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2016年3月11日金曜日

『グレン・グールドと32人のピアニスト』の気になるピアニスト

『グレン・グールドと32人のピアニスト』という本を読んだ。ピアノ関係に詳しい音楽評論家、真嶋雄大さんの本。



タイトルにひかれて手にしたのだが、ちょっと期待した内容とは違っていた。

想像していたのは、グールドに影響されたピアニスト32人の話。グールドがいたことで生まれた新しいピアニズムとかピアノ音楽の考え方、その中で登場してきたピアニストのことを知りたいと思ったのだ。

さらに、その32人の現役ピアニスト(の演奏)から見えてくるグレン・グールドの偉大さ、ピアノ音楽の歴史における位置付けなどを期待したのだが…。


内容は、簡単に言うと、グレン・グールドが残した主要な録音についての話と、同じ曲を演奏した何人かのピアニストと演奏の紹介。それにまつわる情報やウンチクなど(作品や作曲家の説明とか歴史とか…)。

「情報やウンチク」は、正直に言うと、どういう読者を想定しているのかよく分からない。

私のような「耳年増」(弾けないくせにピアノに関する本や記事はたくさん読んでいる…)にとっては、どこかで読んだようなことが多い。「パルティータとは…」といった説明は、この本で必要なのだろうか?

かと思うと、かなりピアノをやっている人かこだわりの鑑賞者でないとついていけないようなウンチクも出てくる。

ベートーヴェンのピアノソナタ「テンペスト」の第1楽章、あるいは第31番ソナタの第3楽章の5小節目を、それぞれのピアニストはどう弾いているかが、詳細に書かれている(楽譜も載っている)。それはそれで、面白いのだが…。


で、私自身のこの本の読み方は、「ピアニスト探索」のきっかけの一つということに割り切った。以下、この本に登場する気になったピアニスト(初めて聞く名前)をリストアップしてみる。


セルゲイ・シェプキン(ロシア、1962〜)

1995年と2008年にゴルトベルク変奏曲を録音。アメリカでは「グールドの再来」と言われているようだ。グレゴリー・ソコロフと同じ先生(リア・ゼリクマン)に師事。2007年初来日のときにゴルトベルクを弾いている。


マルティン・シュタットフェルト(ドイツ、1980〜)

2006年に初来日し、ゴルトベルクを弾いている。2004年のデビューCDも同じ曲。ライプツィヒのバッハ国際コンクールで最年少優勝をはたしている。


ウラジーミル・フェルツマン(ロシア、1952〜)

1971年のロンティボーでグランプリ。もっとも敬愛する作曲家はバッハ。パルティータ全曲も録音しているが、その演奏は「個性的で…アクが強い」らしい。


コルネリア・ヘルマン(オーストリア?、1977〜)

ドイツ人の父と日本人の母の間にザルツブルクで生まれる。バッハ「フランス組曲」全曲を録音している数少ないピアニストの一人。19歳のときバッハ国際コンクールで1位なしの2位。

※なんとなく聞き覚えのある名前だと思っていたら、1年前に一度調べている。完全に忘れていた…(^^;)。


アンドレア・バケッティ(イタリア、1977〜)

日本ではあまり知られてないが、30枚近いCDをリリースしている。バッハ、モーツァルト、メンデルスゾーンに傾倒。「フランス組曲」は「斬新」だそうだ。


ペーター・レーゼル(ドイツ、1945〜)

聞いたような名前(たぶん有名人…)だが、ほとんど認識していない。この人のベートーヴェンは「鮮烈で重厚」「グールドの対極にある」と評してある。エミール・ギレリスが教えていた時代のモスクワ音楽院で、レフ・オボーリン等の薫陶を受けた人。日本では、紀尾井ホールでベートーヴェンのピアノソナタ全曲演奏を行っている。


ルドルフ・ブッフビンダー(チェコ、1946〜)

この人もよく名前を見る。…と思って調べたら、なんと3月4日にすみだトリフォニーホールで、イギリス組曲とベートーヴェンのソナタを弾いている(自分で作った「公演カレンダー」にもしっかり入っている…(健忘症!?)。

ちなみに、この人の師弟関係をたどると(この本の著者の得意分野)、チェルニーを経てベートーヴェンにたどり着くそうだ。


菊池洋子(日本、1977〜)

名前は聞いたことがある。2002年のモーツァルト国際コンクールで日本人初の優勝。2009年には、紀尾井ホールでモーツァルトのピアノソナタ全曲演奏を行った。


まだまだ知らないピアニストがたくさんいるなぁ〜、という最近よく感じる感想をまたしても…、という感じである。とりあえず(近いうちに…)、 [ピアニスト探索] リストに追加しておくことにしよう ♪



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