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2015年7月27日月曜日

ルカ・ドゥバルグは根っからのアーティスト

チャイコフスキー・コンクール4位のルカ・ドゥバルグ(Lucas Dubarge)へのロング・インタビュー記事を見つけた。英語(元々はフランス語)なので、ほとんど一日かかって読んだが、実に面白かった。ルカ君に対する好感度というか、期待度が上がった ♪

Bertrand Boissard という人がインタビューしたフランス語の記事(7/23)を、Ismene Brown という人が英訳したものだ。Ismene Brown さん自身がインタビューした記事(下記の2つ目)もある。(※残念ながら英語記事は二つとも"Not found" @2021/12/12

英語記事:Parlons piano with Debargue
     Meeting Lucas Debargue




たぶん、数回にわたってご紹介することになると思うが、まずは私自身が一番気に入った部分から…。ルカ・ドゥバルグの音楽の魅力を生み出す源泉と思われるところを書いてみたい。


音楽大好き!

まず何と言っても、彼は音楽が大好きなのだ。「音楽は Life そのもの!」という感じである。

たとえば、「買い物や散歩をしているときも、僕は音楽を考えている」「いつも楽譜を持ち歩いている」「休むなんて考えられない」といったことを、さらっと言ってのける。

ピアノを弾く以外にも、作曲したり、ジャズをやったり、耳から聴いてパッセージを覚えるとか…。「やることは変わっても、僕は止まることはない。それは不可能なんだ。」と言う。

ピアノの訓練期間は短いかもしれないが、音楽に浸っていた時間は、そのあたりのピアニストと比べ物にならないくらい長くて密度が高いのかもしれない。


モーメンタム・流れ・継続を創り出す演奏

彼が演奏の目的やゴールを語るときによく出てくるのが、モーメンタム・流れ・継続といった言葉だ。

(第2ラウンドのメトネル、ラヴェルの録音を聴いて…)
「細かいミスなどはあったけど、そこにはある種の流れがあった。ムーヴメントの感覚、モーメンタム、が最初から最後まで。たぶん聴衆はそこに共感したんだと思う。」

「僕にとって、第一の目的はある種の継続性を生み出すこと(the create a kind of continuity)」


一つの曲が始まってから終わるまでの時間の中で、音楽が自らのエネルギーで動き流れていくような感じだろうか。「魂の持続(a continuity of soul)」という言葉も使っている。

そして、それは「最初にピアノに触れた時から探し続けている何者か」であり、彼にとって「完全に自然なこと」であるようだ。

この辺りが、彼の音楽を特別な「何者か」にしている源泉の一つかもしれない。


音楽に対する真摯な気持ち

チャイコフスキー・コンクールでの出来を聞かれて、「ベストじゃない」と言いながら語った次の言葉はとても共感したところだ。

I never play tricks with the music, I never try to cheat art. I live through art, for art, in art.

「少なくとも僕は、音楽をごまかしたり、トリックを使おうとはしなかった」というようなことを自然体で言えるのはすごいことだと思う。


また、使命感を聞かれて答えた言葉もいい。

To not stop the music. To not obstruct the music, to not betray it. To let the music flow.

音楽を止めない・邪魔しない・欺かないこと。音楽が流れるようにすること。


共感能力・人間好き・いいやつ?

そして、インタビューのはしばしからは、人間としての好感度も感じられてくる。

コンクールでの、聴衆の熱狂や共感ぶりを聞かれて、「聴衆とはうまくやれていると思う。コミュニケーション能力はあるほうだと思う」と答えている。コンクールの緊張感のあるお祭り騒ぎも嫌いじゃなかったようだ。

これからのことを聞かれたときも、

私は今の生活(Rena Shereshevskaya 先生と一緒に働いている…)が好きです。友人と一緒に過ごし語り合う生活。旅行もすきです。これらは必要なのです。何時間も窓のないスタジオでピアノの前に座り続けることはできません

という答え。メディアや業界に流されて、コンサート活動に忙殺されるようなことはなさそうだ。自分自身をしっかり持っている、という感じを受けた。


でも、日本でのコンサートはぜひ実現してもらいたい。

(つづく→《応援したい!ルカ・ドゥバルグの音楽の方向性 ♪》)

※興味ある方は下記記事(大まかな日本語のメモ)をどうぞ。




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