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2015年6月11日木曜日

ピアノに関するよもやま話:寿命のことなど

数日前、我が家のピアノの「一日ドック」をやってもらったが、そのとき調律師の人から聞いた話で興味深かったことを少し書いてみる。

ちょっとショックだったのは、ピアノにも寿命があるということ。ピアノは、木と鉄とフェルトなどで出来た精密な機械であり、それをほぼ毎日のように酷使?しているので、当然といえば当然なのだが…。


たしかに、分解した我が家のピアノを見ると、アクションの可動部分が消耗していたり、ハンマーのフェルトに弦の筋がはっきり付いていたりする。金属の軸にはサビか汚れのようなものが付いている。

ハンマーのフェルトはやすりで削って、新品のときの音に近づけることができるが、それも2〜3回が限度らしい。そのあとはハンマーごと取り替えるしかないので、それなりのコストがかかる。

で、寿命はどのくらいかというと大体30年とのこと。1912年製のホロヴィッツのピアノが今でも健在なのは、アクションとか弦とかを交換して、最高のメンテナンスをしているからなのだろう。


それから、憧れのブランド・ピアノ、スタインウェイとかベーゼンドルファーとかベヒシュタインとかであるが、日本で使うには、相当に湿度の管理などをしっかりやる必要があるそうだ。(欲しくても、なかなか買えるお値段ではないが…)

もともと、ヨーロッパなどのその国の気候に合わせて作られているので、日本の気候には合わないそうだ。高温多湿が問題になるかと思いきや、意外と乾燥が要注意とのこと。ときには、日本に持ってきて1年で響板にヒビが入った例もあるらしい。

それと、今でも一品モノの手作り生産をしているメーカーのものは、当然ながら当たり外れが大きいようだ。日本のメーカーは工場生産なので、そういうことはない。


聞いていて不思議に思ったことが一つある。

中・高音の弦は3本張られているところがあるが、実は弦は一本の鋼線が往復しているとのこと。で、3本のところは、1・2本目はつながっている。3本目は半分の長さかと思ったら、残りの半分はとなりの音の弦になっている(つながっている)らしいのだ。それで、よく調律できるものだと、変に感心してしまった。


プロのピアニストのびっくりするようなテクニック?の話もあった。

コンサート・ピアニストは、ホールに備え付けのピアノを弾くので、いろんな状態のいろんなピアノで演奏しなくてはならない。一日付きっきりの調律師も大変だが、ピアニストも偉いもんだ、といった話をしていたら…。調律師の人からこんな話があった。

調律師が調整できる範囲には限界がある。それに、演奏中にいろんなところに狂いが出ることもある。そういうとき、プロのピアニストは、ピアノに合わせて弾き方を調整する!?らしいのだ。

例えば、ある一つの音だけ鍵盤の高さや深さが少し狂ったとする。そうすると、それに合わせて「その音だけ!」タッチを調整するというのだ。しかも、当然ながら難しい曲を弾いている最中に! 意識してやるのか無意識にできてしまうのかは、聞きそびれてしまった。


…ピアノという楽器やピアニストの話は、他にもいろいろと面白い話がありそうだ。



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