみる。と、思っていたよりずっと厖大な曲であることに驚いた。曲の一覧と演奏時間を見てみるとこんな(↓)感じ…。全体では2時間42分ほど(後述の Yvonne Loriod の演奏で)。

Messiaen, Olivier : Catalogue d'oiseaux

  1. ベニアシガラス "Le chocard des alpes" 9分
  2. コウライウグイス "Le loriot" 8分30秒
  3. イソヒヨドリ "Le merle bleu" 13分
  4. カオグロヒタキ "Le traquet stapazin" 16分30秒
  5. モリフクロウ "La chouette hulotte" 7分30秒
  6. モリヒバリ "L'alouette lulu" 7分30秒 
  7. ヨーロッパヨシキリ "La rousserolle effarvatte" 30分
  8. ヒメコウテンシ "L'alouette calandrelle" 5分
  9. ヨーロッパウグイス "La bouscarle" 11分
  10. コシジロイソヒヨドリ "Le merle de roche" 18分30秒
  11. ノスリ "La buse variable" 11分
  12. クロサバクヒタキ "Le traquet rieur" 7分30秒
  13. ダイシャクシギ "Le courlis cendré" 10分


この13曲が第1巻〜第7巻に収められている構成だ。タイトルとなっている鳥の名前は13種だが、なかに登場する鳥は77種類もいるそうだ。そのうち日本で聞ける可能性のある鳥は、イソヒヨドリ、ノスリ、ダイシャクシギだけとのこと。

じつはその他に、スイレンやジキタリスのような植物、カエルなどの鳴き声、自然描写(夜、湖の波、樹木、日没、…)も含まれていて、自然のなかの一日の時の流れを描写するような音楽になっているらしい。(そうだったのか…)


具体的な内容を解説した記事が2つほどあって、参考になった。

一つは、ピアニストの中川賢一さんのブログ「鳥のカタログについて~ヨーロッパヨシキリ(2)」

2013年にご本人が演奏された時に書かれた、ちょっとした分析のようなメモである。楽譜の写真(フランス語に日本語訳の書き込みがあったり…)がたくさん掲載されていて、「シジュウカラ。非常に高い音域でけたたましいです。」などというコメントがついていて面白い。こんな感じ(↓:同ブログより借用)。




もう一つは、「楽譜の風景」というサイトの「メシアン 最大にして最高峰のピアノ独奏曲 ~ 『ニワムシクイ』」という記事。

この「ニワムシクイ」(1970年)という曲は、「鳥のカタログ」7巻(1956~1958年)には含まれないのだが、同じ作りになっており、「鳥のカタログの範疇に入れても差し支えはない」曲とのこと。演奏時間は33分ほど。

この記事も、楽譜とともに、描写されている風景や鳥などの解説がある。メシアンが楽譜に書き入れた文章の日本語訳(抄訳?)が載っているのが嬉しい。

また、メシアンの作曲動機のような一文も載っている。鳥の声を中心とした自然の時間経過を、ピアノで表現したものが「鳥のカタログ」と言えそうである。

「(音楽)形式というものは生きた有機体であって、昼・夜の時間の経過に従うことが出来るものだということを証明したかったのです。」

なお、このサイトの一番下の方に、メシアンが鳥の声を採譜したときの楽譜が紹介されている。


さて、実際に聴いてみた。…というか、昨夜は20分ほどのところで睡魔に勝てず…子守唄になってしまい、今この記事を書きながら続きを聴いているところ。全体で2時間42分39秒の動画(↓)だが、やっと1時間半を超えたあたり…(^^;)。


演奏は、モデルになった鳥たちとともにこの曲を献呈されたピアニスト、イヴォンヌ・ロリオによるもの。1959年の初演も彼女によるもの。そして、その2年後にメシアンと結婚している。

なので、「鳥のカタログ」をいちばん理解しているピアニストではないかと思って選んだ。…のだが、他のピアニストと聴き比べているわけではないので、演奏についてはまだよく分からない。

曲そのものも、ときおり「いいなぁ」という箇所はあるものの、全体としては自然描写的な(やや退屈な?)部分と、「現代音楽」的な部分があり、つかみきれない感じ…。


CDとしては、アナトール・ウゴルスキによるものが有名らしい(↓)。




…が、私のお気に入りピアニストの一人である児玉桃さんも録音している(↓)。




このCDは、2008年のメシアン生誕100年のメモリアルイヤーに作られたもので、「芸術選奨文部科学大臣新人賞」「中島健蔵音楽賞」を受賞している。

昨日、このCDのアマゾンサイトで、各曲30秒の試聴をしてみたのだが、さすがにそれだけではよく分からなかった…(^^;)。


…ともあれ、いま聴いているイヴォンヌ・ロリオの演奏を、まずは最後まで聴いて、どの曲が好きか、くらいは言えるようにしたい…?(やっと2時間を超えたところ、あと40分…)

最後に、もう一つ参考になった「メシアンと鳥たち」という記事の中から、メシアンの言葉を引用しておきたい。

すべてがだめになり、道を失い、なにひとつ言うべきものをもたないとき、いかなる先人に習えばよいのか。深淵から抜け出るためにいかなるデーモンに呼び掛けるべきなのか。相対立する多くの流派、新旧の様式、矛盾する音楽語法があるのに、絶望している者に信頼を取り戻す人間的な音楽がない。この時にこそ大自然の声がくるべきなのである。

・・私についていえば、鳥に興味をもってその歌を採譜するためにフランス中を歩いている。バルトークが民謡を求めてハンガリー中を歩いたように。これは大変な仕事である。しかし、それは私に再び音楽家である権利を与えた。技術とリズムと霊感とを鳥の歌によって再発見すること。それが私の歴史であった


では、続きは(たぶん)エマールさんの生演奏を聴いた後で…♪



【関連記事】
《ラフォルジュルネ:エマールさんの「鳥のカタログ」♪》


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