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2015年1月27日火曜日

シャンドール ピアノ教本3:基本動作①自由落下

第2部では「五つの基本動作」の詳細と練習の方法が明らかにされる。さらに、それぞれの基本動作を、実際の曲にどのように適用するかが、豊富な譜例で示される。

一つ目の動作は「自由落下」である。最小の力で大きな音量を得る方法が示される。これは、重力と筋力の使い方、および指・手・前腕・上腕のコーディネートを理解するための基本にもなっている。また、本来あるべき「脱力」のあり方が示される。

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『シャンドール ピアノ教本―身体・音・表現』 読書メモ
 ジョルジ シャンドール 著、岡田 暁生 監訳(春秋社、2005/2/1)
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 第2部 五つの基本動作 

★五つの基本動作「自由落下」「五指運動と音階と分散和音」「回転」「スタッカート」「突き」 について順次(第4章〜第8章)説明される。第9章は全体のまとめ。


第4章 自由落下


※数字はページ番号、赤字は私のマーク

60
大きな音量とは、大きな重量のことではなく、より長い梃子が作り出す、より速いスピードのことである。…伸ばした腕のわずかな筋肉の活動(「投げ」の動作)を用いることによって、重力が生み出す加速をさらに増大させることができるのだ。

61
(自由落下において)重力が働くのは…一つの 局面においてのみ…。手が鍵盤の底に着地するときの衝撃もまた、瞬間的な筋肉の収縮によって吸収され和らげられなければならない。

64
…自由落下でさえ、完全に弛緩した運動ではない…。…学ぶべきは、腕のスピードを増すべく投げの動作をここに加える際、重力による自然な加速を邪魔しないコツである。

64〜67 ★
〔自由落下の三つの段階:持ち上げる→落下する→着地&リバウンド〕

腕の持ち上げ…を、上腕の小さな動きによって開始する…。この上腕の動きに、…前腕の持ち上げが続く。さらに…手と指が持ち上がる。これらの動きは…段階的になされる…。…鍵盤から指先までの距離はほぼ25センチになる。

第二の段階では、腕と手と指が同時に落下する。…この段階は完全に受動的であり、重力による加速の妨げとなるものがあってはならない。…完全に脱力している…。

第三の段階…鍵盤の底への着地である。この時、各々の関節すべてが一瞬、ほんのわずかだけ固定された状態になる。この固定の結果として、エネルギーが鍵盤に伝えられ、手と指、とりわけ手首がほんのわずかリバウンドする。…鍵盤を押し続ける感覚が指先にあってはならない…。…リバウンドする時、肩の筋肉は(最初の段階に戻るために)すでに上腕を持ち上げ始めていなければならない。

…手首が自然にクッションとして働くためには、手首の位置をかなり下げた状態で鍵盤の底に着地するようにすることが、非常に重要である。

67
自由落下は単音および重音および和音に用いることができ、それぞれについて練習しなければならない。黒鍵の場合には、腕をわずかに高く構えておくことが重要である。

70
自由落下を用いることができるのは、中庸のテンポのパッセージだけ…。速い「落下」などありえないのだ!(※投げの動作を加える必要がある)…掌を大きく広げて弾かなければならない和音には、まったく向いていない。(※「突く」動作を使う)


ポイント


★「自由落下」は3つの段階からなる。

1. 上腕→前腕→手→指と段階的に、筋力で25cmほど持ち上げる。

2. 腕・手・指が同時に、重力により落下する(完全脱力)。

3. 鍵盤の底への着地(関節が一瞬固定される)とリバウンド。
 (リバウンドと同時に肩の筋肉は1. の動作を開始する)



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