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2018年5月16日水曜日

アレクサンドル・トラーゼ(Alexander Toradze)ロシア奏法の大先生

アレクサンドル・トラーゼ(Alexander Toradze)という名前は、私は知らなかったのだが、かなりの有名人で、N響との共演で何度か来日もしているようだ。

日本では、NHKの「スーパーピアノレッスン」(2005年12月~2006年3月)の講師としての方が有名なのかも知れないが…。




で、今年もパーヴォ・ヤルヴィの指揮でショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第2番を演奏することになっている(↓)。

✏️N響第1886回 定期公演 Cプログラム

このページから、簡単なプロフィールを引用(抜き書き)しておく。

アレクサンドル・トラーゼ(Alexander Toradze)は1952年、ジョージアのトビリシ生まれ。モスクワ音楽院で学び、1977年のヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで第2位。1978年にモスクワ音楽院を卒業するとすぐに教授に就任。

1983年にアメリカに移り、1991年からは、インディアナ大学のサウスベンド校でピアノ科教授を務める。同時に、若い才能を育成するための「トラーゼ・ピアノ・スタジオ」を開設し、欧米で活躍する数々のピアニストを世に送り出している。


ロシアの伝統的な奏法を受け継ぐピアニスト。ワレリー・ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団との共演による、プロコフィエフのピアノ協奏曲全集の評価が高い。


ちなみに、5月22日の武蔵野市民文化会館(小ホール)での演奏会が、日本でのリサイタルとしては初めてのようだ。

✏️武蔵野文化事業団:アレクサンドル・トラーゼ ピアノ・リサイタル


YouTube にある音源をいくつか聴いてみた。

お手本のようなきっちりした弾き方に見えるし、演奏としてもしっかりとした構成力が感じられ、安心して聴けると思った。ロシア奏法の正統派という感じなのだろう。

なのだが、個人的には何だか物足りないのだ。なんだか「ワクワク感」のようなものが乏しいような気がした。上手いんだけど…。

例えば、下記のソロ。最初は、正確でシュア(sure)な弾き方という印象で、なかなかいいなぁ…と思って聴いていたのだが、最後までこの曲らしい高揚感を感じなかった。

Alexander Toradze plays Prokofiev Piano Sonata no. 7 finale - video


コンチェルトもいくつか聴いてみたが、どれもそれなりに「いい演奏」だと思う。これ(↓)も定評のあるゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団との共演で、プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番。2012年4月の演奏。

 Aleksander Toradze: Prokofiev – Piano Concerto No. 2 Opus 16 (Mariinsky Orchestra, Valery Gergiev)


たぶん、トラーゼの「真骨頂」のような演奏だと思うのだが、やはり今ひとつ「こちらに迫って来るもの」が感じられない。私の感性との相性なのかもしれないが…。

録音の音なので、生で聴くともっと迫力のある音が伝わって来るのかも知れないが、音自体も若干軽い(音に芯がない?)ような気がする。画面から感じる印象と聴こえて来る音の印象に隔たりがある。

マツーエフとかトリフォノフのガンガン行く系?の演奏を聴きすぎか…(^^;)?


ちなみに「スーパーピアノレッスン」の動画もいくつかあって、これはなかなか面白い。NHK もこういう良い番組を再放送してくれればいいのにと思う。

 Beethoven Piano Sonata No.30 Alexandr Toradze 1 of 7


この動画では、「(ただ機械的に)弾くのではなく」「音楽の温度を感じとって…(それを鍵盤で表現する)」みたいなことを言っていて、まったくその通りだと思った。

そんな簡単にできることではないとは思いつつ…。


…ということで、とりあえず「大先生」ということでは名前を覚えておこうと思った。


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